最低労働賃金が上がって、良かった良かった!?

働きがいをともにつくるための〜働きがい創造戦略〜

第3話 前書き➂

2023年に最低労働賃金が全国平均で1000円になり、ちょっとした騒ぎになりました。経営者にとってもっと怖いのは、その時に2030年代半ばに1500円に引き上げる方針も打ち出されたことではないでしょうか。
 また社会保険の適用拡大によっていわゆるパート社員と呼ばれる方々が社会保険に加入しなければならない範囲も広がってきました。更にインボイス制度も始動し、この数年は大きな変化が予測されます。
 これらの施策は表面的に見ると次のような図になっていて、一見無関係に見えるかもしれません。

この様に見ると対象者はバラバラで、もしかすると“私には無関係”という方が大半なのかなとも思います。しかし一つ言える事は、全ての背景にあるキーワードが潜んでいるのです。
 そのキーワードが【自立】です。
 
 『最低労働賃金が上がったから社員が喜ぶ』という単純なものではありません。最賃1000円が1500円になったと言われても『ふ~ん。』という感覚かもしれませんが、『20万円だった初任給が30万円になった』と言われるとインパクトがあるのではないでしょうか?
 会社としてはパート雇用で2人に10万円ずつ、合計で20万円支払っていたものが30万円になるのです。
 また社会保険の適用が拡大するということは、企業負担が14%近く上昇する事を意味し、片やパート社員の方々は14%の手取りが目先では減るということになります。
 インボイス制度も適格事業所になろうと思うならば、仕入れる側かその事業所側のどちらかが実質的に消費税10%を負担しなければならないということです。
 
 そうなるとどんなことが起こるでしょうか?
経営者も自衛策を講じるしかなくなってくるのです。

 ですから表面的に上がった下がったという話ではなく、長期的に見ると全ての人に自立が求められていることに他なりません。
 これだけ自立が求められる中で『自分は関係ない』とは言い切れない時代になりましたから、自分の身を自分で守る努力が必要になりますね。

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