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男友達 ショートショート

一年間に二三回、もう少しかな 電話で話す男友達がいる。
もう、ゆうに10年以上会ってはいない。 
若い時の知り合いってわけじゃない。
昔、ファミレスに呼び出されて説教を始めたので腹が立ち、帰りそうになった。

私本人は、自分はお人好しで仕事も熱心でと思っていたし会社のお役には立っていたと、ここの線は揺るぎませんと。

勤めていた会社がつぶれてやっとみつけた会社だった。
入社した時には上司は『生意気な女性』と思ったらしい。
全然、私の自己イメージと違う。

会社ではどんどん自分の仕事を進めて、楽しかった。
ランチ時に、他のテーブルの客が不思議そうにこちらを眺めている。
役員風の男性が、女子事務員から意見を聞いている。
その事務員が、伝えている立場だ。
社会通念から言うと、何か変だ。
なにかきっと、反対の立場ならしっくりする。

銀行回りも、資金繰りの算段も、経理コンピュータ導入もやらせてもらえて工夫や構想を練る毎日で楽しくて忙しかった。
回りを見ると、潰れる会社が増えてきた。
資金繰りも楽しいというわけにはいかず、銀行と話すのもなかなか大変になってきた。

結局、その会社は潰れてしまったが会社経営に参加できた充実した何年かだったのかもしれない。
人の事とか、自分の事とか分けないので心底苦労をしたのかもしれない。

友人に安月給でそこまでするのは、変わってるよと言われた。
給料はバランスもあるし、一介の事務員の常識でかまわない。
仕事をやらせてもらえた事で満足だった。

潰れたのだからしかたない。
次の仕事が見つからず辛い一年後、やっとのことで仕事も見つかった。

そんな流れで、気の合う男友達ができた。
会うことはないが、時折のムダ話も良いもんだ。
お互い、自分の話を聞いてもらいたい。
私の不満としては、私の話をメインに聞いて欲しい。
なんでなんだとおい聞けよと、たぶんお互いに思っている。

まだ、きっとどこかで生意気な奴とか思ってると思う。
でも、興味深く面白い話ができるのは実は私なんだと私は思っている。
だから、男友達よ 私の話を拝聴せよ。

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