見出し画像

カンゴームがフォスと友達になれなかった理由~カンゴームとカッサンドラ症候群~


みなさんこんにちは、ピースケです。

突然ですが、みなさんはカッサンドラ症候群という言葉をご存じでしょうか?
「症候群」とついてはいますが、実際にカッサンドラ症候群という医学界で認定された病気があるわけではありません。あくまで世俗的な表現であり、比喩的な意味合いが強い表現です。しかし、この概念は、発達障害を持つ者がコミュニケーション上の課題に直面し、その結果として周囲の人間を抑うつ的な状態にする場合に使用されることがあります。

今日は宝石の国の中でも、ある一点を境にして不可解な言動や態度を示しているカンゴームについてのお話です。

今日のテーマとして、
①「カンゴームの本当の性格とは、なんだったのか?」
②「なぜ、カンゴームは月に移住したとたん、まるで別人になったかのように、フォスに協力しなくなったのか?」
この二点について、心理学的観点と、仏教的観点の、二つの観点から考察していきたいと思います。

【①と②の疑問に対する心理学的観点からの考察】
まずは第一の観点から、すなわち
①「カンゴームの本当の性格とはなんだったのか?」
②「なぜ、カンゴームは月に移住したとたん、まるで別人になったかのようにフォスに協力しなくなったのか?」
この二つの疑問について、まずは心理学的観点から考えていきたいと思います。

ここで、私は一つの仮説を立てたいと思います。それは、「地球にいる間のカンゴームは実はカッサンドラ症候群の状態に陥っており、元々の性格は封印され、端的に言って病んでいた説」です。

つまり、元々は優しく・且つ厳しく・元気溌剌で、表裏のない性格だったウェレガトが、ブラック企業にジュ職して心を病み、常に困り眉毛で、やれやれ系の振り回されサポート役にジョブチェンジした。
具体的には、上司(ゴースト)の圧力で言いたいことも言えず、やりたいこともやれず、常に他人(アンターク)であることを求められ、自由奔放で気ままな後輩(フォス)に日々振り回され、その後輩にも他人(アンターク)であることを求められ、自分の居場所を完全に失くしてストレスが天元突破し、心を病んだ状態がカンゴームであった説、です。

ちなみにカンゴームは冬の見回りの際に何度も何度も自殺を考えていた時点で、彼の心の負担は相当なものであっただろうことが予想されます。
つまり、カンゴーム時代のカンゴームは、マジで病んでいます。

「カンゴームは他者を思いやれる、心の持ち主である」という仮説の根拠は、漫画の各所に散りばめられています。
例えば、イエローダイヤモンドが月世界の高所から落ちて割れた際にもお見舞いに駆けつけ、アメシストとともにイエローの病状について真剣に話し合っています。
これは仲間を本当に心配する心があってこその行動だと思います。

また、復讐心に駆られた通称・怪物フォスが月に移住した宝石たちの意見をまだ聞いていないのに地上の宝石を砕くのを「手伝わせる」と発言したときも、「お前まだそんなこと言ってんのか」と、宝石仲間を自分の手ゴマのように扱おうとするフォスを非難しています。

さらに、夜襲の際にパパラチアが水銀中毒、イエローダイヤモンドが鬱病になった状況下で「みんなと仲良くするのはムリかも」悩むフォスに対して、月に連れてきてくれた恩からあえてガチアドバイスをしています。

これらの行動は、相手を思いやる気持ちがあるからこその言動であると考えることもできるのではないでしょうか。

次に、
②「なぜ、カンゴームは月に移住したとたん、まるで別人になったかのようにフォスに協力しなくなったのか?」について、心理学的観点から考えていきます。
1. 状況の整理
まず、カッサンドラ症候群とはいったい何でしょうか?
カッサンドラ症候群(Cassandra Syndrome)とは、発達障害を抱える者が、自分のパートナーに対して共感性を示さなかったり、相手の気持ちを理解しようとしないことが原因で、パートナーが抑うつ状態になる現象を指します。この症候群は、ギリシャ神話のキャラクターであるカッサンドラに由来しています。

カッサンドラは、美しい預言者でしたが、神アポロンの恋を断っために彼に呪われ、誰もが彼女の予知を信じなくなると同時に、将来の出来事を知りながらもそれを変えることができないという宿命を負いました。
カッサンドラは多くの場面で未来を予知し、その予知が的中しても、人々は信じようとしませんでした。この神話的なストーリーに基づいて、カッサンドラ症候群は、予知や警告を無視され、理解されないことによって抑うつ症状が生じる状況を指します。

カッサンドラ症候群は、実際には医学的に確立された診断基準や症状リストが存在するわけではなく、比喩的な意味合いが強い表現です。しかし、この概念は、発達障害を持つ者がコミュニケーション上の課題に直面し、その結果として周囲の人間に抑うつ的な症状を呈する場合に使用されることがあります。

もう一度言いますが、カッサンドラ症候群は、一般的な医学的な診断基準や公式な定義がないため、主に比喩的な表現として使われています。つまり、医学的に「カッサンドラ症候群」という名前の病気はなく、あくまで世俗的な表現として存在しています。
また、カッサンドラ症候群は発達障害を持つ人のパートナーが、発達障害者の他者への無理解からくるストレスによって鬱状態になることを言いますが、フォスやゴーストに発達障害があるかどうかは作中で明らかになっていません。
そのため、ここでは彼らが障害を持っているかどうかの検討には触れず、あくまでフォスやゴーストの作中での実際の行動や作中で現実に言った言葉によって振り回された結果、カンゴームにカッサンドラ症候群の特徴があてはまるのか、あてはまるのならそれはどの部分なのか、詳しく見ていくことにします。

カッサンドラ症候群の特徴

1. 無視される感覚、疎外感と孤独感: カッサンドラ症候群の概念は、予知や警告を持つ者がその情報を他者に伝えても、無視されたり理解されなかったりする状況を指します。これは、情報を知っている一方で、それに対する十分な認識や理解が得られないことから生じるストレスや疎外感・孤独感に関連しています。

これを宝石の国に当てはめてみると、まさに、ゴーストクォーツによって自分の意志を表現することを阻まれ、本当に言いたいことを言えず、そしてゴーストに制限をかけられていることすら周りの者に伝える事ができなかったカンゴームの境遇にぴたりと当てはまります。

宝石の国においては、ゴーストクォーツがカンゴームの感情や意志を無視し、制限することで、他の宝石たちとのコミュニケーションが難しくなっていました。
カンゴームが抱える感情や考えが周囲に理解されず、共感を得られないことが、彼の心理的なストレスを高めていた一因と考えられます。

特に、フォスとの関係においては、言葉や意志の制約からくるコミュニケーションの齟齬が、彼らの関係に悪影響を与えた可能性があります。
また、フォス自身も誰かに相談することなく思い付きで衝動的に行動し、みんなに迷惑をかけることが多い、といった人物像である描き方をされているため、ゴーストによる言動の制約の問題を除いても、フォスと上手くコミュニケーションが取れない事も、大きなストレスの要因だった可能性があります。

カンゴームの場合、ゴーストクォーツの制約により自分の感情や意志を十分に表現できず他者とのコミュニケーションが難しい状況が続いており、そんな状況下でさらに、対等なコミュニケーションを取ることが困難なフォスの言動に無理やり協力せざるを得ない日々を過ごしていました。これが繰り返されることで、抑うつ的な症状が増加し、彼の精神的な健康に影響を与えた可能性があります。

2. 周りの人間の共感性の不足: カッサンドラ症候群では、持ち主が予知や感知を通じて他者の状態や出来事に敏感である一方で、周囲の人々がその感受性に共感せず、理解してくれないと感じることが特徴的です。

これを宝石の国にあてはめると、ゴーストがカンゴームに制限をかけていて(つまり、カンゴームがどうしたいかを無視して、無理やりにでもフォスに協力させる呪いをかけていて)、それをエクメア以外の誰にも気づかれていなかった状況が、まさにこれに当てはまる可能性があります。

さらに、フォスとの関係においても、カンゴームがフォスの子守を担当することでフォスの精神が安定することから、周りの他の宝石たちもカンゴームだけにフォスの子守の負担がのしかかっていることに気づきもしなかったことが考えられます。
周りのみんながこれを放置していたのは、みんなにはゴーストがまだカンゴームの虹彩の中に入っていることやそのゴーストによってフォスに無理やり従わされていることを知らなかったからでしょう。
みんなにも、そしてフォス自身にさえも、カンゴームとフォスが対等な関係であるかのように見えていたのです。
しかし実際はゴーストが干渉していたのですから、カンゴームはフォスの言う事なす事に拒否する権限はなく、カンゴームとフォスが対等であるという認識は根本から間違っていたのです。

ここの怖さは、カンゴームを悪気なく振り回していたフォス自身でさえも、「自分とカンゴームは対等な友達」という幻想を抱いていたところです。そしてこれは「親友みたく思わせて悪かったな」とカンゴームに見事に否定されています。
例えば、ジャイアンとスネ夫がのび太に対して「俺たち友達だろ?」と無理やり従わせている映像をイメージすれば分かりやすいかもしれません。
「友達だ」と言われると聞こえはいいですが、実際にはこれは拒否権のないのび太にとっては、かなり苦痛な状況だと思います。

再び述べますが、これらの特徴は比喩的な意味を持つものであり、具体的な医学的診断基準ではありません。発達障害やコミュニケーションの課題を抱える者が経験する感情やストレスを表現するために使われる表現になります。

【①と②の疑問に対する仏教的観点からの考察】

仏教的観点からカンゴームの変化や本質を考える際には、まず仏教の根本的な考え方に基づいて、人間の苦悩や解放の道について理解する必要があります。仏教では、人間の苦悩や不安は欲望や執着から生じるとされ、解脱の道はこの執着からの解放にあるとされます。

「なぜ、カンゴームは月に移住したとたん、まるで別人になったかのようにフォスに協力しなくなったのか?」について、仏教的観点から考えると、カンゴームの変化は執着や苦しみから解放された結果と捉えることができます。地球での生活では、カンゴームはフォスの悪気のない行動や、ゴーストクォーツの呪いによって感情や意志が制限され、「自分じゃない他者(アンタークチサイト)にならなければいけない」という執着や、「本来の自分を見失う」といった苦悩が生じていました。
しかし、月に移住したことでフォスの行動やゴーストクォーツによる制限から解放され、自らの本来の自己を取り戻したため、「アンタークにならなければ」という執着や「本当の自分を失う」といった苦悩が薄れ、その結果、フォスに対する協力の必要性を感じなくなったのではないでしょうか。仏教では、執着からの解放が真の幸福への道であり、カンゴームの変化はその一端と捉えることができます。

仏教では、心の浄化と解脱が重要な目標であり、カンゴームのように自己を解放し、他者に対して真の思いやりを示す姿は、仏教の教えに基づいた理想的な姿と言えるでしょう。彼の変化は、仏教の教えが示す真の幸福への道を歩んでいることを象徴しています。

以上のように、カンゴームの行動や変化を仏教的観点から理解すると、彼の人間性や本質がより深く見えてきます。彼のストーリーは、執着や苦悩からの解放と、真の思いやりや優しさの発現を通じて、人間の成長と幸福への道を示していると言えるでしょう。

以上のような状況を踏まえてまとめに入ります。
地上にいて、フォスと強制的にペアを組んでいた頃、カンゴームはいつも眉に深いシワを刻んでおり、いつも不機嫌そうでした。この状態は、心理学的観点から言えば、カンゴームがカッサンドラ症候群の影響で抑うつ状態になっていたことを表している可能性があり、仏教的観点から言えば、カンゴームが自分ではない誰か、つまり「アンタークチサイトにならなければ」という執着と、「本当の自分を見失う」という苦しみに囚われている可能性があります。

しかし月では、自分を制限してくるゴーストも取り除かれたことで、無理に「アンタークチサイトのように」振舞う必要性も、自分のことを悪気なくふり回してくるフォスに付き従う必要もありません。

月に来てからのカンゴームの変容は、彼がゴーストクォーツの制約から解放され、フォスへの強制的な協力行為からも開放され、自己の自由意志を取り戻した結果と考えられます。つまり、月での「ウェレガト」としてのカンゴームの姿が、本来のカンゴームであると言える可能性があります。

地上ではフォスの行動に協力させられ(=支配され)、ゴーストクォーツの意志に縛られていたことがカンゴームの心理的な負担となり、また、「アンタークチサイトでいなければならない」といった強制的な状況が原因となって、カンゴームの地上での不機嫌な表情や深いシワとなって現れていた可能性があります。

月に移住したことにより、エクメアの手術によって虹彩のゴーストクォーツが取り除かれ、カンゴームは生まれて初めて自己の自由を得ました。彼の感情や意志が思うままに表現できるようになり、月での環境下においては、フォスとカンゴームは物理的な距離が遠ざけられたことから、カンゴームは他者の意向に振り回されずに済みました。これによって、彼の心理的な負担が軽減され、不機嫌な表情や深いシワが和らぎ、笑顔が多くなったのかもしれません。つまり、心理学的観点から言えばカッサンドラ症候群の状態を脱し、仏教的観点から言えば、押し付けられた他人像ではなく、あるがままの自分を取り戻すことができたのです。

月での自由な状態において、カンゴームがフォスに協力しなくなった理由は、彼が自らの意志で行動するようになったためと解釈できます。月に来てからというもの、カンゴームはフォスの目的や方法に対して賛同しなかったこと、またフォスの行動が周りに与える影響を冷静に理解し、懐疑的な態度をとったことが、彼の本来の冷静かつ合理的な性格が表れた結果と考えられます。

まとめると、カンゴームは、月での新しい環境において自らの存在をより明確にし、自分の意志を尊重するようになりました。この変容によって、彼の心理的な健康が向上し、抑うつ的な症状が軽減された可能性があります。

以上で、今回の解説を終わりたいと思います、ご視聴ありがとうございました。
よろしければ、良いねボタンやチャンネル登録もしてもらえると励みになります、
よろしくお願いします!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?