河原に着いた。
川沿いに小さな道路が走り、橋の下には少しスペースがあり、その場所に車を停めた。車に乗ったまま缶のフタと窓を開け、河に流れる涼しい風を車内に導き入れた。午後の日差しに暖められた風ではあるが、川面に冷やされ、心地よい風を車内へ運んでくれる。
 秋本は座席を倒し、タバコを咥えたまま伸びをした。
「彼いないんだよね、
 なんで作んないの?」
と藪から棒に聞いてきた。
「作らないんじゃなくて
 出来ないんですよ、、、、そう簡単には」
「レベルが高そうだもんな、霜田は」
そう言うと秋本はリクライニングを元の位置に戻し、愛美の目をじっと見つめだした。
「そっ、そんな事はないですよ
 出会いが無いって言うか。。。」
「出会い?
 あるじゃん、、、、今」
(えっ!?今って・・・・)と思ったところ、秋本は続けて
「俺だって彼女いないしな・・・」
まだ瞳を見つめたまま。。。
 愛美が心の中で(あ~やばい展開だなぁ~。)と思い、下を俯くとシフトレバーの上に置かれていた秋本の手が、両脚を揃えて並べた愛美の右脚の上に伸びてきた。ビクっと驚いた愛美ではあるが、すぐさま、、、
(やばい、襲われるかも、、)
と瞬時に思うと、また病的な感情も沸いて来るのだった。
(ここで秋本に無理やり、されるかもしれない。。。)
逃げなきゃと思う反面、乗せられた手の暖かさと僅かな動きが、気が付かないほどの電流を愛美の身体に与え、その電流に身体の芯が反応していきそうな予感に気が付いた。
「ダメですよ~」
笑いながら、秋本の手に自分の手を乗せ制止する。
「でもね、正直
俺は霜田の事、気になっていたんだぜ、本気で」
(えっ!?何言ってんの?コクってんの!?馬鹿じゃない?)
と一気に頭に浮かぶが、顔は火が噴きそうなくらい火照ってきていた。
(どうすんの!?明日から会社で顔合わせらんないじゃん!
 それに、変態遊び人だし。。。。)
止めどなく頭の中に溢れる言葉。そんな呟きをしている間に、手への注意心が途切れてしまい、秋本の手指が再び動きだした。
 指先は、優しくストッキングの上から愛美を撫でてくる。太股の内側、脚を閉じていても僅かに太股には隙間ができてしまうのだが、そこに秋本の指先が滑るように入り込み、少しづつ少しづつ、濃い紺色のミニスカートの裾の中へ忍び込んで来る。
(んつ。。。。)
ざわざわと背中に広がる快感の電気が、喉の奥で声とも息ともいえない音をならしてしまった。
「ダメですよ、先輩
 止めて下さい。」
と必死で秋本の手を抑えようとするが、秋本は愛美の瞳を見つめつづけ、その視線に愛美の視線が吸いこまれると、抵抗虚しく全身の力が抜けていってしまうのだった。

 拒絶しているのは理性だけ、本能である女の部分は、既に火が着き、全身に快楽を受け入れる用意が整い、秋本の優しく舐めるように僅かに動く指に反応し、全ての血液が愛美自身に向けて流れ集まって行くのを感じた。秋本の右手が愛美の左肩を掴み、引き寄せられた瞬間、秋本の唇が愛美の唇に乗せられた。
(ん、ん、、、、)
と呻くと同時に、唇の力が全身の力と共に抜けて行き、その瞬間に秋本の舌が愛美の中に入り込んできた。また呻き声を漏らすが、力が抜けた唇は秋本のそれを迎え入れ、秋本の舌が動くたびに自分の舌先も自然に秋本のものを求めるように絡めてしまうのであった。
(だめ、逃げなきゃ)
と頭では思うのだが、胸の先の小さな突起は彼に触れられるのを待つように硬く敏感になり、太股から進んでスカートに入り込んだ彼の手の上に乗せた自身の手は、もう拒否をする事を止め、彼の男らしい細く骨ばった指を愛おしいものに乗せるように、優しく合わせるだけとなっていた。
 肩を引き寄せられ、合せた唇が開放されると、彼が愛美の腰へ手を回しグッと力強く引き寄せ、腰が反れ後頭部を後ろに曲げたような姿勢になった。その瞬間、彼の唇が、愛美の首筋へ移っていった。
 抜けていた力が、手指に戻って来た、しかしその力は拒絶の力では無く、あの快楽に落ちて行く時に感じる何かを掴もうとする緊張であり、もう彼を拒絶する事は出来ないほど、頭の中は溺れているような気がした。
 彼の手が強く鼓動を繰り返す胸元に乗せられる、反対の手は、もう脚の付根まで達しており、その動きと胸に乗せた手の指先が同調するように、ゆっくりと愛美の身体を弄んでいく。彼が少し動くたびに、喉の奥から吐息が溢れ、愛美が浸って行くのを否定する事が出来ないほど、女の快楽への鳴き声を彼に聞かせており、その事実が消えゆく理性の意識の中で羞恥心を呼び起こす。
 その羞恥心は拒む力にはならず、全身の血の流を速め、今にも触れられそうな彼の指を待つ潤った秘部に集中し、柔らかなヒダの間から、じわりじわりと蜜を押し出すように流し出すのだった。
 「ほんと、、、、ダメ。」
言葉にならないほど小さな声で抵抗を表すが、愛美自身にも意味の無い抵抗だと言うのは判っていた。その証拠に、彼の腕に巻きついた愛美の指先は、彼の腕の動きに合わせて力なく捕まるだけで、決して彼の動きを止めようとする意思表示にはなっていないのだった。
窓から差し込む濡れた唇は輝き、少し開かれた唇は熱い吐息と甘い快楽の悲鳴と混ざり合い、決して大きくは無いが、車内に満ちていき二人の本能の感情を一層刺激していった。
 上着の上に置かれた彼の手が、無造作に上着の中に入ってくる、そこは薄めのブラウスと、下着だけの部分、胸の膨らみで窮屈な上着の中で動く彼の手は、愛美の見かけよりもある柔らかな胸を、下から救い上げるように持ち上げ、中指と人差し指が敏感な先端に触れる。
その敏感な部分は、雄からの刺激を待つかのように硬く締まって待ち望み、彼の指先が当たる度に心地よい喜びを女の身体全体に響き渡らせるのであった。
首筋に這わされた彼の唇からは、腕の動きに合わせて彼の熱い息が当り、舌先が首筋から胸元を優しく舐め進んでいた。窮屈な姿勢で、再び愛美が待ち焦がれていた唇に彼の唇が戻り、合さった唇の間から奥へ入る彼の唇を、今では愛美自身も自ら絡めてしまうのであった。
ストッキングの上から、その熱い部分に彼の指先が当たる、ぎゅっと身体に力が入り、力が抜けた瞬間に蜜が溢れ出るのを感じた。直接触れられたいと身体が訴える、その訴えは愛美の胸に切なさとも、もどかしさとも言える感覚を与え、自然に脚を少し開いて彼の指先を迎え入れようとしてしまうのであった。
(もうだめ、欲しい。。。。
 もっと、、、、)
そう頭の中で呟く以上、身体は男を欲していた。

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