2022/11/20 統計検定1級(統計数理・統計応用理工学) 受験体験記

こんばんは。
備忘録といってはなんですが、タイトルの通り統計検定1級(統計数理・統計応用理工学)を受験してきたのでつらつらと感想を書き記していきます。

自己紹介及び受験経緯

私は関西の大学に通う4回生です。高校数学は数学IIIまで履修しており、趣味の範疇ですが簡単な線形代数、微積分(重積分・微分方程式)、応用数学(ベクトル解析・フーリエ変換・ラプラス変換)も高専の教科書で独習済、という程度には数学的素養がありました。したがって、この試験に向けて数学だけに特化した特別な対策はしていません。元々アクチュアリー試験の数学を受けるつもりでいたのですが、諸手続きが間に合わず、代わりに範囲の被る統計検定を受けてみようと思ったのが受験の経緯です。

感触(統計数理)

モデリングは手薄だから勘弁してくれ…と出題内容に対する思いを馳せつつ試験開始を待つ(-5分)。
試験開始。普段まっさらな白紙に演習していたので答案用紙の罫線にビビる。間隔狭いし。鬱陶しいな(0分)。
パラパラとページをめくり各セットの内容を俯瞰。問5以外はどれも手が付けられないということはなさそう。まぁ初めから解いていくか(2~3分)。
問1。東京医科歯科大や早稲田大学商学部なんかで出題されそうな類の難問の匂い。しかし、あれこれ文字を置いて式変形してみると単なる多変数処理の問題だと分かる。すんなり完答。何か落とし穴がありそうだが(そしてこの予感は見事に的中するのだが)…見直す時間はないし次行こう(20分)。
問2、問3、問4で迷うも、問2は直観的に避け問3の終盤にモーメント法という馴染みの薄い文字列が見えたので消去法で問4に着手(22~23分)。内容は密度関数や推定量のあれこれで、問題数こそ多いものの出題は基本的で淀みなく手が動き完答。ふぅ〜貰ったぜ、合格!(55分)。
問3へ。(1)(2)はポアソン分布・ガンマ分布の期待値・分散の導出。脳死で書き殴って終了。余裕過ぎワロタwwwと高を括っていると(3)の壁にぶち当たる。「明解演習 数理統計」で似たようなの解いたことあるけど…どうやったっけ…分からない分からない…(75分)。あたふたしているうちに10分前アナウンス(80分)。焦りが込み上げてきて最早試験どころではない。問3(3)の確率分布を考えつつ、埋めた問題の見直しをしているうちにtime up(90分)。
答案回収後にぼんやり問題冊子を眺めていると、問1で全確率が1以下という条件を忘れる致命的なミスに気付く…しかも包除原理の式間違えてるじゃん…そしてあれだけ悩んだ問3(3)の方針もおぼろげながらに浮かんでくる…同時分布出して積分でパラメータ消すだけやんけ。。。
もうこれ落ちましたわ。。。
感触50%〜55%ぐらい。

感触(統計応用理工学)

問1。数理の知識を動員すればアドリブでどうにかなりそう。(3)以外はいけた(チェビシェフの不等式をZに適応するところまでは書いたので部分点くれ…)。
問4。(1)(2)だけ。(3)以降も抗えばどうにかなったかもなぁ。
問5。統計数理で出るかもと思って対策していた多次元正規分布。条件付き平均値・分散の説明書き要らんねん(俺が前日に導出したから)。流れに乗って(5)以外は埋めた。平均への回帰の説明だけやや怪しいが。
感触60~65%程度。

総括

月並みな感想ですが、やはり自宅や図書館で演習するのと現場で解くのでは状況が全く違いますね。
現在予備校で学生非常勤講師として働いており、校内模試の採点なんかに携わる度に「このぐらい合わせてくれよ…」なんてやきもきしてしまうのですが、やっぱり試験特有のひりつく感じは、そのテストを受けた当事者にしか分からないのでしょう。自身の受験生時代を思い出して懐かしくなりました。
各試験に関して。統計数理は確実に落ちていると思います。しかし、厳しい時間制約や緊張などに対し、いかに対処するかも踏まえて実力だということを理解した上でも、やはり今回の出来に関しては選択した大問を間違えた結果と言わざるを得ません。
一方、無対策の統計応用が思いの外戦えてました。棚ぼたで合格しないかな。

使用参考書

統計応用は無対策なので、統計数理に関するものだけをまとめます。
アクチュアリー試験で推奨されている以下の2冊を使用しました。
①入門数理統計学

②明解演習 数理統計

本来入門数理統計学を一通り読み進めた後、明解演習に取り掛かるのが王道的な勉強ルートなのでしょうが、時間が無かったので明解演習を解きつつ理解の浅い所を入門数理統計学で補強、という学習法を取りました。
統計検定の級を段階的に重ねてきている人や、大学で初等的な数理統計の講義を取ってきた人であればいずれもスムーズに着手できると思いますが、そうではなく「期待値って何?」というレベルの方は以下の参考書を挟むのをおすすめします。
③新版 確率統計

本来高専で使われてる教科書なのですが、非常に薄いので初学者でも手を出しやすく、数理統計で出てくる用語や概念をふんわりと理解できます。これを例題を解きながら読み進め、章末問題がすんなり解けるレベルに達したらセンター試験数学II・Bの「統計的な推測」の範囲を過去10年分ぐらいやりましょう。ここまで済ませれば、さほど高い壁を感じることなく①②に進めるはずです。
ちなみに、上記の参考書ではカバーできない内容(デルタ法やモーメント法など)もあるので、別に対策する必要があります。私は新たに参考書を購入して取り組む時間的・金銭的余裕が無かったので過去問で済ませました。

過去問

明解演習がある程度進んだ(ほぼ全ての例題の解答を自力で再現できるようになった)段階で過去問へ。遡りすぎると却って傾向が違うから数年分で良いという意見もありましたが、自分の学習状況を踏まえ、①②でカバーできない内容も含めて効率的に対策するには過去問をやるのが最善だと判断し、ネットに落ちてる問題を血眼になりながら拾い集め2012年あたりまで遡りました(2018・2019年だけは探しても見つからなかったので、身を切る思いで公式の過去問を購入しました)。2014・2015年あたりは異常に難しく、復習しようとして挫折してしまった問題もちらほら。一方で、過去2〜3年の問題は比較的平易なものが多く、3完した年度もありました(2019だったかな?)。

これから受験される皆さんへ

時間が足りません。ですので、脳死で初めから解いていくのではなく、解ける一題を最優先に確保することが何よりも重要だと思います。これができるとかなりメンタルが楽になります。
また、試験内容の性質上、受験物理のように序盤のミスが後に響く問題が多いです。処理速度を上げていくのとともに、雪崩を起こさないよう正確に計算を実行するという点も意識して学習を進めていくと良いでしょう。

*追記
数理統計は合格、統計応用は不合格でした。
予想と真逆の結果に。
来年応用を取りに行くつもりですが、ついでに数理も受けようか検討中。

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