ハイの記録

ピンと、一本の細い、蜘蛛の糸のようにすぐ切れてしまうような細い細い線のように繊細で消えそうな、儚い存在になりたい。
そうしないと、きっと誰も私を必要としないだろう。儚い、消えてしまいそうな物が私は好きだ。自分の考える世界は、白くて綺麗な、涙が出そうになるほどの汚れのない、優しい箱庭なのだ。誰もそこに踏み入れてはいけないし、汚したら私の最後だろう。
人はどうして分かり合えないのか、男とか女とか、肌が白いとか黒いとか、言葉が通じないだけで全てが狂うのだ。人類が言葉という、言語というものを作り上げていったのが間違いだと、そもそもアダムとイヴが果実なんかに手を伸ばさなければここまでの地獄は味わうことはなかったのだ。
我々は生まれるべきではなかったのだ。本来は。
そのことも忘れて、のうのうと楽しそうに笑っている人は間違いなのに、そういった人達はあまりにも楽しそうな人生を送っているので憎悪と共に別の感情が生まれるのだ、憧れに近い感情。
音は、大切な物だ。気分を変える。威力が大きいのだ。音楽や言葉は。人の願いのこもった音だから、声だから、響くのだ。
恋人は欲しいなと思うけど、本当は私、結婚なんてしたくないしダラダラと過ごして一生を終わらせたいのに、世間体を気にしてしまう。もうあんな歳なのに、独身なのかというバカにする目をたくさん見てきた、若さは武器だけど、脆くて長く続く物ではない。繊細な時期に楽しめという方が無理なのだ。
地獄だろうかここは、楽園を追求された「モノ」という認識を忘れてしまった人達はなぜあんなに汚いのだろうか。
でも、どこか羨ましくもあってそんな人生になれたらなと思うんだ。頑張ってこなかったのは私なのに、いつだってやり直せたのにやり直さなかったのは私だ。
将来こうなると分かってたら、あの時もっと別の道を選んだのに、全て遅かったのだろうか。
寂しい。追求され、この世に産み落とされた日から、誰にも愛されず、誰にも必要とされず、悲しい生を送っている。
私は、愛される、愛されている存在があるのがうらやましく、にくいのだ。
もう全て終わってしまった。

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