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基本知識シリーズ お正月🎍特別号 アルゴリズム初級

アルゴは正式にはアルゴリズム取引の略。これがどの程度理解されているか正直不明です。なので基本ポイントを数回に分けて解説していく初級編

まずアルゴには2系統ある事ご存知ですか?

アルゴには大きく2系統あります。
① 証券会社アルゴ
② 投資家アルゴ

▪️①証券会社アルゴ

投資家は発注時、証券会社を選び、その証券会社で使えるアルゴ戦術を選びます。
その際指値、max出来高関与率、トリガー価格など条件をつけて発注する事ができます

一連の入力作業が済んだらその注文を選択した証券会社に回送します。

簡単に言うと一般回線で証券会社のアルゴサーバーに注文を回送するのが①

投資家は証券会社からのサービスやアルゴの性能評価によって発注量のアロケーションを決定します。

MiFID2施行以降トレーディング能力が重視❗️

▪️証券会社アルゴ勢力図

僕の時代はCSのアルゴが最高評価、GSやMSが安定して強く、BofA(旧メリル)やJP Morgan辺りまでが1軍、Citiが追いかける、国内は野村一択という非常に激しい競争が繰り広げられた結果『アルゴのコモディティ化』つまりどこのアルゴつかってもそれ程大差がない時代になりました。

それ故アルゴ戦略よりむしろ小注文の板の持ち方(スマートキューイングやダイナミックポスティング、アクティブリミット)、ダークプール(dp)マッチングロジックやSOR機能で差別化を図りました。

例えば①の場合LOや普通のHFもアルゴを使います。彼らがアルゴを使う理由は #執行コスト 低減です。

▪️執行コストの考え方

執行コスト=直接コスト+間接コスト
直接コスト=手数料や税金
間接コスト=インパクトコスト+タイミングコスト+機会コスト
インパクトコスト=自分の注文で不利にマーケットを動かすコスト
タイミングコスト=判断から約定までの価格差
機会コスト=不出来や一部出来で発生するコスト

①のLOやHFの大部分は個人投資家と同じように執行コストが上がるような、つまりHFTがバタバタ取引している短期ボラが高い状況を好んでいません。むしろゲーミング(不利な価格で約定させられる事)を嫌います。

プロvsプロのやり取りから何か個人投資家が真似できることは無いでしょうか?

プロ投資家は防衛手段として
・東証だけで約定(ptsやdpにSOR回送しない)
・HFT等短期ボラを上昇させる投資家とdp でマッチングなし

等ロジックをカスタマイズします。
通常より流動性の低いところで約定するのでタイミングコスト大の可能性がありますがゲーミングされるよりマシという考え方です

証券会社アルゴはコンプラチェックや社内サーベイランスチェックが厳しく例えば日中高値安値は付けないだとか、過度な出来高関与率は警告が出たり、そもそも親注文基準で最大発注量(ロット数や金額や発行済みに対する%)が決められていました。誤発注対策及び当局の検査対策です。

▪️②投資家アルゴ

②はHFT中心に高速取引業者が使う系統

既にHFTの説明はしてるのでチェックして下さい!

投資家アルゴの全てのコントロールは投資家に帰属します。

注文は証券会社DMAサーバーを経由しますが基本取引所等への高速回線を提供しているだけと考えて下さい(実際はリスクコントロール機能が働くことがありますがHFTはスピード重視なのでとても嫌がります)

例えばHFTはコロケーション(コロ)で東証サーバーと物理的な距離を縮めて高速取引を行います
が、ptsやdp内でも同じ様に高速取引が可能です。MM戦略です。

実は証券会社やpts運営会社がdpやpts内の流動性を増やすためにHFTにマーケットメイクを依頼するケースがあります。

その昔証券会社評価時にptsやdpでのマッチング率が重要だった時代がありました。ptsは呼値刻みがありますがdpには無いので例えば101円offerならdpに100.999999の売り指値ができてマッチングさせて率をあげていました。
HFTだけでなく証券会社自己がMMしていた時期もあります。

確かにマッチング率は上昇、価格改善効果もありましたが流石に小数点5桁以上の約定価格には投資家から不満があり、ダーク故に自己が介在する事が怪しいと言われdpでの約定はミッド(中値)or betterが現在主流。

あれ?なんだか聞いたことがあるオーダーフローじゃないですか?

僕が市場構造🇺🇸で説明したようなフローの呼び込みに近いことが日本のdpやptsで起きています。とくにメイカー(板に指値をだす業者)には有利な手数料率、もしくはリベートが支払われている可能性があります(未確認)。先物やETFのメイカーには払われています。


市場構造の理解は非常に重要で、アルゴを理解する前に市場構造を理解すべきと僕が言うのはその為です。

▪️例1

東証のアローヘッドという基幹システムはとても出来が良く、ptsに回送するよりも高速です。
それ故その速度差を活かしたレイテンシーアーブが可能です。一方でレイテンシーアーブをしている事が他に知れるとみんなそれを真似するので、収益性が悪くなりますし、また上手くやらないと他社にゲーミングされる事も考えられます。

そんな時2つのマーケット到達速度を逆算してほぼ同じタイミングで注文をマーケットに置くことも可能、ゲーミングを避ける方法を持っています。

▪️例2

dpでの約定が中値である事を利用して基準bboを動かして中値を不利に動かす事があります。ゲーミングの一つです。

*これは問題として様々な検証論文が出ていて金融庁も調査しています。

こんなトレードをするのに①のアルゴは不必要、②を高速でコントロール出来ることが重要❗️

▪️例3

また高速取引業者は皆様と同じようにdpにどんなフローがあるかわかりません。そんな時銘柄群を1単元ずつバスケットで発注してdpでのマッチングレベルを瞬時に分析して証券会社に存在し得るフローを予想してトレードする、市場構造を徹底的に知り尽くした方法で戦略を練ることもあります。

ファンダメンタルズではなく、ボラティリティやテクニカルやマクロやその他資産の急激な動きに反応し薄利多売で鞘を抜いたり、短期ボラのスプレッドを抜く、まさに高速取引業者の真骨頂です。

▪️結論

①だと個々の証券会社アルゴ機能が注文をコントロール出来、監視の目が2重3重にかかっているため日々の執行レベルで悪玉にはなり難いのです。

②だとアルゴのロジックは投資家サイドにあり最重要機密㊙️ 
HFTは登録制で金融庁にロジック開示義務があり1戦略1登録で取引全て背番号付きで追われています。つまりある意味1番厳しいチェックを受けていると言って良いです。

実は非コロで登録する必要のない高速取引業者こそ
・市場構造を熟知
・システムの仕様を熟知
・市場のルールギリギリを狙う

最先端のトレーディング能力を持つ投資家で自由自在にトレードしていると思います。

②は注文件数シェア70%約定金額40%以上で影響力大、無視できません。

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