這
トンネルの中を、這っている。
歩けるほどの高さがあるかは分からない。
けれど、
どこに落とし穴が仕掛けてあるか分からないし、
道はでこぼこしていて、
空気が薄い。
立つと、立ちくらみがするのだ。
目眩に襲われて、暫く動けなくなる。
だから、
這っている。
それでも歩かなくてはならないから。
目が霞む。
薄暗い道の中、
遠く先に光の点があるような気がする。
でも、
霞んだ目が見せる幻のような気もする。
突然に、
全身に重だるさを感じる。
堪らずその場で倒れ込む。
それでも、
進まなくては...と思って、
言うことのきかない身体を懸命に動かし、
また這いはじめるのだ。
終わりが見えない。
トンネルではなく、
出口の無い、洞窟なのかもしれない。
いつ迷い込んだのかも、
はたまた誰かに放り込まれたのかも、
もう、今となっては思い出せない。
ただ、進むしかないのだ。
その身体が朽ちて果てるまで。
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