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“心のざわつき”を無視したら痛い目にあった

「この人、ちょっと変な感じがする…」

「この人、なんかこわい。」

初対面でそう感じる人が、たまにいる。

前職の同僚M(女性)と、現職の同僚A(男性)がそうだ。

自己啓発本オタクな私は、自分の心の持ち方が悪いからそう感じるんだ、と信じていた。「気のせい気のせい。よく知らないのに嫌いになっちゃダメ!」と自分に言い聞かせ、彼らに好かれるための努力を必死にした。

ところが、その結果待っていたのは悲劇だった。

ある日の会議中のこと。空中分解しそうなプロジェクトをなんとか軌道に載せようと、自分の心を奮い立たせて会議を開いた。その日、Mは朝から言葉数が少なく無愛想で嫌な予感はしていた。案の定、Mは会議中ずっと肘をついてむっつりし、発言したかと思えばキツイ言葉で私のあげ足をとってくる。同じ部署なのに…。私は蛇ににらまれた蛙状態で、心臓が止まりそうになりながらなんとか会議を終わらせた。ところが、その後上司に話しかけられたMは別人のようにニコニコしながら、愛想よく受け答えしているで…!私は頭が混乱した。

以降もたびたびMは私と、同期のメンバーにだけ同じ態度をとった。あとで聞いた話では、「どうしてもしんどくてイライラしていた。」とのこと…


Aはさらにたちが悪かった。彼は数か月後に入社してきたので、ほぼ同期。ふだんはニコニコして、困ったら素早く察知してとても親切に助けてくれる。でも、私は初めて会った時からどこか怖くて、表面上はうまくやりつつも彼と打ち解けられないでいた。あるときから、Aの私への態度は少しずつおかしくなり始めた。4人チームで働いているのに、明らかに私だけにイライラしている。彼は私の仕事の仕方が気に入らず、度々きつく注意するようになった。私は怖くて、彼に注意されたことを必死になおそうと努力した。

ある日、Aと私は2人きりになった。すると、Aは急に大声で私に説教を始めた。

「あれだけ言ってるのに、何も変わってないじゃないですか。本当に僕が言ったことわかってるんですか?」

「Hさん(私)って、自分のことしか考えてないですよね?」

「Hさんって片付けが中途半端でイラっとするんですよね。」

「Hさんって、なんで現場で動かないんですか?」

これは約1時間におよぶ説教のほんの一部。ちなみに、私は現場の作業員ではないため、彼よりもずっと経験が少ないので同じように動けるはずはない。10年間のキャリアのなかで、こんなことを言われたのは初めてで、途中からAが何をいっているのかすらわからなかった。

その日から、休みの日もAへの恐怖で頭がいっぱいになり、ついには適応障害になってしまった。

人を嫌いになってはいけない。

人から嫌われてはいけない。

そう信じて、不器用なりに必死に生きてきたけれど、人を嫌いになってもいいし、嫌いな人にすり寄ってはいけない、ということを学んだ。

私は必死で好かれようとするから、MやAのような人たちは当たりやすいのだろう。

彼らに共通するのは、第一印象で心がざわついたこと。痛い思いをしてやっと、自分の直感は案外正しい、ということがわかった。ネガティブな感情がわくと、それを無視するように生きてきたけれど、私の心はきちんと危険を知らせてくれていたのだ。

“君子危うきに近寄らず”

これからは自分の心のざわつきをもう少し大切に生きていこう。

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