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好きなタレントをふかきょんにした話

専科という、「IQや特定のオタク的知識や適性がゴイスーに高いっぽいけど、PQだかEQだかがバキバキに低いので、たぶんそこそこの社会性が求められるであろう場で全然うまくやれていないであろう人々」が集まるインターネット場があり、そこはわりと落ち着く。かなりのそういう者たちの「よりどころ」になっている事もうかがえる。

僕も先述の「社会性ひくひく人間」としての自覚が小学校くらいからあった。なにか自分らしいアクションや「素直な表現」をすると場が凍りつくであるとか、感想を求められて感想を述べると授業参観に来ていた大人たちが「あの子……」みたいな感じになり、「子供らしくない」というような批評を受けて子供ながらに「うわっ めっちゃ引いとるやん 視聴者」と思ったのち、親に折檻され息が出来なくなるほど泣かされ、「素直な子供になれ!!」と怒鳴られながら「いやわし子供やし!!素直に思ったこと言うてるだけやのに!!なんで~!?」と思ったという過去がわりとしっかりと思い出される。当時そのツッコミができればもうちょい面白く生きられたのだろうけども。

あんまり面白くないサイコパスエピソードを列挙してもつまらないのだけど、習字の授業で「書いた半紙は学校のゴミ箱に捨てていってはだめです。持って帰って親に見せましょう」という取り決めがなぜかあって、「親に見せましょう」の意味がわからないし、なんで捨てたらあかんねん、と思った僕は「名前のところを黒く塗りつぶして、人の少ない第二音楽室のゴミ箱に捨てる」というハックをかましたところ、めんどくさいタイプの女子が発見し、それを特にめんどくさいタイプの教師に報告したため、「その字」を書かされていた僕の学年全員が集められ、まず半紙を捨ててはいけないというルールがあり。そのうえで、それをわかっていて名前のところを塗りつぶし、人の少ない第二音楽室に捨てるという、わりと狡猾な違反をするやつがこの学年にいるということが先生は哀しい。という内容の絞られ方をした。僕はもちろん名乗り出なかったのだが、別の教師から「みんながみんな学校に捨てていったらゴミ処理が大変だから、学校に捨てていかないでほしい」という説明があり、、、それを先に言えよ!!!!!!!と思う、なぜそういうめちゃくちゃ理にかなった仕組みがあるのを大人は黙っている!!!!僕は「持ち帰る」は別にいいけど「親に見せる」が僕にとってストレスになるから学校に捨てていくハックを編み出さざるを得なかったのだろうが!!と、非常に回りくどい教育を受けた(教師はそういうプロセスで僕に教育をしたとは全く思っていないだろう)のを思い出した。「ゴミは持ち帰れ」でいいのに、「自分の作品を持って帰って親御さんに見せましょう」という浅はかな大人の欺瞞に満ちた虚飾が、機能不全家庭の児童を追い込んだので僕は大人を憎み、悪魔と契約して罪深き者どもを月蝕の贄とせし死神の化身となったのである。

そんなこんなあり、「素直な受け答え」をするとほぼ間違いなく「うっわ」と思われる僕が仕上がったわけだが、ギリギリ社会性のある人間としてやっていかねばならない局面が多々あり、それ系の適性診断に「素直に」答えるとわりとすぐ僕が罪深き者どもを月蝕の贄とせし死神の化身だとバレてしまう。(以後「ヤバ岡キチ太郎」とする)なので、僕は大人たち(社会人のことを「大人たち」と呼んでいる)の中に身を隠して生きるために大人たちのあるあるを片っ端から収集して、これをこう答えるとあるあるっぽい、ヤバ岡だとバレない、という受け答えをある程度身につけた上で暮らしているのだ。

それを踏まえて僕の好きなタレントを「ふかきょん」にして以降の暮らしやすさといったらなかった。しかも実際にふかきょんはかわいいのである。広末涼子もかわいい。サイボーグクロちゃんに出てくる災厄の代名詞「初恋ロボ ヒロスエ」しか知らなかったので、大人たちにまぎれてから知った広末涼子は猛烈にかわいかったのである。

なので僕のように、大人たちから身を潜めて生きていかねばならない死神の化身たちが、「好きなタレント」を聞かれて困ってしまったり、「休日の過ごし方」や、「ボーナスの使いみち」を聞かれて、素直に女性声優のイベントやアイドルマスターに全ツしていると答えて変な感じにならないように、「こないだ無印良品とフランフラン行って、高いな~と思いながら、立つしゃもじだけ買いました。もともと買おうと思ってたバスタオルと枕は結局ドンキで安いやつあったんで(笑)」とか、「だいたい車の中身いじってたら消えちゃいますね~(笑)」とか、そういう受け答えと、「ふかきょん」を授けたいと思う。「ネットフリックスでまとめて見た」と言うとそれっぽくなるので、ヤバ岡がバレにくくなるぞ。

死神が生きづらい世の中だが共に生きよう。

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