目のないときの立ち回り

今日は麻雀の話です。

私は麻雀歴27年で(もうそんなになるんですね…)、学生の頃は雀荘通いで麻雀に狂っていました。今はこのようなご時世なのでなかなかできないのですが、たまに遊びたいと思うことはありますがなかなか行けないですね。

長くやっていると、「目のないとき」というものがやってきます。例えばオーラスの子で役満ツモってやっと2着とか、そういうような場合です。私が言う「目のないとき」は、「オーラスの親がトップ目で連荘がない、かつ、倍満ツモっても着順が上がらない、倍満出あがりなら条件付き3着」というような場合です。状況によってはもっと厳しい場面が出てくるでしょうが、リーグ戦などの場合を除くと現実的にはこれが一番厳しい場面と考えてもいいくらいだと思います。

そのような場合に私が考えることは「着順を1つでも上げるための点数計算」と「そのためにどのような手作りをするか」です。大概一色や役満狙い、ドラが複数あればそれを軸にタンピン三色のようなものも考えますがそれは手格好によってですね。国士をやりに行くこともありますがその場合は「半分以上降り」が基本になります。

ただし、降り切るのは非常に大変です。国士をやっていても安全牌と思っていたものが当たることもありますし、闇テンに刺さってしまっては配慮もへったくれもありません。

そこで、雀荘のハウスルールというものを考えることになります。つまり「祝儀」です。赤なり一発なり裏なりの祝儀狙いで上がりに行く、はあります。実際、「跳満ツモってもラスのままだが、上がれば赤3枚の祝儀がもらえる」という場面にあたり、結果跳満ツモで4着のままでも祝儀9枚をゲットということがありました。ラス目である自分の上がりで順番を決めてしまうことになってしまいますが他家からは「赤3はしゃあない」と言われてちょっとほっとしました。

基本は「着順が上がる上がりを目指す」「無理なら祝儀最大を目指す」という形で打つのが私のスタイルかと思っています。

さて、今回このような話をしたのはなぜか?

Mリーグ2020シーズン最終戦、と言えばわかると思います。ドリブンズ村上淳プロの打ち方についてです。

その打ち方は「純粋に半荘トップを目指す」というものでした。もちろん目があるうちは頑張ります。ABEMASとトップラスで18万点弱の差をつけてやっと3着という現実的とは言えない差ですが、南場の親が落ちるまではここを目指す、これについてはチーム内でも共通見解でした。問題はそのあとどうするかです。その場合は今度こそ「純粋に半荘トップを目指す」という打ち方をするということを、試合前から決めていました。もう1つ決めていたことは「どのような打ち方でも一貫する」ということです。この両方を、村上プロはやってのけました。

・南2局で内川プロからの打ち込みは、打ち込んだサクラナイツだけではなく親が落ちるABEMASの優勝の可能性も下げることになるが、半荘トップを目指すという目的に沿っている。

・南3局での勝又プロへの差し込みは、リーグトータルトップ目への差し込みになるのでリーグ全体としてみれば完全終了に近いレベルの一打だが、半荘トップを目指すなら安く差し込んでかまわない点差であり、一貫していると言える。

・南4局での上がりは、2着3着目の争いが非常に僅差でどちらかが自力で決めてもらうということもあるだろうが、最後まで一貫して上がりを目指し、ツモってそのままの着順で終了した。もし着順を変えるロン牌が出てきたとしても堂々と上がったはずだ。

確かに、南2局(親が落ちた後)からは何もしないという打ち方もあるだろう。そしておそらく多くの人がその選択をするだろう。私もその選択をするかもしれない。でも、それだけではないぞ、というところを村上プロ、ドリブンズは見せてくれたのかもしれません。

あれほどの「究極の条件戦」に自分が入るということはあまりないかと思います。それこそ大きな大会に参加するとかしない限りはないでしょう(半荘レベルではそこまでのことはありえない)。

目がないときに何もしない、というのは、それだけで「4人」が「3人」になる行為です。それ以前に「最後まで何もしない」というのはプロでも難しいと思います。究極的には、鳴かせるだけで「何やってんのよ」と言われかねないのです。

行くも地獄、行かぬも地獄、村上プロは行く地獄を選択しました。最後まで一貫してその地獄を歩み続けた村上プロはすごい。私なら、たぶん、一貫してトップを狙うというのはできないと思います。上を目指すものが自力で決めてほしいという気持ちもあるからですが、打牌をしなければいけない以上完全なる黒子に徹するのも難しいんですよね。

当然批判も多くありました。が、どのように打っても批判される厳しい状況です。ならば自分たちの最善を尽くすという方向に舵を切った判断は尊重したい、むしろ尊敬に値すると思います。

Mリーグ2020の最終戦、トータル216試合の最後の1試合の話ですが、いろいろと考えさせられる試合でした。その試合も見てほしいところですが、できればドリブンズのクラブハウス映像を見てほしいと思います。どのように考えていたのかが良くわかります。

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