みんなで叶える物語、その先へ―TVアニメ『ラブライブ！スーパースター!!』第12話「Song for All」

　7月から放送されていたTVアニメ『ラブライブ！スーパースター!!』も第12話が放送され、ついに一区切りとなりました。ハッキリ言ってめちゃくちゃ面白かったですし、いまのところ個人的にはシリーズ最高傑作だと思っています。この終わり方で既に2期の制作が決定しているため今後次第なところもありますが、このままの密度と熱量で駆け抜けていって欲しいですね。では第12話の感想も書いていきましょう。

　第7話・第8話あたりで問題となった入学希望者の数ですが、早くも解決し学校の存続についてもなんとかなったようです。話の軸にもなるのかと思っていたら意外とそうでもなかったですね。もちろん恋の言う「この町で一番の高校に」という目標もありますし、スクールアイドルと学校は切っても切れない関係ですから、この先またどこかで絡んでくることでしょう。
　そして千砂都にとって「私が知ってる」熱さを取り戻したかのんですが、家族が気にしているのには気づいていなかったんですね。第2話で家族が協力的である様子が既に描かれていましたが、それからも気づかないくらいスクールアイドルに熱中していたということでしょうか。かのんらしいと言えばらしい話です。
　あとBパート入ってすぐの可可とすみれのやり取り、「一応渡しておくわよ。これからも一緒に続けられるように。」って…また泣かせてくれるじゃないですか…。すみれのそういうところが本当に好きなんですよ。結果発表でも一番ストレートに悔しさを放ったのがすみれで、相変わらず素直じゃない部分もありつつも本当に変わったなと。第12話を通してメンバーがつかんだものを描いていて、それぞれの成長を感じさせてくれます。
　ところで上海って冬そんなに寒かったかな…。過去に3年少々上海にいたことがありますが、なにぶん10年も昔の話で忘れてしまいました。たしかに東京より緯度的には南ながら暖かかった記憶はないですが。

　さて、ここまでの11話の間では5人それぞれとグループとしての話が主でしたが、第12話は学校を背負っての話となりました。見ての通り『ラブライブ！』2期第9話で「Snow halation」を披露するまでの流れを強く意識した作りになっていますし、冬の坂道を背景にしたステージは『ラブライブ！サンシャイン!!』2期第9話の「Awaken the power」を彷彿とさせます。言わずもがなシリーズ作品においても特に印象的だったストーリーやライブですが、それをベースとした作りにしながらも初めてラブライブ！における敗退をハッキリと描いた今回。あれだけのステージを披露しながら敗退という結果になったのはラブライブ！がレベルの高い大会になっていることを表していますし、何よりこれまでのシリーズ、そしてラブライブ！そのものへの挑戦にも見えます。挿入歌のタイトルは1期最終回にして「Starlight Prologue」、リエラのうたも「Departure」。ここからまだ見ぬ新しい物語が始まります。冬が明け新たな春を迎えた5人をどんな未来が待っているのか―本当に楽しみです。
　ところで、ラブライブ！シリーズではTVアニメ中で1stアルバム表題曲を披露するのが通例ですし、独唱という課題もあって「始まりは君の空」を披露するものだとすっかり思っていました。ですがこの方向性で描くならまだ披露しないわけですね。この個人的シリーズ最強楽曲で結果が出ないのは私が困るので。TVアニメ挿入歌は（第9話でBGM的に使われた「Dreaming Energy」を除いて）いまのところ宮嶋淳子さんが作詞した曲で統一されていますが、その辺りは伝統に乗っ取るのかはたまた覆すのか、今後も見守っていこうと思います。

　ここからは2期で消化してほしい部分の話。ここまででもかなり充実していたのでそんなに多くないのですが2つほど。
　まずは可可の掘り下げを進めてほしいという点。第10話で切り札的に設定が使われたのもあり、可可だけは過去の話がやや少なめでした。スクールアイドルに初めて触れたのが中学生の時だったというのもありますが、幼少期の姿が唯一描かれていないですしね。第2話・第3話でも視点としてはかのんを中心に描かれていたため、今後のストーリーのなかでそのような機会があると良いなと思います。
　もう一点は大会としてのラブライブ！の説明。第9話の感想でも書きましたが、今までは夏と冬で年2回開催されていたのに対し、今作では夏大会の描写については全くありませんでした。スクールアイドルの数が膨れ上がり開催数を減らさないと対応しきれなくなっている可能性もありますが、割と根本的な部分なのでスルーはしてほしくないなと思います。説明がなくても物語の進行には支障がないので微妙な部分ではありますが。

　1期1クールで1年を描くというのは予想より速いペースでしたが、残り2年でどのような物語が展開されるのか、とにかく早く続きをくれという気持ちしかありません。だって面白かったんだもん。本当にここまで泣かされるとは思っていなかったので、2期以降も凄まじい熱量をぶつけてくれることを期待してお待ちしています。
　そして今週末からはLiella! First LoveLive! Tour ～Starlines～が開幕します。私は群馬公演Day1は配信で、そしてDay2で現地参加となりLiella!の皆さんと初めて直接お会いします。夢を受け取り駆け出した5人がどのようなステージを見せてくれるのか、そしてこの熱い物語からどのようなライブが生み出されるのか。スクールアイドルを愛する者として、公演の成功を願いながら楽しみにしています。