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人生で大事なことは大体ジブリから教わった。

まったく覚えていないのだけれど、3歳くらいの私の将来の夢は『ナウシカになること!』だったらしい。


まじかー。メーヴェ乗っちゃうかー。
王蟲と会話しちゃうかー。

残念ながら姿かたちが大人になった今、私はメーヴェはおろか一輪車にも乗れないし、王蟲どころか焦ると時々知人との会話ですら吃るほどの、立派なコミュ障になっている。



そんな私が今まで生きてきた、たった30年のことだけれど、その30年の中にはジブリ作品の名場面が織り込まれてきらきらしている。

小さい頃は神様がいた訳ではないけれど、朝起きてから寝るまでほぼずっと、録画したトトロを見て育った私にとって『とうもろこし』は『とうもころし』だし、『おたまじゃくし』は『おじゃまたくし』なのだった。

他にも、近所の野良猫に真っ黒いコがいれば名前は『ジジ』だし、ホウキに乗って練習すれば空が飛べると思っていた。残念ながらうちにあった竹ぼうきには魔法の力がこもっていなかったけど。


ピアノの発表会や受験など、プレッシャーを感じる時にはいつも

『女は度胸だ。お前たち援護しな!』

と言って、シータが囚われている要塞にパズーを連れて行く、ドーラのおばさんのことが思い浮かんだ。

女は度胸だ。
そう自分に言い聞かせていた。

それでもまぁ、失敗するときはした。そういうものだってことも学んだ。


自分や誰かが苦しんでいる時でも、笑うことで救われることがあることをナウシカから教わった。

怖がっているキツネリスに噛まれても動じずに

『ほらね、怖くない。……ね?』

と言って、ナウシカは微笑む。

トルメキアのクシャナ率いる艦隊がアスベルのガンシップに襲われて、城オジたちの乗ったバージが腐海に落ちそうになった時も。
ナウシカは乗っているガンシップのエンジンを止めさせた上に、肺が腐る程の瘴気の中でマスクを外し、このままひと思いに死ぬと言った城オジたちへ、冷静に積荷を捨てろと指示する。

そして、ナウシカはニコッと微笑むのである。

非常事態でも、相手がパニックに陥っていても。

ナウシカは本当に心から笑うのだ。


それを見た城オジたちは、『姫さま笑っとる。助かるんじゃ!』と希望を見出し、結果として城オジたちは助かる。

笑うことで全てが解決する訳ではないけれど、辛く苦しい時にこそ、自分と周りの人のために笑顔を忘れないこと。これのおかげで、1年付き合った彼氏に「実はあんまり好きじゃなかった」と言ってフラれた次の日は仕事だったけど、いつもより笑顔2割増しにして乗り越えられた。


ジブリの主人公たちは、捕らえられたり、人に笑われたり、迷子になったり、ケガをして死にそうになったとしても、決して生きていくことを諦めたりしなかった。いつかやってくる王子様に頼ることはせず、今自分ができること、持てる力を使い切ることを惜しんだりしなかった。

ナウシカ、さつきとめい、清太と節子、シータとパズー、ポルコ・ロッソ、月島雫、アシタカとサン、千、ハル、ソフィー……

義務教育が終わるまでの間に、その時々でこれだけの主人公たちに出会えたことは、本当に幸運だったとしか言いようがない。


ただ1つだけ残念なのが、1番好きで何度も観ている「紅の豚」に出てくるマルコとジーナのような

『ここではあなたのお国より、人生がもうちょっと複雑なの。』

と若造に言ってのけるような、素敵な人生経験が私には一切ないこと。


ということで、どっかにジブリ好きの男性転がってないか探しに行ってきます。見つかるといいな。

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