【おはなし】噛ませ犬ごはん #毎週ショートショートnote
安全に自分を強く見せたい。そんな要望に応えるのが、我ら噛ませ犬カンパニーの要員たちだ。
今日の依頼は彼女に良いところを見せたいという男からのものだ。
場所は事務所のビルに入る居酒屋。作戦用にわが社が経営している。
相手は素人だから顔に出ないように誰が要員かは知らせていない。
ちょっとした小競り合いをして要員が引き下がると作戦は終了だ。
作戦の寸前に、要員たちは顔にごはんを付ける。
これで絶妙に負けそうなフラグが立つ。
そして依頼者に対する目印ともなる。
作戦直前、トイレから戻ると依頼者のテーブルから大きな声と皿の割れる音がする。
近づくと依頼者が大男に威勢よく突っかかっていた。次の瞬間パンチを受けて依頼者は床に倒れた。
振り返った男の口髭には沢山のごはん粒が付いていた。
オレは顔のご飯をさっと取り、震える彼女を後ろに下がらせて大男のボディに一発食らわせ追い出した。
大丈夫だった?覗き込んだ彼女の眼はキラキラとオレを見つめていた。
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