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終わりの物語から始めよう(後)

君と出会ったのはそんな時
君そのものが倫理のような
均衡の取れた君
いずれ牧師になる君

わかっていたよ初めから
君が私を縛り付けないことなんて
だから決めたの
離れるなら私からと
                                    (天秤座)

君が見せた
喪失感と安堵の合間の表情は
私をどこまでも深く潜らせ
まるで研究者のごとく
正解を求め続けやがて崩壊に至る

放心状態の意識は
深海の底から徐々に浮上を始め
明け方の消え入りそうな月が目に入る
これでいい
これで良かったんだ
                                        (蠍座)

君は君の信じる道へ
私は私の目指す場所への探求
冒険の旅へと出かける
どこまでも高く
どこまでも遠く
そういえば
糸の切れた凧のようと
子供の頃から言われていたな
                                          (射手座)

君との別れからしばらくして
私は
とても大切な
とても重要な
人生最大の
結婚という名の契約を結んだ


共に設立した会社は
小さいながらも堅実に歩みを進め
たくさんの肩書きを背負ってからの月日は
役割と責任感
気力と体力
それのみで構成されたかのような日々で
子供達が次々と巣立つごとに
肩書きもひとつづつ外れ
役員からも退き
これから先の事を考え始めていたその矢先だった
                                            (山羊座)

2020
社会情勢に一気に翳りが生じた
某ウィルスの発現 蔓延

それは予測すら出来ない速さで拡がり
予測すら出来ないほどのダメージが
倒産という形で当社を飲み込んだ


そして実は
今ここが自身のタイムリーな世界

星座で表すなら水瓶座

会社関係の整理、裁判も1年弱を要し今年5月に決着を迎え
人生の半分を共に歩んだ
重い肩書きが消失し

個に立ち返る

1年という時間が
個へのトランスフォーメーション
に十分であったのか
という自身への問いかけには
答えられそうもないけれど

目線だけは確実に
あの頃とは別の場所に向けられている

沢山のもの
積み上げてきたものを失くしたが
起こるべくして起こった流れであり
多分
それを受け止める事も
今だから出来たのだろう

ひとつの時代が終わりを迎え
個という新しい時代に生きる

そのきっかけを
ある意味
掴めたのかもしれない

そして
最後の星座
魚座へと至るのだろうか

そんな終わりから始める物語を
これから
記していきたい

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