私的な「面白い漫画」の条件.2

前回の記事の続きです。

~面白い漫画の条件~

2.登場人物が魅力的
よっぽど特殊な形態の作品でなければ、漫画というものは登場人物が居ないと成り立たない。その中で、好きになれるキャラクターが居ない漫画はそれだけで読む気が失せてしまう。
個性的で魅力的なキャラクターがいれば、そのキャラが出てくるだけで嬉しいし、そのキャラの活躍を見たいがためにその漫画を読みたくなる。当然、そんなキャラが多くなればなるほど良い。

筆者が最も好きな漫画である「今日から俺は!!」の作者、西森博之先生はその点におけるスペシャリストだ。このお方のスゴイところは、主人公はおろか脇役、それも名前の無いモブにさえも個性や愛着を持たせて、終いにはその名前の無いモブが主役の回までやってしまうところ。西森先生は自身の作品のすべてでその手法をやってのけるのだ。
同じく西森博之先生の「道士郎でござる」という漫画、これが前述した西森マジック(と呼ばせてもらう)が如何なく発揮されている作品で、最初はどうしようもなく嫌な奴でしかなかった悪漢や名前すら曖昧だった奴が、土壇場でカッコよく活躍したりしていつのまにか愛すべきメインキャラになってたりとか、やたらそういう展開が多い。具体例を挙げるなら、同作品に出てくる「早乙女」という不良の大男。筆者はこの早乙女が一番好きなキャラであり、実際に読めばその意味がお解りいただけるはずである。もう、早乙女が好きすぎて早乙女が活躍してるとテンションが上がるし早乙女が辛い思いをしてると悲しくなってしまうしメチャクチャ感情移入してしまうのだ。

登場人物の魅力というものはいかにして成り立つかと言えば、キャラクターデザインのセンスはもちろんだがそれ以上に性格、そのキャラの立ち回りからなるものである。見た目がちょっと…って奴でも名シーンがあれば「あれ、実はこいつすげー良いキャラだな?」と気付けば惚れ込んでいたりするので漫画のキャラに関しては「見た目がすべてじゃない」とハッキリ言える。
芸人で言えばM-1で優勝した直後はあまり売れなかったけど、小杉のヒーハーで一気に人気爆発して"華"が出てきたブラックマヨネーズのようなもの(あのコンビは見た目で売れたわけじゃないからね、明らかに)。


3.名言、名シーンが多い
印象に残る台詞やシーンが多い漫画は、それだけホームランを量産しているということであり、やはり作品にはいつだって刺激を求めたいもの。安打ばかりでは物足りない。

「ああ、普通に面白いなあ」と思って読んだ漫画が、読み終わった後にその内容をまったく覚えていないことがある。
それは、印象に残る台詞やシーンが無かったからだ。
結果的に、俺あの漫画別に好きじゃなかったし、実はそこまで面白くなかったなぁという感想になってしまう。

名言や名シーンが多い漫画は、その台詞やシーンを見るためだけに何度も読み返したくなるものである。
スラムダンク、ドラゴンボール、ジョジョの奇妙な冒険など…今そうそうたるジャンプ黄金期メンツを並べたが、これらの漫画に共通しているのは「名言・名シーンの宝庫」であるということ。昔からあるネットスラングとしてこれらの漫画の台詞がよく使われていたり、スラムダンクのどの試合が一番好き?とか今でもあらゆるところで語り草になるのはそういうことである。

名言が多い漫画は「ネタになる」。
そしてネタにされる面白い名言というものは狙って作れるものではない。
それ故、かなりハードルが高く求められる要素の一つだと思われる。


ーすみません、また次回に続きます


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