atRoom的思想 - 世界は辺境に満ちあふれている

日本はここ2000年間ではじめての、継続的な人口減少を経験している。そして決定打が打てずにいる。移住だ、外国人労働者だ、それは結局、限られた人口を取り合う椅子取りゲームを、どれだけ有利に運べるかでしかない。椅子の数は残念ながら、1億とちょっとだ。

基本的に椅子取りゲームは、力のある人と足の早い人が勝つ。人口があれば自然に人が集まるし、ちいさな変化を積み重ねることができれば魅力的な場所であり続けられる。

でも、そうじゃない場所は?

世界には、都会よりもたくさんの田舎がある。ムラがある、集落がある。
これをまとめて辺境と呼ぶことにしよう。

辺境は人が少ない。けれど、辺境にはしっかりと社会が息づいている。お互いの顔が見える、閉鎖的でもあたたかい社会だ。

辺境は、いわばアクセスの悪い場所だった。
いま交通網・通信網の整備によって、辺境にアクセスできるようになりつつある。アクセシブル辺境の誕生だ。

都会にも、別のタイプの辺境が生まれた。
同じ趣味嗜好をもつ人が地理的制約なく集まってできるコミュニティ、その "一見さんお断り" 感は辺境そのものだ。

そうして、一人の人間がたくさんの辺境に入ったり出たりできるようになった。実は都会も、たくさんの辺境の重ね合わせにすぎないのだ。

グローバリゼーションの影響は限定的だった。東京は Tokyo になった、けれど 日本中が Tokyo になることはなかった(おかしいって?それが "ボーダレス" の理想郷じゃないか)。

国境は希薄になるが、なくなりはしない。
境がある限り、辺境もまた存在し続ける。

境目が希薄になったとき……辺境がアクセシブルになったとき、
どんな変化をもたらすか。

辺境のあたらしいカタチが、いま必要だ。
辺境にあたらしい価値を、創造しよう。

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