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イエスな夜

イエスと言ってもジーザスじゃありません。今夜はイエス、プログレの。

プログレッシヴ・ロック。直訳すると進歩的なロック。
進歩的かどうかはともかく、クラシックを志向したロックであるから、1曲1曲が長く、かつ演奏者に腕がなければならん。
ロックンロールは一般に、腕がマストではない。ノリでやれるから、パンク例えばピストルズなんて、ターヘーである。
クラシックはもちろんジャズも、上手いのが基本。いっぽうロックはジャズ同様に黒人音楽由来じゃあるが、電気楽器を使い、より魂の叫びを強調する。
※ライヴに行くとわかるとおり、だいいち音がデカい。

プログレはしかし、魂の叫びというより「表現」を重視する。クラシック志向なもんで。

ストラヴィンスキー『火の鳥』にリック・ウェイクマンのシンセが被さる3枚組のライヴ盤『イエスソングズ』。私に12分だけください。これ凄いから。
◆Firebird Suite ~ Shiberian Khatru 

https://youtu.be/7frawEMJlHs

奇数拍子ものかは、緊張感溢るる。

メンバーは、
ジョン・アンダーソン(Vo)
スティーヴ・ハウ(g)
クリス・スクワイア(b)
リック・ウェイクマン(key)
アラン・ホワイト(ds)← ジョン・レノンのプラスティック・オノ・バンドのメンバーでもありました

60年代後半に現れたプログレッシヴ・ロックは70年代前半までが隆盛期。
50年代のチャック・ベリーやビル・ヘイリーをロックンロールの嚆矢とすれば、それは大人社会に対する若者の反抗という面があった。
〝単なる反抗〝を脱してポップカルチャーを牽引した60年代のビートルズやストーンズ。そしてツェッペリンなどが同時代(コンテンポラリー)的であったのに対し、プログレはいわば保守反動。15世紀に古代ギリシャやローマを憧憬した、ルネッサンスを彷彿させる。
しかしルネッサンスが教皇支配に懐疑を投げかけ、ギリシャ/ローマ文化・哲学とキリスト教を融合させ、人間讃歌を通じて神と人との1対1の関係性(宗教改革)ひいては個人主義、すなわち近代に繋がったように、プログレの衰退と同期して〝ガッツリ個人・強烈な自我〝のパンクが登場した。
これが76 - 7年ごろ。

人類全体の歴史はおおよそ100年単位で移り変わるが、ポップカルチャーはその点、速い。

いずれにせよ物事は、テーゼ⇄アンチテーゼ → アウフヘーベン(止揚)という弁証法的に進むのである。うむ、ヘーゲルとマルクスは正しい。
なのでプログレは、保守反動と見せかけて、結局進歩的だったりする。

◆アルバム『リレイヤー』のA面全部は〝錯乱の扉〝。めっちゃ感動するで。

https://youtu.be/sOz5w8Lb1m4

この時のキーボードは、パトリック・モラーツ。ほら、また変わった。

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