叱ってくれ

叱ってくれ。
確かに仕事前に大量の薬を飲んで、職場で嘔吐してフラフラしていた毎日よりは良くはなったと思う。
でも、私のことを褒めないでほしい。そう思う。

誰かに自分を知られるのが怖く、誰かに自分のことを話すのが億劫だ。
だが、友達や恋人を作る過程では自分の存在を曝け出さないといけないタイミングがある。
最悪だ。
誰かに自分を知られた後は必ず、何とも言えない感情に襲われる。
褒められると嘘で固めていた鎧が、ポロポロと剥がれていく。
それは決して良い気分ではなかった。

人間と関わるのが怖くて仕方がない。
昔の薬でダメになっていたあの頃の自分がちらほらと顔を出すからだ。
本当はそんなに良い奴じゃないから、ダメな奴だねと馬鹿にしてくれた方がいいのに。
みんな善人のように褒めてくるから、嫌になる。

まだ、あの頃の薬の味が忘れられない。
あの頃の日々を時々愛おしく思う日もある。
自堕落なのだ。
どうしようもない奴だねと、本当に馬鹿だねと、叱ってくれ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?