【おはなし】オノマトペピアノ #毎週ショートショートnote
ピアノのポロンと一斗缶のガンガンは夜空を眺めながら思い出話をしていた。
マイちゃんが生まれてから結婚するまで一緒に居たのよ。とても楽しかったなぁ。
オレは舞台役者さ。強面のおじさんの頭に何度も体をぶつけて、お腹で音を膨らませるんだ。会場全体に大きな音が響くと拍手をもらえるんだぜ。
えー?本当に?ポロンは久しぶりに笑った気がした。
マイちゃんは、きらきら星が大好きで、いつも嬉しそうに歌いながら繰り返し弾いてたな。
オレも聴いてみたい。
ポロンは寂しそうに鍵盤を一つ叩いた。
ゴトン。
ゴメン。そう言ってうつむいたガンガンのお腹の穴から昨日の雨水がボジョっと出た。
歌ってよ。きらきら星。
少し驚いた顔をしたポロンだったが、夜空を見上げながら鍵盤を叩き始めた。
ゴトン。ゴトン。
そして歌う。
ポロン、ポロン、ポロン、ポロン…
歌が終わった時、ガンガンは自分のお腹を軽く叩いた。
ボウンッ。
間の抜けた音がして二人で笑う。
空に流れ星がスッと筋を描いた。
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今週も、たらはかにさんの企画にお世話になっております!
いつもありがとうございます。