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MEGABOX 海雲台(萇山) パブロ・ラライン監督最新作『Ema』

ケン・ローチ監督作に心打たれ、会場を視察しすぎてギリギリの移動になる。今回、映画館の写真は撮り忘れた。
センタムシティから地下鉄2番線の終着駅 萇山へ向かう。15分〜20分ほど。
地下鉄の改札出てすぐのところに案内所があり、おじさんに聞いてみる。
アンニョンハセヨ!
Where is MEGABOX?Movie theater.
英語が全く通じず、最後は地図を指差しながら「ヨンファグァン!」を連呼していたら、「NC!NC!」と返事が帰ってくる、、なんとなく理解MEGABOX 海雲台は NCという百貨店の上の階にあるらしい。
何階かわからなかったので、
「百貨店に入ってる映画館というのは大体8階にある」法則に従い、
エスカレーターで上の階へ。

カフェの横をすり抜け、更に別のエスカレーターで上の階へ。
割と狭めのロビー、映画祭ブースには4人ほどのスタッフが。
事前にチケットを受け取っていたので、到着後すぐにもぎりへ。

入口、デジタルもぎり(バーコード)で通過した後、スタッフがシーバーで「イルボネーうんたら」と言っていた。
「日本人入りまーす?」みたいな感じか?案内に活かされるのかな?
座席は「K-10」アルファベットなので分かりやすい。
席に着くなり隣のおじさんが一人でブツブツ言っている。
「上映中もブツブツ言われると嫌だなー」と思ってたら

後からきたおばさんがブツブツおじさんに「あなた、そこ席違うわよ」と言ってどかされていた。おじさんは前方へ移動(多分移動先も違う席)。

気を取り直して、上映開始!期待値は高い。
第76回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門において8月31日に初上映された。トロントでも上映されたそう。
第90回アカデミー賞で、『ナチュラルウーマン』外国語映画賞を受賞・・・したのはチリのセバスティアン・レリオ監督。そんな期待値の高いチリの映画。

映画は暗闇で燃える信号機から始まる。
そもそも信号機って鉄じゃない?可燃なのか?とか思いながらしばらくすると、防火マスクをした人物が凛々しく立っている。
衝撃的なオープニング!
『ナチュラルウーマン』において主人公に吹く「逆風」しかり、今回は「炎」!(この日記を書いた時点で、ナチュラルウーマンの監督と勘違いしていた。)

そう、パブロ・ラライン監督は作品によっては感情をかなり直接的に画で表現する監督だった。
場面は変わり、なにやら密室で大人数がコンテンポラリーダンスを踊っている。背景に映し出されているのは炎に覆われている惑星。
流れているサウンドも宇宙的で、皆、動きの切れもいい。
調べたらこの音楽はヒップホップとレゲエの融合「レゲトン」というらしい。
割と熟練したダンサーの集団であることが確認できる。

更に場面は変わり、若い金髪オールバックの女性が子供の親権で揉めているシーンへ。何としても養子のポロに会いたいらしい。
この金髪オールバックの女性が「Ema」であり、この映画の太陽。

どうやらソーシャルワーカーや家族と揉めている様子からエマが子供(ポロ)に会う為ならなんでもする女性であることがなんとなく空気でわかる。
しかし実際は会えない。接近禁止らしい。会議には父親も同席している。
父親ガストンはダンスの演出家。エマと夫婦。
離婚?はしてないが、別居中?
子供(ポロ)が起こした「エマの妹に火をつけて入院させている事件」のせいで子供に会えないことで、ガストンとエマは顔をつき合わす度に口論になる。

エマはダンスを小学生に教えながら、生計を立てている。
劇団の不良?仲間(女性のみのグループ)で夜な夜な遊びに行ったり、街で踊ったり。女性ともセックスすることから、バイであることも判明する


後にエスカレートし、火炎放射器で物を燃やすという「遊び」に発展する。てかどっから持ってきたんだその放射器?笑

別居していても、ガストンとは劇団の稽古で必然的に会う。
そこはプライベートと一線を引いているらしく、(まぁ他の劇団員は知ってるんだけど)稽古はいたって真面目。
ある日の稽古にて配役で揉め、ガストンがつい劇団にいたポロのことを
「Poloがすごいのはコロンビア人の純血が流れているからだ!」みたいな超差別発言をしてしまい、ダンサーの一人から
「通りに出てみなよ!働いてる人間は全員コロンビアの純血か?違うだろ?出てけクズ。」的な反論を受け、ダンサー全員から反感を買う。

ガストンが劇団の女と浮気してるらしく、エマとさらに揉め、しかし抱き合う。もう切っても切れない仲だ。

そんなこんなでついに、エマは現状を弁護士に相談する。
相談する女性弁護士は既婚で、旦那もいる。
「私のような法律家にはあなたのようなアーティストの気性はわからないわ」と言うとエマは机の上でダンスを魅力的なダンスを披露する。
やがてアグレッシブなエマに心を奪われ、女性弁護士はエマと肉体関係に。
女性弁護士は浮気してしまう。

そしてエマは女性グループでバーに繰り出し、男性バーテンに尋ねる
「この中で誰が一番 魅力的?(誰と寝たい?)」
次のシーンではバーテンとエマが肉体関係に。
バーテンもエマと浮気してしまう。

ある日、エマがダンスを教えに行った小学校で偶然!?ポロに会ってしまい、ガストンと共に車で現在の親の元へ案内してもらう。
なぜか車中でエマが妊娠していることをガストンに告げる。
裕福そうな一軒家に到着。
「これが今のママとパパだよ!」と無邪気に紹介するポロ。

その二人は女性弁護士とバーテン。
その場にいる全員がエマと肉体関係を持った人物。
気まずい!修羅場すぎる!

泣き崩れる女性弁護士に「この状況を解決する方法が一つだけあるわ」と冷静に諭すエマ。

少し時は流れ、ある爽やかな朝食。
家にいる一人ずつ顔にズームアップし、全員の微妙な苦笑いが映し出される。
全員で同じ家に住んで共同生活をしている!
多分バーテンの子であろうエマの赤ちゃんまで!
ようやく幸せを手に入れたエマ。満面の笑み!よかったね!

エマの強烈な魅力と個性にみんな吸い寄せられていった挙句の果て、みんな家族になるという筋だけ書くとヘンテコな話だけど

エマを演じたマリアナ・ディ・ジロラモ のくっきりした顔(男性的でもあり女性的でもある)がひたすら美しく、顔がアップになろうものなら、吸い込まれるように見とれてしまう魅力の持ち主で、この人じゃなければ成立しない映画だったように思える。

ちなみに、ドルビーアトモス仕様。鑑賞スクリーンがアトモスに対応してるかは定かではないが、結構音の広がりは感じられた。特に低音域がしっかり出ていて、映写的にはバッチリだった。

https://www.youtube.com/watch?v=3xVGjzPaV6s&feature=youtu.be

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