サーニーゴを助けた本当の話

こんにちは、ブラボーです。

今回は私が超有名ポケカプレイヤー、サーニーゴ(以下ニーゴ)を助けた話を書きます。


彼自身が言っているこの部分、試合中に意識を失った話に、実は私は大きく関わっています。どのようにして彼を救ったのか、何故彼は今生きて笑っていられるのか、経緯を全てお話します。有料記事ですが、彼の命を救った話を書かせてください。

※この記事はサーニーゴさんの許可を得て執筆し、既に本人からチェックして頂き問題無しと言われています。



第一章「決戦前夜」

8月X日(マッシブーン杯前日)

話はニーゴの自宅から始まる。この日ニーゴは翌日香川県で行われるポケカ自主開催大会「マッシブーン杯」に向けて全力でカード調整を行ってる途中だった。

ニーゴの座右の銘は「自主開催大会でも手を抜かない」

彼は母に教えてもらったこの銘をモットーにこれまで生きてきた。常に本気、全力。進化を求めて終わりのない道をひたむきに走り続けている最中だ。

「俺は絶対負けない、優勝する。」

気合の入るニーゴ。しかしあまりの意気込みからか、睡眠を忘れ、デッキ調整に没頭してしまう。これがあの不幸な事件の引き金となってしまう…


8月X日マッシブーン杯当日

香川県にて行われる自主開催大会にニーゴは満を持して現れた。ニーゴの到着後、次々と現れる各県の猛者たち。すると突然参加者と思われる男が叫んだ。

「見ろ!あれは般若会のアキノヒトだ!」

その声に次々に別の男が連鎖する。

「おい!あっちから韋駄天のバルカンサカキが来るぞ!」

「待て待て待て、あそこで座って話してるの、香川連合のメガクポだぜ!しかも話してる相手は参謀の雷獣こもり!」

「おい!あそこにいるの陰と陽の朝田兄弟じゃないか?」

「あ!…なんだ、えぬまるか」

「すっげー!!中四国のスタープレイヤー全員揃ってるじゃねーか!」


ミーハーたちの解説に一層昂るニーゴ。ここで自分の名を呼ぶものなど1人もいない。あくまで自分は挑戦者というこの環境が彼を更に熱くさせた。燃える闘魂。剥き出しのパワー。そう、今のニーゴは我を忘れた野生の狼。

「俺は挑戦者、挑戦者なんだ!シュッシュ!この場面でゾロアークが来たら、、、こうカウンター!シュシュ!こっちがこう動くから、、、シュ!これでフィニッシュ!ヨォシ!俺の勝ちだ!」

シャドーボクシングのように右ストレートや左ジャブを加えながら入念なイメージトレーニングを繰り返すニーゴ。しばらくして1人の男が近づいてきた。

「おはよう、ニーゴ!」

野獣と化した彼に満面の笑みで近づいたこの男。この者の名こそブラボー。この話の主役であり、ニーゴの命を救った恩人。長身で細身、程よく鍛えられた体。真っ白の爽やかなデザインがプリントされたTシャツに黒のスキニーパンツ、シンプルにまとまったその服装は、夏らしさを際立てる。アクセントに付けている流行りのシルバーピアスが眩しい。

「おはようございます、ブラボーさん」

2人は熱い握手を交わし、ハグ。2人とも大人なのに、もう、、、男ってば、どうしてダチと絡む時って子供に戻っちゃうのかしら。


「今日は負けないぜ?ニーゴ」

「僕も負けません、決勝で会いましょう!ブラボーさん!」

彼らは親しい友であり、仲間であり、そしてしのぎを削り合うライバル。互いを認め合い、尊敬し、高め合う関係だった。

運命。

こんな言葉を使うのは嫌いだが、他に2人の出会いを表す言葉が見つからない。

「それでは今から第一回マッシブーン杯を始めます!」

男たちの熱いバトルがいま始まる。


第二章「舞踏会」

「1回戦のマッチアップを発表します!」

遂に開幕したマッシブーン杯。ニーゴの1戦目の対戦相手は歴戦の古豪「すらっしゅ」

いきなりの優勝候補筆頭にニーゴの気持ちは更にヒートアップした。

ドスン!大量にストレージの入ったリュックを地面に下ろし、自慢のデッキをケースごと机に叩きつける。

「上等、、、来いや!」

ニーゴは鋭い眼光ですらっしゅを睨みつけた。ただの対戦相手ならば、これだけで怯んでしまうほどの圧だ。ただし、今回の対戦相手は優勝候補。ジムバトルで出会うポケモントレーナーとは一味違った。

「礼儀を知らん若造が、、、座れ。」

古豪すらっしゅも睨み返す。ピリつく空気。圧ならば、ヨネタク、いやそれ以上か。いきなりのニーゴVS優勝候補すらっしゅ。沿道に大勢のギャラリーを纏いながら、今、戦いのゴングが鳴る。


戦いは熾烈を極めた。一進一退の攻防。一瞬の油断も許されないその戦いに観客たちは呼吸をすることすら忘れ見入ってしまう。美しさすらあった。事前に示し合わせていたのか、と思ってしまうほどの読み合い。出した拳に、当然のように合わせてくるカウンター。戦っている二人の汗が煌めいていた。ここは舞踏会か?二人の戦いはまるで流麗なダンス。

アンドゥトロワのリズムに合わせて。

アンでドロー。ドゥでエネルギー。トロワで攻撃。

シャッセ、シャッセ、ナチュラルスピンターン

シ ン ク ロ ニ シ テ ィ

鹿 鳴 館 ! !



しかし、勝者は、たった1人。

タイムアップ10秒前、すらっしゅが最後の勝負に出た。

「眠れ、小僧。マッグバンGX!」

現世を冥界へと送る絶望のGX技。そう、マグカルゴのGX技の効果は山札の上から5枚トラッシュへと送るという極悪非道の効果であった。

「マッグバンGXだと!?ルガルガンGXが冥界に送られると、俺の負けだ・・・」

恐る恐る山札をめくるニーゴ。1枚、2枚。よし、ルガルガンGXでは無い。しかしまだ安堵は出来ない。3枚、4枚。違う。・・・フゥー。深く溜息をつく。彼にできることはもはやカードを信じることだけだった。己を。懸けて来た時間の全てを。

そしてニーゴは最後の5枚目をめくる直前にこう呟き、少し笑う。

「Never give up...だろ?母さん」


運命の、5枚目。それはシロナ!ルガルガンGXではない。ガッツポーズのニーゴ。

「な、な、なんじゃとーーー!!!」

ニーゴのガッツポーズに思わず叫ぶすらっしゅ!ワッ!観客たちの大歓声!

「残念だったな、ジジィ。俺の勝ちだ!キーカード!ルガルガンGXに進化!特性ブラッディアイ!食らいな、ライオットビート!!」


渾身の一撃でサイドカードを6枚取り切ったニーゴ。優勝候補のすらっしゅを破り、二回戦へと駒を進めたのであった。勝敗は決まったならば長居は無用。デッキを片付け、その場を立ち去ろうとするニーゴ。

自分の勝敗は己でしっかりとスコアシートに書き留める。これは常識だ。

「待てぃ、、、小僧!!」

すらっしゅは机に両拳を叩きつけニーゴを呼び止めた。不穏な空気で店内が静まりかえる。

「若造が、やるのう。小僧、名は?」

すらっしゅが手を差し出す。なんと彼が求めてきたのは対戦後の握手だった。対戦前には考えられない潔さすら感じる紳士な態度にニーゴはあっけに取られたが、すらっしゅの手を強く握り返す。

「俺の名前はサーニーゴ。爺さんも強かったぜ。またやろうな」

戦った後にはお互いの健闘を称えた握手。勝っても、負けても、気持ちのいいバトルの後には必ず友情が芽生えている。昨日の敵は今日の友。そうやって、友達は増えていく。ポケモンカードってやっぱり素晴らしい。


第一回戦 勝者 サーニーゴ


第三章「逃走」

サーニーゴはスコアシートを受付に提出しに行く。お疲れさまでしたと呟きながら、軽く会釈をしスコアシートを手渡そうとする。その時!!


バッ!

「残念だったなサーニーゴ!このスコアシートは俺が貰ったぜ!!」

なんとすらっしゅが急に手のひら返し!サーニーゴのスコアシートが受付に手渡される寸前で奪い取り、そのまま走り去って行ってしまった。

サーニーゴは驚きはしたが、目の前にいる運営の人に尋ねる。運営の人も現場を目撃している。ここは口頭での報告で問題ないであろう。そう思った。


「すみません、対戦は僕が勝ちました。スコアシートではなく、口頭の報告でもいいですか?」

「いいえ、ダメです。勝敗結果はきちんとスコアシートで提出していただく決まりとなっております。なので提出がない以上、あなたはマッチロスという扱いになりいます。」

驚愕の裁定だった。目の前でスコアシートを盗まれる現場を見ていたくせに、なんと融通の利かない運営。

サーニーゴは落胆した。どうすればいいんだ。俺はどうすれば。

サーニーゴのあまりの落胆ぶりに見かねた運営の人は声をかけてくれた。

「次の対戦開始まであと15分あります。それまでにスコアシートを取り返して戻ってきてください。」

「あと15分・・・!」

立ち上がるサーニーゴ。スコアシートを取り返すために走り出した。この諦めない心こそがサーニーゴの武器だ。


「すらっしゅはどっちに向かった?」

「ついさっき東のほうに向いて走っていきました」

「東・・・」

東。ヴィラ火山の方角だ。

サーニーゴは最悪の事態を思い浮かべたが、東に向かい一目散に走りだした。


第四章「火炎」



















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