縛られてきた

大学の某はーちゃんからこんなLINEが来た。

はーちゃんがSMバーにハマったという話は以前から聞いていたが、実際どんなところで何をするのか私は何も知らなかった。「縄の練習モデル……?」と思ったが、とりあえず二つ返事で付いて行くことにした。

新宿の雑居ビルの中にあるSMバーに連れて行かれた。店内は薄暗く、縄やセーラー服のコスチュームなどが壁にびっしりとあって、コルセット、網タイツという過激な格好のお姉さんと、スーツベスト姿のガタイのいい男性に出迎えられた。

いかがわしい!!!

「お名前はどうなさいますか?」と訊ねられた。店内でのハンドルネームを最初に伝えておくと、店員さんやお客さんからその名前で呼ばれるらしかった。

わい「ケバブです」
店員「ケバブ……?」
はー「ぐれにしときなよ……」
わい「え、じゃあぐれで……?」
店員「いやもうケバブのインパクトが強くて……」
わい「マジでケバブでいいです!ケバブです!」
店員「ケバブちゃん!! 」

ということで無事にケバブちゃんになれた。やったー。

緊縛講習会の冒頭で「縄を縛られる人の気持ちを体験してしっかりと知ることが大切です」と説明され、あっという間に縄で首輪を作られた。結構恥ずかしいし、縄を結ぶ人との距離が近いのを目の当たりにした。最初は怖いけど、痛くないし苦しくないし、丁寧な手つきで結ばれて、そして「首を上に向けると恍惚、下に向けると屈辱を味わいます」の声掛けに合わせて目線を操られ、脳がどんどん羞恥と被支配の快感で満たされていった。やばい、自分しっかりMかもしれん!と思った。

講習では縄の結び方、腕の縛り方、片付け方などを2時間かけて教わった。難しかった。

印象的だったのは、講師の方がめちゃくちゃ優しかったことだ。上手く結べたらすっごく褒めてくれるし、分からなくなったら何度も反復して教えてくれる。塾講師アルバイトでもこの姿勢は大事だよな〜と思うなど。


初心者にしては上手く出来たと思う

講習会を終えた感想は、「恋人がいる人は全員緊縛をお互いにするべきなのではないか」だった。距離が近く、肌が触れ合い、好きな人に身動きの自由を奪われるのはかなり興奮しそうだと思った。その上、縄は乱暴に扱うと相手の肌を摩擦で火傷させてしまう危険性がある為、慎重且つ丁寧に、相手を思いやって縛ることが大切になる。丁寧に縛れば縛るほど、完成するまでにかかる時間も長くなる。縛っている間の時間を穏やかにリラックスした状態で両者が過ごせると、強い信頼関係が生まれるのではないかと思った。練習して彼氏にやろう!と思い、帰ってから縄をポチッた。

続く───?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?