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ポーカー雑談vo.1~ドンクベットvsチェックレイズ

ドンクベットをした方がいいか。チェックレイズに回した方がいいか。
ポーカーをプレイするうえで一度は直面する状況ではないでしょうか。
この2つのアクションにどのような違いがあるのでしょうか。どのようなハンドやボード,相手のアクションに対してどちらのアクションにどのようなメリットやデメリットが生じるのでしょうか。
今回はそんな状況に関して,1つだけボードを例に挙げて考えてみました。

ゲーム形式;リングゲーム(キャッシュゲーム)形式
テーブル人数;6人
スタック;100BB
ブラインド;0.5BB-1.0BB-Ante0
登場人物
プレイヤーA;ポジションHJ
プレイヤーB(私);ポジションBB

まず,プリフロップ(.PF)~フロップ(.F)のアクションを確認します


【プリフロップ(.PF)アクション】
プレイヤーA;open_2.5BB
プレイヤーB;call
total pot_5.5BB

フロップ(.F);A♠,8♥,6♥
【.Fアクション】total pot_5.5BB
プレイヤーB;check
プレイヤーA;bet_1.4BB
プレイヤーB;call
total pot_8.3BB

ターン(.T);A♠,8♥,6♥,6♦


 以上のフロップまでのアクションを固定として,今回は話を進めていきたいと思います。さて,.Tのボードが開き,コミュニティカードは
A♠,8♥,6♥,6♦
となりました。
 まずここまでのアクションから考えうるハンドを予想してみましょう。
①プレイヤーA(HJ)のopenレンジ
HJのオープンレンジは以下のようなものになります。


HJの.PFオープンレンジ[6MAX]

②私(BB)のDFレンジ
対してBBである私のDFレンジは以下のようになります。

BBのcallレンジ[vs.HJ]

 また,ここでは低頻度でもcall頻度がある場合は全体に色付けがされています。
 さて,次に.Fのアクションに関して考えます。ここからは具体的なハンドを持ったうえで見ていきたいと思います。
今回私(BB)に配られたカードは『J♠6♠』です。
上のレンジ表を見てみると・・・入っていますね(実はこのcall頻度はかなり低く,ほとんどがfoldだとか・・・)。

 .Fのアクションを振り返ると,.FではプレイヤーAは約25%の安いCBを打っています。この安いCBにはどのようなハンドが含まれているのでしょうか。
調べてみると,HJのプレイヤーAはレンジ全体でこのCBが肯定されるということがわかりました。つまりは,このCBにはAAや88といったナッツ級のハンドから,QJoや45sといった何もないハイカードも多く含まれていることがわかります。ではそれらのハンドに対して私の持つ『J♠6♠』はどの程度強いのでしょうか。役としては6の1ペアであり,プレイヤーAが持ち得る,負けているハンドとしては,77~AAのポケットハンドおよび,AHit,8Hit,など2pを含むハンドとなる。これは,HJのopenレンジのおよそ56%(?)となります。

 次に.Tに6♦が落ち,3カードになったことで勝率がどのように変化したかを考えます。この時,負けているHJのハンド(AAや88,A6等ect.)の割合は,
HJのopenレンジの8%以下(AA,88,A6s)にまで減少します。この状態で.Tのアクションに入ります。


ターン(.T);A♠,8♥,6♥,6♦
【.Tアクション】total pot_8.3BB
プレイヤーB;bet_2.1BB
プレイヤーA;call
total pot_12.5BB

リバー(.R);A♠,8♥,6♥,6♦,4♠


 ここでは,.Tに6♦が落ちたことで,BBはドンクベットをしています。まずBBが.PFでDFするレンジは全体のおよそ27%,今回は6Hitしているため,.Fのbetに対してcallを選択したが,レンジ全体でcallできるハンドを考えてみると,その他Hit系やストレートドロー,フラッシュドローなど,全体のおよそ60%程度となります。次に,その中で.Tに6♦が落ちたことでドンクベットをできるハンドは,低頻度のハンドも加味した場合に,およそ15%となります。
*"ドンクベットをできるハンド"の表現があっているかは分かりませんが,ここでは単に,単純なバリューハンドに加え,ストレートドローやフラッシュドローなどのハンドを指しています<(_ _)>
このドンクベットに対しての,プレイヤーAのcall以上のハンドは,HJレンジのおよそ68%になります。
では最後に.Rのアクションに入ります。


リバー(.R);A♠,8♥,6♥,6♦,4♠
【.Rアクション】;total pot_12.5BB
プレイヤーB;bet_5.6BB
プレイヤーA;call


.Rカードを4♠としていて,このカードに対して,5.6BBのbetをしています。
この時,プレーヤーAはcallしてA♧K♦をショーし,プレイヤーBはtotal pot23.7BBを獲得することができた。このリバーの5.6BBのbetは相手の.Tのドンクベットにcallした,KK~77のようなマージナルハンドにもcallをもらえるような額としているため比較的安いものとなっています。
では,次にハンドを変えてこのアクションをしてみます。ここで,私のハンドを『7♠5♠』や『7♥4♥』,『A♥Q♦』に変えるとどうでしょうか。

 私は,『7♠5♠』つまり,.Tにオープンエンド(.OE)である7♠5♠のハンドでドンクベットを選択しました。.Rカードは4♠であり,.OEを引きストレートを完成することができました。.Rでは5.6BBのbetをして勝利し,toal pot23.7BBを獲得することができました。また,『J♠6♠』の時に述べなかったが,『J♠6♠』や『7♠5♠』がHJのプレイヤーAに負けているハンドとしては,フルハウス以上の役を作っているハンドのみとなって,且つそれらのハンドは.Tまでに完成していることがほとんどであり(.Tのドンクベットへのcallに44が残らないため),.Tのドンクベットに対してレイズをされていないことから,今持つ『J♠6♠』や『7♠5♠』の勝率はかなり高いことがわかります。

では,『7♥4♥』のようなドローが引けなかった場合を考えてみましょう。
フラッシュドローやストレートドローでドンクベットをした場合,当然引けない場合もあります。その場合,.Rは落ちたカードによってcheck_foldやブラフベットの継続といった選択肢をとることが可能です(当たり前ですが…)。
 ここで何が言いたいかというと,”.Tに2.1BBの安いドンクベットをしてリバーカードを見た。”ということです。.Rカードを安く見れることであるなら,.Tをcheckで回せばプレイヤーBがcheckした場合にタダで.Rカードを見れるのではないかと思うでしょう。その疑問は妥当でありそもそも一般的なアクションであるかもしれませんが,checkで回した場合に,プレイヤーB
のbetが安いbetやcheckならそうなりえるが,.Tにcheckをした場合にプレイヤーBがダブルバレルを打つ際には,多くの場合その額は6.6BB(pot80%)や11BB(pot130%)といったbet金額が多くなります。
 つまりは,上記例のようなドンクベットはブロックベットとして機能している(プレイヤーAによるプロテクションベットを防ぐ)ため,.Tのbet金額を自ら決定することができ.Tのアクションをcheck→callに回した時よりも安く済む可能性があるということです。これは,ドローハンドの場合のみの話ではなく,『A♥Q♦』のようなハンドを持っている際には,相手の.Tでの一部のドローやKK~99のようなハンドの.Tにcheck backをしそうなハンドからvalueをとりつつ,AKのようなハンドの大きいベットを防ぐことができるということも1つのメリットといえるでしょう。
 しかし,今回のようなドンクベットには,raiseを返してくるハンドも何コンボかあり,『A♥Q♦』のようなハンドを相手の『54s』のようなハンドに降ろされてしまう可能性も出てくるため,使用する際には相手のraise頻度も考えたうえで選択肢の1つにして頂ければと思います。

では次はcheck raiseをした際のアクションに関して考えてみましょう。


ターン(.T);A♠,8♥,6♥,6♦
【.Tアクション】total pot_8.3BB
プレイヤーB;check
プレイヤーA;bet_2.9BB
プレイヤーB;raise_8.7BB
プレイヤーA;call
total pot_25.7BB
リバー(.R);A♠,8♥,6♥,6♦,4♠
【.Rアクション】;total pot_25.7BB
プレイヤーB;bet_23BB
プレイヤーA;call


 ここでは,.TにプレイヤーB(私)はプレイヤーAのダブルバレル(DB)に対して,3倍のcheck raiseをし,.Rでは25.7BBのbetに対しプレイヤーAはcallを選択しています。
 さて,ここでまずpotに注目してみると,リバーのベットまで含め,ドンクベットをした場合と比較し3倍以上となっています。potサイズが大きくなることは,.Tにレイズをしているので当たり前だと思うかもしれません。
ですが,加えて注目して欲しいのは.Rのベット額です。ドンクベットの時は.Rにpotの約50%のベットをしているのに対して,今回は90%の大きいベットサイズを選択しています。
 もちろん持っているハンドに応じて変動はあるでしょうが,ドンクベットと比べチェックレイズをした際は.Rのベットサイズに大きい額を選択する比率は大きくなります。これはなぜでしょうか。これは,.TのチェックレイズにcallしたプレイヤーAのハンドと,ドンクベットにcallしたプレイヤーAのハンドの違いにあります。
 以下に今回のチェックレイズに対するcallレンジと先述したドンクベットに対するcallレンジを載せます。下の表の,緑色の部分がcall,青色がfold,オレンジ色がraiseの推奨となっています。

チェックレイズに対するcallレンジ
ドンクベットに対するcallレンジ

 表を見ると,先述したように,call以上のレンジに違いがあることが分かります。特徴的な箇所でいうと,KK~JJのようなストレートをブロックしていないポケットハンドはチェックレイズにはほとんどfoldとなっています。
 また,Aヒットであっても,Aのローキッカーはfold頻度も増えていることが分かります。また同時に,ドンクベットに対しては,レイズを返すハンドがいくつかあることも特徴として挙げられます。この表からもわかる通り,チェックレイズはドンクベットに対しておろせるハンドの幅は広くなるため,ストレートドローや,フラッシュドローでチェックレイズした場合のfold equity(←言葉の使い方あっているでしょうか…?)が大きくなります。
 ですがやはり,引けなかった時,おろせなかった時の時の損失は大きくなるため,使い方は注意が必要になります。話題戻し,.Rのbet額についてです。チェックレイズをした場合に,.Rのbet額に大きい額を選択しています。これは,チェックレイズに対してのcallレンジはドンクベットに比べ強いハンドが多いことが理由になります。KK~JJ,AX(Xロー)のようなマージナルなハンドがあまり残っておおらず,AKやAQのようなAX(X強キッカー)や6のスリーカードのようなハンドが多いため,自分のハンドがストレートやフラッシュ,6のスリーカードのような強い役の場合に,valueを多くとることができるとうのもチェックレイズを選択した場合のメリットともいえるでしょう。ですが同時に,相手にAA,88,A6といった強いハンドも相手に残っていることも少し念頭に置くとよいかもしれません。

 このように,ドンクベットとチェックレイズにはそれぞれのメリット,デメリットが存在することが分かります。
 今回はターンのアクションでの分岐のみを例として挙げましたが,今回のボードでは実のところチェックレイズはフロップの方が頻度は多かったりします。どこでチェックレイズをするか,ドンクベットをするかでポット額や相手の残るハンドが変化するため,臨機応変なbet額,アクションが求められます。

今回のドンクベットとチェックレイズアクションのまとめ
【ドンクベット】
▶安くリバーカードを見れる
▶マージナルハンドやドローからバリューをとれる
▶AQ<AKのようなハンドの際に損失を減らせる
▷ヒット系でドンクベットをした際にドローにレイズをされおろされる可能
 性がある
▷.Rに残る相手のハンドレンジが多くレンジキャップがしづらい
【チェックレイズ】
▶pot額を大きくできる
▶強いハンドで最大限バリューが取れる(上とほぼ同義)
▶セミブラフ際に多くのハンドをおろせる
▷ドローを引けなかった時のリバーが難しい
▷相手に負けた時の損失が大きい

まとめとしてはこのような感じでしょうか。
今回の記事では,どちらのアクションが良いか悪いかなどは言及ません(そもそもできません)が,どこかのアクションの考え方の1つになればと思います。
目を通してくださった方,ありがとうございました。


終わりに(´・ω・`)
お店でポーカーをしていると,ドンクベットやチェックレイズに直面することが多いですが,ドンクベットに関しては,ローボードでなんとなくBBからドンクベットや,単純に強いときのドンクベットをよく見ます。チェックレイズに関しては殆ど見ない上にブラフがほとんどなく,GTOやバランシングの点でこれらのアクションを使いこなしている方は少ないのかなという印象です。かという,私自身,そもそもあまりしないアクションではあるので,いつか使いこなせればと思っています。
 実際に直面すると厄介で,自分がすると楽しいアクションの1つです。考えることが多く面白いpotになることが多いので,皆さんも試してみてください('Д')

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