19の処女

「なんのために泊まるのか」
当時隣の県に住んでいる男性と交際していた私、月に1回会うのがやっとで、土曜集合日曜解散。
好きな人との月イチデートはマジで秒だった。デートを濃密なものにする為にも私はお泊まりがしたかったのに、父親に言われたその一言で家族会議の部屋は凍りついた。

はァ????????
あの時私は漫画の一コマのような顔をしていたに違いない。
なんのため????寝ても醒めても彼氏と一緒にいてぇからだよ!!!!!!!!
とは小っ恥ずかしくて言えなかった。でも本音だった。

私の両親はかなり過保護だった。特に父親。
可愛い娘の事となると深夜0時に「終電逃した」と言えば例え2時間かけてでも迎えに来る過保護っぷりだった。いや普通にネカフェとか行かせろ。

母親の方は過保護ではあるものの、私の意見も分かってくれていた。しかし「言いたいことは分かるけど、当たり前のように月に1回お泊まりってのもね、、、」とどっちつかずな感じだった。

凍りついた部屋。真剣な父親。どうしたものかと黙る母。漫画の一コマの私。長い沈黙。まさに地獄だった。

「とにかく、月イチはやめなさい。」
「じゃあどのペースならいいの?」
「お父さんとお母さんは年に1回あるかないかだったから、年1にしなさい」

冗談じゃねえ!!!!

さすがの私も怒鳴っていた。
あんたらとこっちは時代が違ぇんだよ。織姫と彦星じゃねんだわ。私は抗った。

「そんな事言ったって、今月のホテルは予約しちゃってるし、来月は一緒に川越に行くから、その日のホテルももう予約しちゃってるよ」
「ふぅん。じゃあその後はしばらくやめなさい。」

クソッタレ男である。こんなんだから私は19にもなって処女なんだ!!と叫びたかった。

それから2ヶ月、川越デートで恋人と喧嘩し、その後私は人生初 振られた。
振られたエピソードはまたいつかするが、「嫌いになった訳じゃないけど、別れた方がいい」等と意味不明な戯言が主な理由だった。クソッタレ男である。

この時私が学んだのは「話し合いをしようとしない男とは上手くいかねぇ」「スマホ上の話し合いはマジで激ムズ」「てか月イチデートきちい」だった。

そこで私は「一人暮らしの県内の人と付き合い、両親から承認され週一のお泊まりを実現させたい」と「今度こそまともな人と付き合いたい……」と思っていた。後者はかなり切実だった。
というのも、高校時代に関西の男とネット恋愛、後に男がストーカーになり警察沙汰。社会人になり隣の県の男と付き合うも相手は中卒フリーター、経済面から月イチしか会えない、話し合いがまともに出来ず意味不明な理由でお別れ。

そりゃもうすぐ20歳になろうと処女だわ。
次付き合った人で卒業してやらあ!!!
そんで親を納得させてお泊まりし放題の生活、いや性活をしてやらあ!!!

と、意気込んでいた。後に私はこれをまんまと叶えたのである。
その後日談はまた次のお話。

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