見出し画像

映画「半狂乱」公開記念/パンデザイナー未見のあなたへ(後)

⚠️この先の内容はパンデザ7本目の「頑張れ!グミちゃん!①」までのネタバレを含むため、見ていない方はぜひ動画を見てください。



1月10日に投稿された「新キャラ登場」で新しく登場するキャラクター「グミ」。それまではジャムさんだけが画面に映り字幕を通してお客さんと話すスタイルだったが、柄さんがもうひとり演じ始めたのがグミだった。「こんにちにゃーす」、柄シャツに黒いパーカーのフードを被っているという少し怪しい風貌だがその見た目に反して口調は軽い。独特な冗談も意味がよくわからなくてちょっとこわいような真意をもっと知りたいような不思議な魅力のあるキャラクター。ジャムさんの態度を見ると昔からの知り合いのようだ。グミが出てきたことによってジャムさんとの会話がうまれた。ひとり芝居に変わりはないのだが、画面上では動画編集によって同じ人間(柄さん)が二人を演じることも可能になった。そのおかげでこの後雪だるま式にキャラクターが増えていき、パンデザがここまで長編になった理由のひとつでもあると思うがそれはまた別の話。

そのグミが主役となったパンデザ7本目「頑張れ!グミちゃん!①」は、パンデザがただのパン屋の話ではなくなったきっかけの動画である。この動画の中でグミは視聴者に挨拶するというメタ発言をしつつ、自分の息子を虐待していた“ゴミ”人間を処していく。端的に言えばグミはゴミみたいな人間を殺していくプロの殺し屋だったのだ。そしてその殺し屋稼業というのがパンデザイナーのメインストーリーになっていき、“能力バトル群像劇”へと発展していくことになる。



グミの登場により物語の流れは一変したため、もしかしたらこの時点でパンデザに追いつけなくなった人もいるかもしれない。たしかにここから物語性が強くなり登場するキャラが増え複雑化していくため、冒頭に言ったようにTikTok向きの動画ではなくなってくる。だが確実にこのときからパンデザに魅了されたファンがつき、物語を追いかける人が増えたように思う。それは、次々と出てくるキャラクター(※全員柄さん)によって半ば強引に始まった殺し屋稼業を巡る物語が、より強固になり広がり伏線が張られていき見れば見るほど作りこまれた世界にハマっていってしまうからだと思う。おすすめの動画をぼーっと見ていた私も、パンデザにぶん殴られたことによってたるんだ頭をフル回転させるようになった。


グミ登場後のパンデザについて簡単に解説していきたい。ここまでで興味が出た方はぜひ動画を見てください。

以下、最近の動画までのかなりのネタバレを含みます。


グミが殺し屋として登場したことにより、パンデザイナーのジャムさん、そしてその亡き恋人のゆうき(フォルティア)も同じ組織の殺し屋だったことがわかる。しかしフォルティアの死をきっかけにグミとジャムさんは組織を脱退。理由は未だに謎である。その殺し屋組織・LUX(ルークス)はこの世に蔓延る悪を駆逐し理想の世界を作るという大義のもと、ファーザー・フェイスという人物により28年前に創設される。パンデザの世界には“ギフト”と呼ばれる能力があり、その能力者たちがLUXに所属し様々な役割を果たしている。崇高な目標を持った組織であったが、フォルティアが死んだ現在は創設者の生死もわからず、なぜか元LUXのグミは現LUXに追われ続けて命を狙われている。獣人化・硬質化・発火能力・サイキック能力など、ギフトを使いプロの殺し屋同士が冷酷に残酷に殺しあう。だがそのひとりひとりの過去が垣間見えるとき、彼らも同じただの人間であることを思い知る。彼らを駆り立てているものはなんなのか、なぜフォルティアは死んだのか?未だ多くの謎を残すこの物語から目を離すことができない。



フォルティアの死を境に物語が現在と過去を行き来し描かれていくこのパンデザイナー。主要登場キャラは16人。長い!多い!複雑!という意見がでるのはわかっているが、TikTokを見ているのにパンデザを見ていないのは、ジャンプを毎週買っているのにワンピースを読んでいないことと同義であると言っても過言ではない。漫画は買わないと読めないが、パンデザはTikTokですべて無料で見られる。いつでも全部振り返られるので自分のペースで理解できるし、何よりめちゃくちゃ面白い。柄さん曰く、まだまだこれからが面白くなる、とのことなので本当に今、追いついてこの物語の最後まで見届けてほしい。


この2記事に及ぶ長い長い文章の最後に、作者である柄シャツ男さんを私のすべての語彙を使って称えたいと思う。
実は、日付を超えた今日11月12日は、柄さんが主演の映画「半狂乱」の公開日なのである!!!!!めでたい!!めでたすぎる!!!

ヒューマントラストシネマ渋谷から上映が始まり、全国の映画館で観られるようになる。つまり柄さん(工藤トシキさん)の本業はごりごりのプロの役者さんなのだ。今、「全国規模の映画の主演になれるほどなんだから演技がうまくて当然だ」と思ったと思う。もちろん、柄さんが培われてきた演技のメソッドや経験、磨かれた役者としての肌感覚がパンデザにすべて注ぎ込まれているのは間違いない。しかし16人以上の役を演じ分け、多くの人をアッと言わせる物語を考え、撮影・編集し投稿までぜんッッッぶおひとりでやられているのは、「演技がうまい」という一言ではまったく表現しきれないということが伝わるだろうか!?もっと細かく言えば女子高生の役になるためのメイクも、少年になるためのウィッグの付け方も、パンデザが始まってから身につけられた技術だ。アドリブで作られていたお話も今は脚本に起こし撮影に入られているという。柄さんがひとつ新しい技を使うとき、ひとつ新しい道具を使うときパンデザの可能性が広がっていくのだ。

プロになるとは、非常に限定的な専門性をいかに高くするかが重要だと思っていた。つまり役者が演じることだけに限定し集中できればできるほどプロに近づき評価されるのだと。柄さんは役者のプロだ。その柄さんが役者の域を出て、舞台そのものを作り出すことを決めたのは、自分が信じる”面白い役者”でいたかったからではないだろうか。これはある意味大きな賭けだったと思う。役者のプロだからこそ他の道の険しさも重々承知の上で覚悟を決め、才能を爆発させた結果、今パンデザイナーは本当にたくさんのファンに愛される作品となっている。それはひとえに、「そんなんできねえよ」と軽口を叩きながらも常に新しいことに挑戦し続けた、柄さんの努力の賜物だ。心からこの作品に出会えて良かったと思う、柄さん、本当にありがとうございます。

そんな大天才・柄さん(工藤トシキさん)が主演を務める映画「半狂乱」。公開本当に本当におめでとうございます!これからもずっと応援しております!!!!

パンデザを愛する人がもっともっと増えることを願って。

いろり

映画「半狂乱」⇒https://www.hankyoran.com/
柄シャツ男さん⇒@gara727(tiktok)
                        @7tosati(Twitter)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?