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ひつじのすべて(S35最終814位)

はじめに

ポケモン剣盾最後のランクマッチとなるS35にて、”バイウールー絶対選出”で814位と最終3桁を達成できたので、記念として記事を残すことにしました。記事と言っても通常の構築記事ではなく、なぜこの禁止伝説・幻環境の中で、一般ポケモンであるバイウールーが、それも選出率100%にも関わらず結果を残せたのかという「バイウールー論」になりますので、長々ともふもふの羊の話が続くことをご容赦ください。



バイウールーとは

第8世代初登場。コットンガード+ボディプレスを使える唯一のポケモン。
接触技半減の特性「もふもふ」により物理受けとして優秀な性能を持ち、能力上昇をバトンタッチで引き継ぐ戦法がよく知られています。
コットン後のボディプレスは目を見張る威力を発揮する一方、自身の火力は貧弱であるほか、特殊技とほのお技には弱く、ちょうはつも苦手です。

1番道路産の色証(げきはつのあかし)の子が相棒。



なぜ”絶対選出”なのか

意気込んで相棒枠を用意したものの、どうしても伝説を選出したほうが強く感じてしまい、せっかくの相棒をなかなか選出できないというジレンマがあります。そこで、「剣盾最後のシーズンを1試合でも多く相棒と戦いたい!」という思いから、とにかく絶対にバイウールーを選出するという誓いを立てました。要するに愛です。

構築と基本選出、立ち回りなどはバイウールー選出が大前提、苦手を補完する形で考えることにしました。一体なぜ今回それが結果につながったのかは、以下に続く「ひつじの結論」で詳しくご紹介します。



ひつじの結論①役割対象はザシアン

この1年、バイウールーを使い続けてきた身としては、絶対選出は不可能と思われました。
最大の理由はサンダーの存在です。こちらからは有効打がなく、最も苦手とする特殊ほのお技(ねっぷう)を持つサンダーがどのパーティーにもほぼ確実に存在する以上、バイウールー選出は絶望的でした。

ところが、その状況に大きな変化が訪れます。
新ルールで禁止伝説の使用数制限がなくなると、あのサンダーが姿を消し、伝説の超火力による殴り合い時代が到来したのです。

その筆頭がご存じ、最強のポケモン・ザシアンです。実はバイウールーは、対面でザシアンに非常に高確率で勝てます。
対ザシアンのさまざまな細かいダメージ計算はここでは割愛しますが、
A特化きょじゅうざんは確定2耐え、剣舞されてもコットンガードを1回積めていれば最大でも49ダメージしか入りません。インファイトはコットンでいなしつつ、相手のBダウンも利用してボディプレスですぐ返り討ちにできます。
※バイウールーはB特化前提です。
この高いザシアン処理能力はあまり知られていません。これがバイウールーの最大の強みであり、役割です。

つまり今環境では「どの構築にもほぼ必ずいるザシアンを誘い出しバイウールーで確実に仕留める」というコンセプトがより通しやすくなったのです。



ひつじの結論②もふもふでゴツゴツ

特性はコンセプト上「もふもふ」一択です。持ち物は回復系アイテムではなく「ゴツゴツメット」が強いと思います。
ボディプレスしか実質的に攻撃技を持たないバイウールーにとって、ゴツメはさまざまな場面で貴重なダメージソースとなります。例えば、コットン1積みさえすれば、ゴツメダメージ込みでインファイト持ちザシアンを迅速に突破することができます。

また、今環境で注目されたマーシャドーに対しても、こちらのボディプレスは効かない一方で、相手のシャドースチールも効きません。コットンを積んでインファイトを耐えているだけでゴツメで相手が削れていくので、こちらの後続のポケモンで簡単に処理できました。

ザシアン受け代表格の日食ネクロズマにも強い。



ひつじの結論③絶妙なSライン

ここでバイウールーの種族値を改めてご紹介します。
H72 A80 B100 C60 D90 S88 合計490
合計値はやや心細いですが、受け寄りのバランスの取れた数値です。
注目すべきはS88です。これは受けポケモンとしては相当速いです。禁止伝説環境ではS90族が多く、火力や耐久重視でS無振りの型も少なくありません。

そこで努力値調整としては、S90族の4振り抜き(=12振り同速)として、相手の上から動ける可能性を高めました。あまりSを欲張ると肝心の耐久が削れてしまうのでこれがギリギリの調整でしたが、上からコットンガードを積むことで戦況を変えるなど、非常に活きた場面もありました。
Aに振る必要はないので、残りはすべてHに振るとちょうど16n-1になり、これが個人的結論調整でした。

努力値:H220 B252 D4 S28
実数値:H175 A100 B167↑ C72↓ D111 S112

※性格はC下降ですがイカサマ対策でA下降でもよかったと思います。


ひつじの結論④でんじはが強い

最後に技構成です。コットンガードとボディプレスは確定。
残り2枠は「みがわり」と「でんじは」です。この禁止伝説環境は「でんじは環境」とも言われるように、あちこちから麻痺技が飛んできますが、バイウールーも実はでんじはが使えます。
ゴツメを嫌がってザシアンがイベルタルやゼルネアスに引くタイミングにでんじはを入れることで、ほぼ勝利が決まるという試合が何度もありました。
さらに、上記のようにSに少し振っていることで、相手のでんじはに対しては先にみがわりを張ることで避けることもできました。強力なナットレイのやどりぎのたねやラグラージのあくびをいなすこともできます。また、コットン2積みしたみがわりは、物理技ではほぼ破壊不可能な要塞と化します。

この結果、みがわり+でんじはでテンポをとり、コットン+ボディで想定外の高火力を押しつけるバイウールーが誕生しました。ときに禁止伝説たちを3タテするシーンは圧巻でした。

これを当てるか外すかで戦況が大きく左右されます。



構築

この並びにザシアン投げない人はほぼいませんでした。

残り5匹をご紹介します。とにかく相手がザシアンを投げたくなるような選出誘導を意識しました。

ザシアン/ようきHS
バイウールーで削りと麻痺を入れた後に確実に狩り取るために、最速です。ザシアンミラーに強いようH188 B60振っています。

イベルタル/ようきAS
本構築の事実上のエースです。バイウールーとザシアンで試合を詰める以上、3匹目に確実にダイマックスを切るので、タイプ補完や火力も考えてイベルタルがベストでした。

ディアルガ/ひかえめHC
オーロンゲが見えたときに初手に置いて速やか処理してステロを捲いてダイマもします。ヨプのみがザシアンに刺さりました。

ブラックキュレム/ようきAS
基本的に投げませんが、氷技は抑止力になります。いるだけでランドロスが出てこず、やっかいなジガルデも少なめでした。

ラッキー/ずぶといBD
投げません。完全にザシアンを呼び込むための要員です。


立ち回り

①初手物理イベルタルでダイマックス
②バイウールーで受けながらかき回す
③最速ザシアンでとどめを刺す

終盤はほぼ全てこの基本選出と行動で戦い続けました。相手が初手ザシアンの場合は、バイウールーに即引きしてゴツメダメージを蓄積し、こちらのザシアンで狩れるようにします。

イベルタルは初手ダイマ対決になっても、ミラーを含めて最悪相打ちに持ち込めさえすればほぼ勝てました。
なぜなら、相手の残り2匹の選出は「ザシアン+こちらのザシアンに強い枠(日ネクやナットレイ)」であることがほとんどだからです。バイウールーはそのどちらにも強いことが多く、でんじはを絡めて相手の戦力を削れば、あとはザシアンのお仕事です。

バイウールーと相手のザシアンが同着で対面したときは必ずコットンガードを押します。欲張って電磁波を選択するとロクなことになりません。いくら剣舞されても怖くないので(せいなるつるぎは除く)殴ってくるか引いてくるか、慎重に相手の次の一手を見極めます。

以下、特に苦手だった禁止伝説です。

▼ルギア
サンダー並みにバイウールーが何もできない難敵です。でんじはを入れることはできるので、剣舞ザシアンになんとかしてもらいます。

▼ホウオウ
基本選出で最も重たい相手だったので、確実に倒すためにイベルタルを物理にしました。

▼ゼルネアス
油断していると出てきてイベルタルとバイウールーが不利をとります。やはりでんじはを入れてからザシアンに引くことで対処しました。


おわりに

「結局、ザシアンとイベルタルが強いだけでは?」と言われれば、確かにその通りです。

しかし、その2匹が活躍するためにはバイウールーによるクッション、サポート、ときには反撃が必要でした。
そしてそのためには、バイウールーを使い続けることでのみ体得できるダメージ感覚、技選択の根拠、相手の行動予測、不可欠だと考えます。
お相手が受けループだろうと、役割対象のザシアンがいなかろうと、とにかく相棒を信じて投げ続けました。

その結果、最大の逆境と思われた環境でこそ、バイウールーは輝いてくれました。
応援してくれたすべての方々、そして相棒に、この場を借りてお礼申し上げます。

ヘビボのエフェクトがお似合い。

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