インヴィテーション:Theatre E9 Kyotoでの音響実験

2020/03/24(Tues.)

 山下残さんの新作「インヴィテーション」の小屋入り稽古が今日から本格的に始まりました。これまで出演者の皆さんが稽古されてきたダンスの内容を実際に見せていただき、それぞれのダンスの中に音響的な仕組みが入れられそうな箇所があれば意見を述べていきました。ダンスの内容はペアとなる相手の言葉と一緒に体を動きを暗記しなければならないため、出演者の方たちは覚えることがいっぱいあるので大変です。僕にもセリフがあるのですがとても短いセリフなので、言葉を発するタイミングさえ間違えなければ何とかなりそうです。

 1時間の上演時間のうち、今日までの稽古で前半30分くらいは完成していましたが、後半30分をどうやるかを山下さんを中心に出演者らと会議しました。実際にいろんな音響装置を持って来ていたので、それらを実験しました。
 いろんな実験をする中で一番盛り上がった瞬間は、天井からぶら下げたロープにラジコンを結び、ラジコンを動かすことでロープの先に着いた楽器が鳴る、という仕組みを実験していた時です。その時はロープの先に水を入れたペットボトルを用意しておき、ラジコンが動くことでペットボトルが上下運動して、トイピアノの鍵盤やギターの弦を鳴らす予定だったのですが、ラジコンが暴走してトイピアノやギターと衝突してカオスな状態になりました。その様子を見ていた山下さんが「パンクロックだぁ〜」と歓声をあげるなど、会場も盛り上がっていました。
 結局、ラジコンの動きが速すぎて、観客のいる劇場内を安全に走らせことが難しく、音の仕組みも不安定要素が多すぎることから今回は採用になりませんでした。ですが面白い仕掛けだったので、また別の機会で是非とも実践したいです。なかなか広い空間でないと実現できない実験をさせていただけたのが貴重な経験でした。

 他の音響的な仕組みを模索する中で、ポップソングをカットした音源を流すアイデアを思いつきました。これまでカットアップの手法でポップソングを大胆に反復させたノイズミュージックを実験しており、作品の印象的なシーンで使えないかと提案しました。今回のパフォーマンスではスピッツのロビンソンが大事なモチーフになると伺っていたので、ロビンソンをカットアップした音源を流しながらダンサーさんたちに踊っていただきました。
 会場内のPAを使って音源を再生すると、劇場空間の響きで音源が混ざり合い、不思議と心地よいグルーブが発生しました。これは使えるとの判断で、スピッツの別の楽曲「チェリー」のカットアップも制作しました。まだクオリティは納得できていませんが、明日のリハーサルまでに仕上げていきたいです。

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