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Basie祭、見に行って来ました

11/13(日)
神戸三宮のライブハウス、クラブ月世界にて、Basie祭(ベイシーまつり)を見に行ってきました。

クラブ月世界は、昭和のキャバレーをそのままライブハウスにした場所で、僕が知っている関西のライブハウスの中ではおそらく最もおしゃれな場所です。

このBasie祭は、学生ビッグバンドの中でもCount Basie Orchestraの楽曲のみをレパートリーとするバンド、いわゆるベイシーバンドが集まり開催されるイベントです。
今年は、明治、法政、名古屋、阪大、甲南、立命の6バンドが出演していました。

Count Basieは伝説のバンドリーダーでありピアニスト。ポピュラー音楽史において、ビッグバンドジャズの地位を確立したレジェンドであり、始祖であり、僕の中では教祖です(笑)

吹奏楽で言えばA.リード、オケで言えばベートーベンみたいな感じでしょうか。

曲数だけでも本当に無限にあり、全国にこのベイシーの楽曲“のみ”を演奏する学バンがたくさんあります。
それだけ演奏されても全くされ尽くすことがない、とにかく奥の深いジャンルです。

今回は名門、明治大学をはじめ、普段なかなか生で聴けない関東の学バンも聴けるとても貴重な機会。本当に楽しみにしていたイベントでした。

ビッグバンド(特に学バン)は、バンドによって扱う楽曲やジャンルが全く違うからこそ、それぞれの全く異なる音楽性がある、というのは僕がずっと思っていることです。
しかし今回のをライブを聴いて、ベイシーという全く同じジャンルの音楽を演奏していても、6バンド、ここまでバンドカラーに差が出るのかと、とても興味深かったです。

ベイシーの音楽については、それこそ特化して研究されている方々がたくさんいらっしゃるので、あえて僕が語ろうとは思わないのですが、レイドバッグやピッチベンドなど、独特の語法、歌い回しがあります。

曲の中での押し引き、濃淡もとてもはっきりしていて、これが日本的な“侘び寂び“や、風情、趣(おもむき)、といった文化に共通する部分があるような気がしています。
アメリカ音楽の象徴でありながら、日本人に特に刺さりやすい理由はここなんじゃないかな、と思ったり。

ここからは完全に僕の個人的な意見なのですが、
ジャズって、練習の前に“研究”というステップがあると思っています。
レイドバッグに代表されるような、言わば“暗黙の了解”のようなものが、ビッグバンドジャズにはたくさんあるからです。

そういった譜面上には無い定石やお約束を押さえた上で、それを実現できるようにしていく作業が練習なんじゃないかなぁと思っています。

自分も高校生~大学生~社会人とジャズ界隈を経験してきましたが、高校生までって、練習の方ばかりに気を取られがちで、研究の方が見落とされていることが多い印象です。
確かによく揃っているんだけど、なんかジャズじゃない、、なんか面白くない、、といった感じのことも。

しかし大学生の学バン、特に今回集まっていたようなベイシーバンドの皆さんって、1年間、ベイシーに本気で向き合い続けている方々です。
めちゃくちゃ研究されているんだなぁ、と思う瞬間が時節あって、とても感動しました。

また、基本的な奏法以外でも、
あのソロは、何年のあのアルバムのテイクをコピーしている、とか、
ここは定石のあの歌い方をもじってアレンジしている、とか、、、

僕自身ベイシーバンドに所属したことはないし、それほど専門的にベイシーに詳しいわけでもないので、拾える範囲はそこまで多くはなかったと思います。
しかしそういった“わかる人にはわかる面白さ”が今回のライブも満載だったと思います。
(ただこれも行き過ぎると、マニアックでわかる人だけが楽しんでいる、初心者にとって敷居が高い、という風になることもあり、バランスが難しいところではあると思いますが、、笑)

各バンドに愉快なキャラクター(個性)があり、演奏面で引っ張るスタープレイヤーがあり、本当に素晴らしかったのですが、今回特筆せずにはいられないくらい良かったのが、甲南大学Newport Swing Orchestraでした。

演奏はもちろん、まるでプロのようなMCをはじめ、メンバー全員で曲名をコールしたり、バンドの雰囲気も最高でした。
これぞ学生ビッグバンドって感じで、冗談抜きで今年いちで感動したステージかもしれないです。

GtとFlの持ち替え(普段はギターを演奏していて、ソロの時だけフルートで出てくる)というスタイルも斬新だったし、とにかく本当に良い意味で、
あれ?甲南NPってこんなバンドだったっけ?
ってレベルの感動でした。今年のNPは本当に良すぎて衝撃でした。。。

ビッグバンドって、合奏音楽のジャンルの中で、『個人主義と全体主義のちょうど中庸』だと考えています。
吹奏楽や合唱ほど、全体主義に寄っておらず、オケほど個人主義に寄っていない。

もちろん全体主義の音楽、個人主義の音楽それぞれに良いところはたくさんあると思うのですが、ビッグバンドってその良いとこ取りで、
ソロや各パートのリードパートなど、個人をしっかり生かしつつも、Tuttiのアンサンブルは全体で息を合させてしっかりキメる。
バンドの中のスタープレイヤーが、埋もれずに個性を発揮でき、それでいて全体の一体感もある。

そして、先述したように、譜面以外のところで研究や勉強、知識も求められる。

学生部活音楽としては、これが最も適した音楽なんじゃないかなぁと思ったりしています。
僕もこの界隈に(今はいちファンにしかすぎませんが)関わることができて、本当に嬉しい限りです。

演者の皆さん、運営の方々、素晴らしい企画を本当にありがとうございました。
やはり、1年間同じメンバーで練習する学バンでないと、この一体感は出ないなぁと感じた次第です。
(いくらモチベーションの高いメンバーが集まるとはいえ、練習回数の少ない、即席寄せ集めの企画バンドではこんな演奏は難しい、、)

最後になりますが、個人的に今回とても嬉しいことがありました。
演奏を聴きながら、当日会場で感想をTwitterでつぶやいたりなんかをしていたのですが、
「(バンド名)のリードTpの方、凄すぎる、、」

と僕がつぶやいた5分後、なんとそれを見たご本人からDMが!笑

しかもその内容が、僕がプロフィールに固定している、企画バンドのメンバー募集に対しての、
「トランペット枠はまだ空いておりますでしょうか?」というもの。

すごいなぁ、あんな人雲の上だなぁ、みたいな感覚でツイートしていたのが、まさか5分後にバンドメンバーになってしまうとは、、笑

こんなに出会ってすぐ、というか、出会う前に一緒にバンドやることが決まったのは初めてです。笑
(その後すぐ会場で挨拶に行きました笑)

ほんとにSNSって素晴らしいです。

高校生の時に初めて見に行って以来、本当に毎年楽しみにしているイベントですが、今年も明治BSの「格付けチェック」への出演決定発表などのサプライズもあり、とても楽しいライブでした。

改めて、みなさんお疲れ様でした。🙇
(画像は公式学バンアカウントからお借りしました)

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