映画『アナログ』感想

年に20本ほど観るライトな映画好きで、監督とか配給会社に詳しいわけではない普通の人が書いています。

作品は良かった。原作:ビートたけしさんのセンスが好き。
俳優さん達も、やはり評価されているだけあって二宮くんはもう別格で、勿論皆さん良かった。
だから泣けるのは泣ける。細かい所を見なければ。

先に結論を言うと、素材やレシピが良くても料理人が微妙だと美味しい料理が出来ないんだなと感じたのが素直な感想。
映画だと料理人て誰?監督?演出?何かの忖度?

なんていうか、
違和感がたくさんあったんです。

まず開始早々、バイオリンを弾く人の姿が。
私、プロのバイオリン奏者です。
映画やドラマでこの専門分野はいいかげんに描かれる事しかないので、前情報で「バイオリンを弾く人が出てくる」とわかっていたらそもそも観に行っていません。
波瑠さんやバイオリン指導の方は賞賛します。ただ、こういう所を観た瞬間、あ、雑だなと。この映画、作り方が雑だなと。
しかも秒でわかったじゃん、彼女の過去。

最初の方にコーヒー1杯に小銭を払うシーンがあったように思うけど、その後からは千円札を出していて、お釣りは無い。
500円?おかわりして1000円?明らかにおかわりしてなさそうでも1000円札だな…
コーヒー1杯1000円?それは良い、まぁ良い。
パスタとコーヒーでも1000円なの?なんで?パスタタダなの?いやちゃんと見えなかったけど、少なくとも小銭は出して無かった筈。
払わずに出てってるっぽい時もあるんですよ。ツケ?
何この不思議な喫茶店。

サン=サーンスのピアノ協奏曲とベートーヴェンの7番がプログラムの演奏会?えっとアマオケの選曲ですか?主催者のごり押しでも無ければそんなセンスのカケラも無いプログラム組まないでしょ。
あとクラシックの演奏会で招待券(確か会社で貰ったと)がど真ん中とか満席とか、リアリティがまるでない。
弓をひく、とか、おたまじゃくし、とか、そんな表現人生で一度もしたことない。

ただの天才バイオリニストならわかるのよ、いっぱい居るから。でもチャイコとロンティボーとヴィエニアフスキでしたっけ?いやいやいやリアリティどこ?せめて1つにして?そこで一等取ってても知らない人だったら反田恭平くんを知らない人より遥かに世間知らずよ?
もっと無理の無い設定があったでしょうに。

6年ぶり(だっかしら?)にバイオリンを弾いてみる、ってあの楽器メンテナンスされてた。保管の為に弦緩めてないしチューニング狂ってなくて弦も切れていなかった。爪を切っていない手で楽器を手に取るとかちょっと考えられない。意味わかんないケースも気になったな〜。

手作りしたり妙案出したり細かいことにわりと気がつく主人公が、お相手の分かりやすい表情に対する反応や行動の描き方が別人格みたいで、なんていうか、人物設定と絵(映像)で見る描き方にズレがあるのね。これ凄い違和感。

女性が洗い物をしている側で手伝おうともせずに呑んで食べてる男性陣の図ってなんなの?昭和のオジがこの映画つくりました?なんか忘れたけど他にもそういう場面あったな。
大体さぁ、妻も働いてて子供も居たような?て会社員がそんな頻繁に友達と飲みに行く絵をわざわざ見せる?喧嘩売ってんの?やっぱ昭和のオジ?
夏に観たジブリでも妊婦に重い荷物持たせるシーンあったなって、嫌な事思い出した。

終盤の波瑠さんの演技について、ネタバレは書けないけど、あそこから普通に表情や唇動かしたり声を出したりする筋肉ある筈無いのよ。そこまでの波瑠さんの演技を見る限り、バイオリンの運指が合ってる所まで頑張っているのに、じゃぁその演技は誰の指示?って思うわけです。

あと、フライヤーの制作の所にあったお名前が、エンドクレジットにはありませんでした。は?
え、、は??

ということで。
全体をみると二宮くんが凄すぎた。表情、涙、どんな小さな所にも役が詰まってた。もしダメ出しするなら、カラオケはちょっと下手に歌って欲しかったかな、水島くんじゃなくて瞬間的にアイドルに見えた。
あ、気のせいか一瞬大女優の顔に見えたんだけど、あの輸入会社のオバさん誰だったんだろう?
とにかく俳優さん達はとても良かった。板谷さんの表情の変化とか感情が分かりやすいしリアルで好きだったな。大阪の場面でも、話し方や会話内容に違和感がなかったのは良かった。宮川さんのおかげかな。

そんなこんなで素材が良かったので、もっと丁寧に作って欲しかったと思いました。なんか勿体無い。
いや、バイオリン弾きって知ってたらそもそも観に行ってないんですけど←まだオコ

ここまで私の感想…もはや愚痴ですね汗、読んでくださった方々どうもありがとうございました。
ただひたすら二宮和也が凄いという事がわかった映画でした。

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