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1月18日 幸せ度4 恋愛最高運の日

今日は占いによると恋愛最高運の日らしい。
運命の人に出会えるかもだって。
私はいつも通りBARの仕事だけだ。
BARに突然運命の人が来るんかな。

昨日もなんとなく憂鬱だったんだけど、今日は更に憂鬱だ。
満月のせいだろうか。
いや、違う、私がこのお店にいると自分が必要とされていない人間だということを目の当たりにしてしまうからだ。

最近よく被るスタッフのMちゃん。この子は完全にプロの接客ができる子であっという間にお客様から人気になってしまった子だ。お店のお客様の半分、特に羽振りの良いお客様はこの子のお客様だよねっていうくらいすごくて、ほぼこの子のお店といっても過言ではなくなってきている。
みんな私じゃなくてMちゃんと話に来ている。
私が出勤したときにはMちゃんの世界が出来上がっていて、他のスタッフもみんなMちゃんの席に着いていた。
しばらく私は一人でバーカウンター内にいた。
完全に仲間はずれみたいな空気だった。
私は必死でスマホをいじったりトイレに行ったりして気持ちを誤魔化した。

30分くらい一人でそうしてると、Mちゃんがこちらにきて『いいタイミングで席来てねー』と言ってきた。
お客様から直接呼ばれたわけじゃ無い席に着くのは辛すぎる。しかも、すごく苦手な女性のお客様もそこに座っている。
以前その女性に『この仕事向いてないよ』と言われたからだ。

そしたら今度は勝手に私の分までテキーラが用意されていた。
私はその日、マウスピースをつけていたので外さないと飲んではいけない状態だった。タイミングが悪すぎる。
『全然気が付かなくてごめんね!』と、にこにこした爽やかな風貌の男性が私に声をかけた。私は『すみません、今すぐは飲めないので乾杯だけさせてください。』といって、みんなで乾杯したそのグラスを口につけないまま置いてトイレに向かった。マウスピースを外した私はすぐにテキーラを飲みに行こうと思ったが注文が相次ぎ業務に追われた。
そして、少したってから、並々に入ったテキーラグラスを持って、またその席に乾杯しに行くことにした。しれっと飲むのは失礼だと思ったからだ。
『え?!まだ飲んでなかったの?笑』とMちゃんに突っ込まれながらも、『すみませんさっきはマウスピース付けてて飲めなかったので、改めて乾杯させてください』と。
やはりあの女性客は苦笑していた。死にたい。
私はすぐにその席を離れてまた一人の世界に閉じこもった。

全てが鬱だった。

私は他のスタッフといるときもこんなふうになりやすいけど、特にMちゃんと一緒にいると私とのコントラストが強すぎて自分が必要とされていない人間なんだと否が応でも目の前に突きつけられて胸が苦しくなって辛くて泣きたくなってくる。
今すぐこの場から逃げ出したい。
もうそろそろ限界だ。

私はSさんとのデートの約束を思い出した。
この前初めて私からSさんに遊びたいですと連絡してデートを約束した。すごく勇気を出して連絡した。恥ずかしかった。自分から遊びたいなんてしばらく誰にもお願いしたことない。
Sさんはいつもより遅めの返事だったけど、二つ返事でOKしてくれ、すぐにデートの日取りが決まった。それなのに何か自分の中に気まづさが残った。
きっとSさんもそこまで私のことを好きじゃないし、こんな私を哀れだと思って遊んでくれているのだろう。今回も断ったらお店に遊びに行くのが気まずくなるかとも思ったからOKしてくれたのだろう。。そう思ったら自分のことが恥ずかしくなって、Sさんにもすごく申し訳なくなって、とっさにSさんにキャンセルのメッセージを送った。

しばらくすると、苦手な女性がいたグループが帰っていった。そしてお店に電話が入った。Mちゃんがすぐに出た。
『Sさんがこれから来るって』と、背中をポンポンとしながら私に良かったね〜と言わんばかりのにこやかな表情で伝えてきた。私がSさんを気に入ってるのがモロバレなんだろう。

今日は恋愛運最高の日とかいっておきながら全然最悪な日に終わるんだとうんざりしていた矢先の出来事で驚いた。

今度は嬉しくて泣きそうだった。

そしてSさんが到着した。
私はこの前初めて自分から誘ってしまったばっかりに、恥ずかしてくてドギマギしていた。

『あれ、この前会ったばかりだけど、髪切った?さらにいい感じ。今日は特に可愛いね。』
Sさんはいつもの調子で言った。これだけ軽快に言われると、嬉しさをすっかり通り越して嘘臭く感じる。笑
でも嬉しかった。

そして、先程送ったキャンセルの連絡の件を改めて伝えた。
すると、Sさんはすぐさまスケジュールを確認した。
『この日なら空いてるよ。忘れないようにLINEにエビデンス送ったよ。』といってその場でLINEに日付を送ってきてくれた。すごく嬉しかった。
けど、日にちがすごく遠くて、1ヶ月後だった。
しかも1日だけの指定。
私はまたすぐにマイナス思考になった。
『まだスケジュール分からないので、わかったら連絡しますね』
天邪鬼にも少し冷たく返答してしまった。

思えばこの辺りからむこうも冷たくなったような気がする。

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