約一年間格闘ゲームのwikiの管理人を務めた感想

はじめ

こんにちは、Laphroaigと申します。
この記事でお話しさせていただくのは、私がGGSTという格闘ゲームのwikiの管理人を一年間ほど務めた感想です。
何かのためになるような事は書きませんが、何かの参考になると思い書き残します。
最後まで読んでいただけますと幸いです。

GGST攻略wikiについて/管理人になった経緯

まずGGST攻略wiki(以下「幣wiki」という)の概要からお話したいと思います。

幣wikiはwikiwikiという無料レンタルwikiサーバーをお借りし、先代の管理人が立ち上げたwebサイトです。GGST発売初期から存在する幣wikiは、日本のGGSTに関する個人運営のサイトでは閲覧数が比較的多いものでした。

私が管理人を引き継いだのは2022年の9月頃のことです。先代の管理人が情報の更新の停滞を理由に、期限内に新管理人の立候補がない場合サーバーを返却すると宣言しました。当時の私は編集者として記事を作成していたこともあり、せっかく多くの人が残していった情報が見られなくなることは大きな損失だと考え立候補しました。

"wikiの管理人"とはなにか

これについて語るには、まず"wiki"と言うものについて理解しなくてはなりません。

ウィキ(wiki)とは、不特定多数のユーザーが共同してウェブブラウザから直接コンテンツを編集するシステム、またはそれを採用したウェブサイトである。

wikipedia-ウィキより引用

上記のように、wikiは"誰もがコンテンツを編集できる"という部分がその他多くのウェブサイトと異なります。

このことから、wikiはweb日記やブログと言った『書き手から読み手への一方通行の発信』ではなく、『不特定多数のユーザーが共同して情報を集める』ことに特化している言えます。

ここで、"ブログの管理人"と"wikiの管理人"の違いについて考えてみましょう。

前者では発信する内容について管理人或いは管理グループ、管理会社が一任しており、クオリティと運営側の金銭的・時間的な負担が直結すると言えるでしょう。

では後者はどうでしょうか?あらゆる情報をあらゆるユーザーが編集でき、編集者が多ければ多いほど管理側の負担を少なくコンテンツを提供できます。ひとつ極端な例ですが、先も引用したwikipediaはまさにそれを体現していると言えるでしょう。

つまるところ、wikiの管理人とは「書き手」ではなく「場を設け整える側」であるということです。コンテンツを提供しているのは管理人も含めたすべての"編集者"です。

GGST攻略wikiの現状

現在の幣wikiは、半年ほど内容の更新ができていない状況です。

昨年私が管理人を引き継いだ時点で既に編集者が片手で数えられるほどで、ほぼワンマンのような状態で編集作業を進めていました。フレームデータ、新キャラクターのコンボ、勝率データのまとめなど様々な情報を掲載しましたが、正直手が回り切りませんでした。

元々積み重ねてきた土台がある分大幅な変更を求められた時の作業量が尋常なものではなく、一つのページを完成させるのに休日を一日潰すこともザラでした。

2023年の6月頃から自分がGGSTから距離を置いていたこともあり、他に更新作業を行う編集者も少なかったため、新キャラクターに関しての情報を少しずつ記述してくだけになっていきました。

同年8月にゲームバランスが大きく変わるアップデートが実施され、GGSTは大きくゲーム性が変化しました。それ以降各キャラクターのコンボやフレーム関連のデータ、共通システムの解説などにはほとんど手が入っていないため、現バージョンでは参考にしようがない文献となり今に至ります。

さて。幣wikiの編集者が少ない理由は、単純にGGSTと言うゲームの人口が問題になっているわけではないと考えています。様々な形で発信を行っているプレイヤーが多数存在しますし、有志のコミュニティも未だ盛り上がりを見せています。では、何故wikiの更新が途絶えてしまっているのか、次の項で考察していきます。

格闘ゲームと匿名性、利益と公共性

格闘ゲームと言うゲームジャンルは、wikiと言う媒体が持つ編集者の匿名性と非常に相性が悪いと考えています。格闘ゲームが他のゲームと比べ専門性が高いことは勿論ですが、何より致命的なのがプレイヤー一人一人があまりにも言語化し難い"自分の動き"と言うものを持っていることです。

これはプレイヤー同士が1対1で戦うという、格闘ゲームの基本的な構造が生み出している"答えのなさ"が問題だと推察します。例えばRPG、特にドラクエや昔のFFといったコマンドRPGなどでは、"敵を確実に倒せる固定の動き"を組むということが可能です。

それらと違い格闘ゲームでは"敵"が"人間"なわけですから、滅多なゲームバランスではない限り確実に勝つということが不可能なんです。これがプレイヤーの動きの多様性を生むと言うのが格闘ゲームの肝だと思いますが、wikiのシステムと非常に噛み合っていないと言えます。ゲーム中のあらゆる選択がプレイヤーによって大きく異なるため、事実ベースで文章を書くことは困難を極めます。かと言って主観が多分に入ってきてしまうと、wikiの公共性が瓦解していきます。

wikiが公共性を失ったとき、その媒体がwikiであり続ける意義について、私は確信を持って「無い」と言うことができます。誰もが編集できるwikiにおいて、"誰もが書けないこと"、即ちいくら調べても判然たる事実として可視化されないことを記述するのはwikiというシステムへの逆行だと私は捉えています。

それに、主観を含む内容を記述するのであれば、それこそ一方的に発信する場を設け匿名性も排斥する方が様々な面で書き手にリターンがあるのは明白でしょう。"誰もが書けないこと"は、wikiというもののコンセプトにそぐわない一方で非常に価値が高く格闘ゲームの上位帯の大部分を占めています。誰が書き残したかわからない媒体でその貴重な情報を放出する理由が全くと言っていいほど見当たりません。wikiの編集や管理といった行為に利益は着いてきませんが、一方的な情報の発信では地位や名声の獲得のみならず収益化まで見込むことができます。

個人が発信をするということのハードルが高かったwikiや掲示板全盛の時代と違い、現代においてはYouTube、X、或いはnoteなどを用いて誰でも簡単に情報の発信を行うことができます。「wikiに書く」と言う考えがまず選択肢にすら上がらないのが現状だと認識しています。wikiの編集作業はどこまで行ってもボランティアの域を出ず、書き手に明確なリターンを与える方法を私は考え付くことができませんでした。

まとめです。

  • 誰もが解釈できず認識が一致しない部分が格闘ゲームにおいて重要であるということ

  • それらを匿名で残すことがメリットになり得ない上、wikiのコンセプトを壊しかねないこと

  • 個人がインターネット上で発信を容易に行える環境が整っていること

以上の三点が、幣wikiの現状を引き起こしているものだと考えます。

さいごに

GGST攻略wikiに関してですが、閉鎖するとか管理人の後継を大々的に募集するといったようなことはしないつもりです。今まで通り新キャラが出た時に少しずつ編集していきます。
もしこの記事を最後まで読んだ上で、「それでもこのwikiを盛り上げたい、自分ならよりよいものにできる」と言う方がいらっしゃる場合は、下記プロフィール欄にございますXアカウントのダイレクトメッセージまでご連絡ください、管理人の権利を譲渡いたします。
最後ではございますが、いつも幣wikiの編集をしてくださっている皆様に心より感謝を申し上げます。
それでは。

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