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韓ドラに不時着しロスが止まらない
先週ふと流れていた朝の情報番組の特集が、妙に気になって仕方がなかった。
コロナ禍でSTAY HOMEが世界のスタンダードとなっている今、世界中がインターネットで暇を潰している。
そんな中動画配信サービスNetflixであるブームが起きているというニュースが耳に入り、暇を持て余し気が病んでいた私は呆然とテレビを眺めていた。
ブームが到来しているのは韓国で歴史的な視聴率を叩き出した「愛の不時着」というドラマだとか。
正直、なんだ韓流ドラマかと思った。
しかもなんだよこのタイトル(笑)
バカにしつつも特集は15分に渡り続いた。
あらすじや人気の理由が語られていく中で、なぜか耳に引っかかったワードがあったのだ。
舞台は北朝鮮だ、と。
描き方がとてもリアルで興味深いそうだ。
しかもそれがコメディとして描かれている。
北朝鮮がコメディとして描かれるとは、一体どういうことだ!?
私は教養もなく、時事への関心もなく、韓国のドラマや音楽にも興味を示さない。(これは声を大にして言いたくはない)
しかし何度もミサイルを飛ばしてくる国がなぜコメディになりうるのかという疑問と、韓国が如何にしてそのような描き方をするのかが無性に気になってしまったのだ。
北朝鮮は日本からも近い国でありながら実態は謎に包まれ、私たちが内情を知る術はほとんどないと言ってもよいだろう。
しかしこの特集で伝えられていたのは、ドラマ制作にあたり脱北者に取材しリアルを追求したという情報だった。
常識がなさすぎる自分が恥ずかしいのだが、脱北者が自ら名乗り出たりすれば母国に消されるのではないかと思い込んでいた私にはにわかに信じ難く、その真相を確かめたいという衝動に駆られてしまった。
特集が終わった後すぐにNetflixを契約した。
貧乏な私にサブスクリプションは贅沢すぎるが、この衝動が抑えられず即視聴を開始した。
あらすじはいろんなところで出回っているので深くは触れないが、簡単に説明しておこう。
韓国で抜群の知名度を誇るセレブのアパレル女社長・ユン・セリが、趣味のパラグライダー飛行中に竜巻に巻き込まれ北朝鮮側の非武装地帯に不時着する。
不法侵入の場合は予想通り射殺されるはずだが、あらゆる事象が重なってセリを発見した軍人がかくまう展開に。
セリを南(韓国)へなんとか無事に返してあげたいと奮闘する軍人たちに情が芽生えていき…
竜巻に巻き込まれる場面からCG満載で、思った以上にリアリティがない。
また軍人との出会いで言葉を交わすシーンも真剣でありつつコメディ要素が強く、入りとして非常にとっつきやすい展開であった。
話が進むと北朝鮮の田舎の風景やそこで暮らす人々の様子が描かれており非常に興味深く拝見した。
また1話の最後には軍人の人間らしい温かさが垣間見えたことにより、北朝鮮の軍人に抱いていたイメージをひとまず置いておいて、ドラマならば一人の人間としてこのキャラクターを観てみようと思わされてしまった。
2話以降も北朝鮮のリアルな生活水準を描きながら、関わる北の人々を上手くコミカルに巻き込んでいく。
韓国と異なりすぎる文化や生活に戸惑うセリの姿は、私たち日本人が持つイメージや疑問を丁寧に解き明かしてくれる。
おかげで韓国ドラマを見たことがなく文化の分からない私でも理解しやすく、字幕に疲弊しつつも内容はおおよそ理解できたのだ。
そんなコミカルな演技が光るラブロマンスストーリーの中でも、やはり北朝鮮の怖さと言える非情な殺人や戦闘シーンが存在する。
そのギャップに引き込まれる自分もいるのだ。
次第に惹かれ合うセリと軍人・リの運命を引き裂く軍事の壁が切なすぎるという意味で人気があるのも分かるが、日本でのヒットの要因はここまで述べてきた異国への興味とギャップ満載の描かれ方にあるだろう。
順調に観ようとも日本ドラマに比べて尺も長く、話数も多い。
なんと1話あたり平均90分程度、話が進むにつれて長くなってゆく。
最終話の16話では映画1本に相当する尺である。
CGも含め映像の壮大さも映画顔負けでこれまた見応え十分だ。
それでも心折れることなく観ることができるのは、テンポよく展開されるストーリーにあるだろう。
合間で小出しされる伏線も分かりやすく回収されていくのだが、スイスの風景があまりにも美しいのがまたずるい点である。
2人のラブロマンスの障壁や結末が気になるあまり、一気見してしまう人も多いという。
私も丸2日かけて観たのだが、それはもう疲労感と充実感に溢れていた。
そしてやってくる愛の不時着ロスに耐えきれず、飛ばしながらもう1周してしまったのである。
韓国俳優はメイクや髪型がタイプではなく苦手意識が強かったにも関わらず、これだけ沼のようにハマってしまったのは想定外であった。
気づけば愛の不時着のメイキング動画ばかり見ている始末だ。
私はきっと、韓国ドラマという沼に不時着してしまったに違いない。
そして間違ったはずの行き先で、とても素敵な出会いを果たしてしまったのだ。
他国の統一を願ってやまない展開に、きっと心が温かくなるだろう。
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