【バックギャモン】ダブルを考えるために立ち止まるタイミング
ダブルは非常に難しいです。誰でも、プロでさえこの判断を100%正確に下せる人はいません。それくらいには難しいです。とはいえ、ある程度のところでダブルを考えないと簡単にスルーしてダブルのタイミングを逃すということもあります。今回は「実際にダブルするかどうかは別問題として、少しでもいいからダブルを考えるために立ち止まる」というタイミングについて簡単に紹介したいと思います。
1.ダブルを考える要素
ダブルは「序盤~中盤でギャモン勝ちもある状況」か「中盤以降でランニングが絡む場合」で指標が分かれます。
1-1.序盤~中盤でギャモン勝ちもある状況
基本的には「4要素」で考えます。
・ピップ→先に進んでいるほうが基本的には有利。
・バックマンの状態→枚数やアンカーの有無、状態で判断。
・陣地の強さ→自陣と敵陣の強さを比較。
・チャンス→次にヒットできる、自陣を強化できる、逃げ出せる、など。
4要素のうち3つ勝っていればダブルを考えていいでしょう。ただしそれぞれ「どの程度勝っているか」によって差が出てきます。明確に勝っているわけではないけれど、という場合は例えば「0.5くらい勝っている」として評価していくことになります。また、プライム戦やバックゲームはこの指標があてにならないこともありますので注意してください。
1-2.ランニング対ランニング
ランニング対ランニングでは、「8%~12%理論」が使われています。ランで勝っている側からみて、相手のピップが自分のピップに8%加算したものより多ければダブル、12%より多ければパスというもので、ダブルのタイミングとテイクパスのタイミングの指標として使われています。
計算が面倒であれば「自分のピップを10で割ったもの(端数切捨て)を加算し、2を引いたもの(100未満の場合は1を引いたもの)より多ければダブル、2を加えたものより大きければパス、を使っても良いでしょう(上の図の「1.08X」を「1.1X-1 or 1.1X-2」、「1.12X」を「1.1X+2」に変えます)。
なお、ベアオフが始まるとこれは使えません。その代わりに専門のカウントを使うことになります。「EPC」「クレインマン」「キース」などいろいろあります。また枚数や形によっても大きく変わります。自分に合ったものを選びましょう。
1-3.「次に上位1/3のいい目を振り、相手が1/3の悪い目を振ったらパスになる」ならダブル
番外編です。これは私が教わった考え方です。私は「1/3理論」と呼んでいます。1/3(12通り)のいい目を振り、相手が1/3の悪い目を振ったらパスになってしまうならば今ダブルしてテイクさせる、というものです。ただし条件があり、「希望に沿う展開にならなかったときにリダブルされてパスになってしまう」場合は除外します。
似たようなこととして「次にダブルしたらパスになってしまうゾロ目が3つあるならダブル」というのがあります。大体3つくらいのいいゾロ目があればほかにもいい出目があるので「1/3理論」に近いところはあります。
1-4.注意点
いずれも、アンリミテッドマッチでのお話です。ポイントマッチではスコア状況で大きく変わるのでそこはポイントマッチ向けにある程度調整する必要があります。例えば以下のようなもの。
・5ポイントマッチ0-0では、2点取るダブルは弱いが4点取るダブルは強い。
・4away2awayではギャモン勝ちのあるダブルが超強い。
※「強いダブル」は「早く打たないとパスされる」とも言い換えられる。
2.ダブルできるかで立ち止まるタイミング
今回の本題です。今回は「ダブルはあるか?」で立ち止まるタイミングをいくつか紹介していきます。実際にダブルするかどうかではなく、ダブルできるかを見るだけ、というので十分です。大事なのは「ダブルがあるか」で立ち止まれるかどうか、です。立ち止まれないと(明らかな場合以外は)絶対にダブルできません。ダブルのための嗅覚を鍛えるために必要なことと考えます。
立ち止まるタイミング1 相手がダンスしたとき
相手がダンスしたときは自分がフリーでもう1手指せることを意味します。それだけでも得をしているので、ここでダブルがあるかどうかだけ立ち止まってみる、というのはアリです。この場合はおおよそ「4要素」の方を使うことになります。
立ち止まるタイミング2 陣地の差が大差のとき
自陣は4か所作っているが相手は何もできていない、そういう状態で多少のチャンスはある。そのような時は多少攻め手が足りなくてもダブルを考えるために立ち止まっていいでしょう。1回攻めが通ってしまったらテイクさせることができなくなってしまうからです。したがって少しばかりでも攻めるチャンスがあるとなお良しです。この場合も「4要素」を見ることになります。
立ち止まるタイミング3 ゼロマンバック
バックマン(13ポイントよりも後ろの駒)がなくなった状態、ほとんどの場合は13ポイントに重なって逃げたか、13ポイントを超えて安全になった状態を指しますが、その状態でダブルを考えるのは十分にあります。基本的にゼロマンバックになった場合はランで勝っているので、ここで「どのくらい勝っているか」「自陣の形は良い形か」を評価してダブルを考えるということになります。形が良ければ12~15ピップ、形が悪ければ18ピップくらい勝っているあたりで本格的にダブルを考えてよいでしょう。この場合はピップ差と形を中心に考えることになります。
立ち止まるタイミング4 完全にすれ違った後
完全にすれ違った後は、ベアオフ前は「8%~12%理論」、ベアオフ後は専門のカウントを使っていくことになります。すれ違った後は常に「ダブルできるか」「ダブルが来たらどうするか」「どうなればダブルできるか」を考えていくことになり、実は結構時間を使います。明確にダブルするべきタイミングでない場合は即ロールして良いですが、慣れないうちは全部立ち止まって軽くでも考えていいかと思います。
3.実戦例
私の実戦から。
ダンスしたのでダブルを考えるために立ち止まりましょう。この場合はまず「4要素」を見ます。
・陣地→インナーは同じ456ボードだが、次に3を作る目が21通りもある(Any5、41、32、61、43、64)。
・ピップ→12ピップ勝っている。若干よし。
・バックマンの状態→自分は2枚エースにいて悪いが相手は1枚バーに上がっているので白良し。
・チャンス→メイクできる21通りで十分。66もいい目でまあまあ多い。
全要素がちょっとずつ勝っているが調整しても3つくらいは勝っているのでダブルしてもよいでしょう。もう1つ指標としてある「1/3理論」も使うと、いい目はメイクの21通り、そのあと相手の悪い目はダンスする16通りでこれはパスになり(むしろツーグッドがあるくらい)、しかも相手から4倍が返ってこないので今ダブルするべき、と考えられます。
ここまでいろいろ書いてきましたが、すべての起点である「ダブルを考えるために立ち止まりましょう」ができないとそのあと書いたことがすべて無駄になります。立ち止まらないということはダブルしないということですからね。
まとめ
立ち止まることができなければダブルもできない。常に立ち止まることができるようにしよう。ダブルするかどうかは立ち止まってから考えればいい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?