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福永信 『一一一一一』 (河出書房新社、2011)

語るひとが語り、聞くひとが聞く。会話はそうして成り立つものですよ。語りが進むには、待ちながら聞き、相づちを打って応じることが必要でしょう。つまり、語る内容だけがあっても、円滑な会話はできないと言えませんか。しかし、相手の反応をみて、つい別のことを尋ね、気がつかないうちに、違う話題で盛り上がってしまうこともありますね。そして、たびたび、同じ話に戻ってくるのです。ひとりがずっと語りつづけていたって、思いも寄らない景色に遭遇するかもしれませんし。そのときまで、何度でも待ち、やりすごしてきたのです。そうでしょう?

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