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原油と小麦 ─ウクライナ戦争に見る“黙示録”の影

 “──見よ、黒い馬が現れ、乗っている者は、手に秤を持っていた。 わたしは、四つの生き物の間から出る声のようなものが、こう言うのを聞いた。「小麦は一コイニクスで一デナリオン。大麦は三コイニクスで一デナリオン。オリーブ油とぶどう酒とを損なうな。」”

 原油と小麦が近年稀に見る高騰となっている。このような情勢に筆者は聖書の一文に思いを巡らしている。「ヨハネの黙示録」で著される最終戦争に至る最初の兆候の一つに、油と小麦の高騰があるという。

 ロシアによるウクライナ侵攻は、同地域が原油と小麦の有数の生産地であることから、供給リスク上昇に伴い3月の先物価格がWTI原油で約35%、米国小麦で約50%跳ね上がった。このたびの戦争がそのような破局的な戦争につながるかというと、妄想としか言えないのだが、黙示文学と現在の情勢がある程度シンクロしている感覚も、筆者の中には少なからずある。

 原油と小麦、また金(ゴールド)の急騰について、アストロロジーではどう見るか。舞台装置はやぎ座終盤に位置する冥王星を中心として、3月4日頃に金星と火星が冥王星を通過したことが主因として挙げられる。まずやぎ座は四大元素(火地風水)の“地”に属するサインで、このエリアを通過する天体に、鉱物資源や農産物といった大地から生産されるものの象意が与えられる。やぎ座を通過する金星は、小麦や金(ゴールド)といった農産物や貴金属、同じく火星は原油やニッケル、パラジウムなどの鉱物資源に紐づけられる。

 やぎ座終盤に位置する冥王星は、地の象意を持つ商品に対して、暴騰または暴落といった極端な値動きを与える。特にそのサインの終盤に追い詰められた天体は、その性質をさらに極大化する。先に述べたように、3月4日頃火星と金星が相次いで冥王星を通過し、この時間帯を中心として該当する商品価格が暴騰したのである。

 さらに詳細に読むと6日には小惑星ベスタが冥王星と合となった。ベスタは筆者の調べでは、関与する天体に非常に強い上昇気流、または火山の爆発のような急騰を与える。これらの天体の象意の複合が、現在の市場に影響を与えたものと考えている。

 火星、金星は6日にはやぎ座を脱し、みずがめ座に入居した。冥王星の入居するやぎ座のサインから離れたことで、火星、金星に紐づけられた原油や小麦といった商品価格は上昇力を失い、今後次第に適正と思われる価格帯まで下落していくものと思われる。

 ロシアのウクライナ侵攻についても、火星がロシア、金星がウクライナに紐づけられる。火星、金星はいまだ合の状態が続いているが、3月下旬になるに従い、両天体は離れていく。3月28日には金星が土星と合、また4月4日には火星と土星が合となるので、その時間帯を中心に戦争状態は停止する可能性が高いと見る。またそれに先立ち、権利の主張を示す小惑星ジュノーが27日に土星と合となることで、両国間での交渉が妥結する可能性も見られる。これらの時間帯まで、ウクライナが持ち堪えてくれることを祈るのみである。

 そもそもこの戦争は戦争犯罪であって、犯罪者と被害者が交渉するというのもおかしな話であるが、世界の現状ではそれ以外に良識的な解決方法がないのも事実だ。クレムリンに長く居過ぎたプーチン氏には、一日も早く退場いただくのが世界平和のためであろう。ウクライナの一日も早い戦争からの解放を願ってやまない。(カルデア・スコープ 第36回)

 ──この記事は、(株)投資日報社発行「投資日報α」(2022.3.14 No.15512)に掲載されたものです。──

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