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Oblique triangle flapと皮弁の感覚障害に関して

  Relationship between sensory recovery and advancement distance of oblique triangular flap for fingertip reconstruction.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18762102

oblique triangle flap (以下OTF)における皮弁の前進距離と皮弁の感覚障害の相関に関しての論文です.


OTFはドナーに対して植皮を必要とせず,graft on flap の足場にもなり得る指尖部の再建方法です.

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PIP・DIPともに伸展位での制限や,指尖部に緊張がかからないようにするためには,なるべく近位で切開を加え皮弁を挙上する必要があります.

神経血管系周囲の脂肪組織は皮弁の伸展を妨げない程度に付着したまま挙上することで血管のSpasmを予防することができるとのことです.

断端部位の形状を考慮する必要はありますが,第1・5指は橈側,第2~4指は尺側から皮弁を挙上します.第1~4指に関しては母指との対立運動を考慮し,第5指は物理的な接触の少ない側から挙上するためだと思われます.

本題ですが,
OTFは最大15mm程度まで皮弁を前進することが可能である皮弁であるが,12mm以上の前進を行うと優位に皮弁の感覚障害を認めた とのことです.

評価のタイミングは皮弁の感覚が固定されてから3ヶ月変化がない状態で行い,S-W test,  2-point discrimination test(相関認めず), Dysesthesia, Cold intolerance で評価されています.

OTFでは皮弁の伸展は12mm以下 (10mmまでとする成書が多数見受けられます) とし,また感覚障害において hyperesthesia は hypoesthesia に対してより重篤な合併症であることを術者は覚えておく必要がある.




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