消費のクリエイティブを考える

糸井重里さんの
『インターネット的』を読んだ。

感想

2001年に出版された本とは思えない内容でした。

本題に入る前に、少し説明を。

インターネットが商用化され始めるのは1991年(僕の生まれた年!)。
1990年代半ばから、ようやくインターネットがインターネットと呼べる代物になった。※1995年の阪神・淡路大震災でインターネットが活用され、注目を浴びたらしいです。

糸井さんがパソコンに触れたのは1997年。インターネットが使われるようになった初期。(当時49歳!お元気!)
そして、その翌年の1998年には、「ほぼ日刊イトイ新聞」を始めていた。そして現在も元気に続いている。
その経験をもとに、インターネットがもたらした世界――人々の新しいつながり方、豊かさ、新しい価値観――つまり「インターネット的」世界について書かれています。

「俺は〜思うけどな。みんなはどうよ?」的な感じで、かなりラフに書かれていて、
人によっては、「ズバッと書けや!」と感じるかもしれませんが、僕としては読みやすくてよかったです。

出版から12年たった今でも古い印象はなく、未来から来たんですか!? と聞きたくなるような内容で、糸井さんの先見性に脱帽でした。 
この本で出てくる、「リンク」「フラット」「シェア」なんて概念も、今も色褪せることなく使われ続けてます。
ただ、抽象的なお話が多く、ふわふわっとした内容なので、この本を読んで何かを得られるかというと……どうでしょうね。
糸井さん自身も書かれていましたが、啓蒙的な内容なので、ここから何を受け取るかは人それぞれで。
僕にっとては、「糸井さんすごい!」ってなる本でした。おもいしろかったです。

ここで一つ、この本の中で書かれていた「消費のクリエイティブ」についてお話をします。

「クリエイティブ」という言葉がありますよね。主に、作り手側で使われている言葉。
クリエイティブな商品を! クリエイティブな人材を求めてます! トカ。
けど、作り手側ばっかりがクリエイティブになってどうするのでしょう。
本の中で、

    
 生産は消費がないかぎりできません。
     むろん消費も生産がなければできないわけで、それの両方がセットになって市場ができているわけですよね。

     情報の送り手と受け手の関係も同じことでしょう。

と書き、ピカソの絵は鑑賞者にクリエイティブがなければ価値がなかった等の例を出しながら、
作り手と受け手の、両方にクリエイティブが必要だと言っています。そして、受け手の側のクリエイティブが足りていない、と。

「日本人のことだな〜」と思いました。
働いてばっかで、お金を使う方に目を向けていない。肝心なことは、消費のクリエイティブを持つこと。
消費を楽しむこと。もっと多様な消費の仕方を生み出すこと。
どれだけクリエイティブな商品を打ち出しても、消費者が楽しみ方、使い方を知らなきゃ売れないですよね。
今の日本では、そのデフレスパイラルがぐんぐん回ってる気がします。
もし、消費者のクリエイティブが高まれば、日本の市場はもっとでかくなるんじゃないかな。まだまだ捨てたもんじゃないかもしれませんよ。日本は。
えっと、方法。「消費のクリエイティブ」を高める方法。
知りません。
わかりません。
どうすればいいんですかね。みんなで考えましょう。

ちょっと関連してるかなと思うのが、「Go pro」というカメラ。
ボタン2つだけの、アクションカムなんですが、そのシンプルが人気でして。
消費者が自分たちでいろいろ使い方を考えてくれるんです。スケボーしてる時にヘルメットにつけたり、バイク、ハンググライダー、ダイビング、お手玉にして使ってる人もいました。
そんな風に、クリエイティビティを喚起してくれるような商品がもっと出るといいのかもしれません。
最初の一步は作り手側が促してるような気もします。こんな使い方を思いついたけど、みんなはどう? みたいな感じ。

その点、ソニーの製品はそういうのが感じられないんだよな。
楽しく使ってもらおうってメッセージが感じられないです。ソニーの製品。
大好きな企業なので、頑張って欲しいですけどね。

みなさん、今持っているもので今の使い方以外に考えてみませんか。
そうやって使い方や楽しみ方が増えていけば、作り手のクリエイティビティも高まっていって、もっと楽しげな商品が生まれるかもしれませんよ。

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