あまいあまい夢をみてた
大学進学を機に上京をしたのはもう6年も前のこと。
当時のわたしは、大学で教員免許を取得して卒業後は地元に帰って教員になるつもりだった。
まあ、こうしてまだ東京に残っているわけだが。
慣れ親しんだ地元を離れたのは6年前の3月31日。16時ごろ。
当時付き合っていた同い年の彼に見送られながら最寄りのJRの駅に行くバスに乗った。
彼が行くのは地元の大学だった。週末にはたくさん遊びに行こうね、と何度も約束した。
バス停で手を振る彼の姿がどんどん小さくなっていく。
その姿が見えなくなったころ、ピコンとLINEの通知が鳴った。
「4年後、戻ってくるのを待ってるから。」
そんな淡い約束をしたものの、結局彼とはその後2年くらいで別れてしまったし、教員免許もとらず、地元にも戻らなかった。
地元に戻らなかった選択に後悔はないけれど、たまに考えては苦しくなる時がある。
あの6年前のバスの中、わたしはこれからの生活や未来への期待でいっぱいだった。
東京で一人で生きていくことへの不安や、とめどなく流れる涙に気づかないふりをして、一生懸命これからのことを考えようとしていた。
バスに揺られて窓の外の景色を眺めながら、そんな不安を消そうと握り締めた古いWALKMANがその時流していた曲。
チャットモンチーの東京ハチミツオーケストラ。
この曲を聴くたびにわたしは何度でも、あの古ぼけたバスに揺られた18歳に戻れるのだ。
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