【バックギャモン】ルースヒットした駒を逃がすかどうか(中盤入り口編)

課題ポジション 11ポイントマッチ 白 7-2 黒 白の31はどうする?

盤聖戦桑名リーグより。8/5*のヒットは疑いようがありません。ここに立たれると面倒ですので5ポイントへのヒットは入れておきましょう。問題は残った1ですが、実戦ではここから5/4と逃げました。

これを見た私は「そんな手ある?」と思いました。「ランで負けていること」「ブリッツでもないのに4ポイントに行くこと自体がいい手には見えないこと」が理由です。ところが解析結果は、

えー、マジですか。そんな手あるの?同じ局面100回出てきたら100回11/10 8/5*やるけどなぁ。こんな中盤の入り口であっさり4ポイントに3枚目を置くというこの手、ほかに手があるのになぜ?と思ったので今回はいろいろと状況を変えて考えてみようと思います。

まずはアンリミテッドの場合です。これが一番フラットに考えられます。

意外なのは、24/23 8/5*がほとんどエラーなしと言っている点ですが、これはやらないので今回の検討の対象外としておきます。アンリミテッドでは5ポイントに置いておく手が微差ベストと言っているので、スコア影響(勝っているときは穏やかにやりたい)というのも多少はあるようですが、それほどのものではないでしょう。何せ4ポイントへ逃げる手も最善同等と言っているわけですから、その論法では何も解決していません。では、形を変えてみます。なおこれ以降の検討はすべてアンリミテッドで行います。

参考図1

これは大差で8/5* 5/4が最善で、2番手11/10 8/5*は100点のブランダーです。理由は単純、ランで勝っているからです。ランで勝っているときは安全に進めたいためこれがベストになります。5へのヒットはランで勝っているかどうかはあまり関係なく、立たれるとかなり面倒なのでやらないほうがいいということでしょう。

参考図2

参考図1のバックマンをさらに逃がしましたが、これですら8/5* 5/4が最善です。10ポイントを作ってしまいそうですが25点のエラー。どちらでもよさそうですがそれほど5ポイントはヒットする、ということなのでしょう(立たれると本当に何でもなくなってしまうのが大きいということですね)。

参考図3

今度は逆にランを戻してみます。こうすると8/5* 5/4は70点のエラーで、21/10 8/5*がベストになります(1を選ぶなら11/10よりもこちらの方がよい)。ランで負けていることはダイナミックなプレイを支持する、かつ、ヒットされる痛みが小さいので5ポイントに残す価値がとても高いです。

参考図4

たった1枚、17ポイントの黒を16ポイントに動かしただけですが、8/5* 5/4と逃げる手は25点のエラー。面白いのは黒の1枚残ったブロットの位置が15ポイントまでだとほぼ同じような結果ですが、14ポイントに行くとほとんど同じになります。「もしものダンス」のときに白の攻めが強くなること、ヒットされても1枚残ったアウターブロットへの攻めが利くかもしれないことが大きいようです。
(補足)白のほうに追加で攻めるチャンスがあるならば、ヒットされてもリターンがもらえるかもしれないという感じかと思います。

参考図5

今度は5ポイントへルースヒットしても打ち返される可能性があるので逃げる…と考えたくなりますが、実はこれも1の目によらずほぼ同等。ランで負けているというのが大きいようです。

参考図6

今度は8/5* 5/4の逃げがベストになります。ムーブ後でリードするようになったのが大きいようです。

参考図7

3でヒットするのは疑いようがないのですが、8ポイントが2枚になっています。この場合は5/4がほんの僅か支持されています。例えば9ポイントに2枚で41や10ポイントに2枚で51でも同様です。8ポイントが2枚の場合は黒の2ポイントがダイレクト範囲になってしまうのでリターンを食らいやすいというのが問題なのかもしれません。

参考図8

この形と、例えば9ポイントの3枚を10ポイントにずらして51の場合も同様ですが、この場合は5ポイント打ちこんでそのまま置いておくのと4ポイントへ逃げるのが同等です。この辺の比較は少し難しいですが、無理なくダブルヒットされる目が少なくなっているというのもポイントかもしれませんが、この辺は誤差かもしれません。

ここまでいろいろと検討してきたことのまとめとして。
・ランで負けているときはダイナミックに、勝っているときは安全にする手が支持される。ランで負けているときは残し、勝っているときは逃げる手が支持されやすい。
・ヒットされても攻めがつながる可能性があるなら頑張っても良い。
・ブロックを外す形でヒットする場合、残った駒のダイレクト圏内に入るなら逃げておく手はある。

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