Echoes解説【AURORAの季節】
こんぴあの!
Sky -星を紡ぐ子どもたち-『AURORAの季節』
のためにPianoが製作した楽曲『Echoes』の
歌詞について、登場人物の設定紹介を交えつつ解説していきます(所要時間6分~7分程度? 動画を確認しながらだと10~15分程度)。
曲の前半部分は風景描写が主ですから割愛して
1番・2番のサビ部分とそれ以降について。
希望なき民とは
新しい知識、技術、財産や人脈などを得ようと挑戦、成長する事を諦めた人々
事なかれ主義
今のままの生活が送れれば一番幸せと考えている。しかしその生活が誰かの不幸の上に成り立っている事からは目を背けている
名もなき歌とは1
「LaLaLa… LaLaLa…
危険を冒して挑戦をする事に何の意味がある?
今のまま自分が居られる事が一番大切だ…
誰でも得意不得意があるから
できない事があったって仕方ないさ…
無理しないのが安全、安心…
さぁ、今日も安らかに眠りましょう…」
…などという内容の、民衆に向けてどこからか聞こえてくる歌
希望なき民の多くがこの歌を聞き知っている
「何も考えず、この歌を歌ってさえいれば必ず幸せになれる」と噂されるモノ
※「この壺を購入するだけであなたは幸せになれます」というのと同じ構図
民衆から思考する力を奪う誘惑の歌
自分たちを肯定してくれているようで、実は 民から意欲という意欲を根こそぎ奪う怠惰の歌
愛しながら傷付ける
弱者たるマンタは、一部のコミュニティからは愛されつつも、多くの民衆の惰性のままに傷付けられ続ける(≒環境破壊の喩え)
民衆に罪の意識が全く無いという訳ではないが 名もなき歌により その意識も薄れてしまっている
異種族に対してだけではなく、民がお互いを思いつつも理想的な人間関係に中々辿り着けないという同族間関係のダブルミーニングがある
赦しを請う行進
名もなき歌により尊厳と自己肯定感を徹底的に塗り潰された民は、今にも消えそうな意欲と僅かな罪の意識を抱えながら、もはや王(または神)に赦しを請う事しか出来ることが残っていなかった
理想なき王
かつては全ての生き物に等しく救いを与えられると思っていた王
しかし他の生き物と、あるいは同族との奪い奪われる関係の中で、ごく僅か一握りの集団しか救えない現実を知る
全ての生き物の理想のために いつ途絶えるとも知れぬ棘の道を歩み続けるのか
それとも今救うことが出来る者のみを選別し他を見捨てるのか
究極の選択を迫られ 王は疲弊しきっていた
名もなき歌とは2
王の元にも名もなき歌が聞こえてくる
「LaLaLa… LaLaLa…
あなたの出す答えならどちらも正解…
全ての生き物はあなたの決めた事に従ってくれる…より強い生き物が残るのは古来からの決まり事… あなたはその自然の流れを少し促すだけ…」
名もなき歌は王に対しても思考、理想、苦悩、その他一切を奪おうとする
歌声が響き渡った時 王はついに悩むことを放棄し 決断した
憎みながら依存する
王はその手段(=巨大ダイヤ※)が禁忌の法であることは知っていた
しかしそれを選ばねば天空へと帰る未来が決して訪れないということも確信していた
「愛しながら傷付け」と同様、同族内の人間関係というダブルミーニングあり
※人の手で制御しきれないエネルギー機関の喩え。現実世界では核分裂反応に相当するか。憎みつつも再生可能エネルギーだけでは現在の生活を維持できない
救いを願う行進
王曰く「もう私は 元来た道を戻ることは出来ない 許しなど求める資格はない
ただ これから我々の向かう先に救済が待っていることを願うしかできない」
耐えきれず絞り出した声とは
動画の3:44~流れるのが名もなき歌のメロディ。クロマチックアプローチが多く、オルゴールの音+嵐の音+無邪気な笑い声(聞こえましたか…?)が不安を煽る
名もなき歌に異を唱えようとして「僕」が発したのが、「耐えきれず絞り出した声」
民衆の昂揚と 王の焦燥に 小さな声はかき消された
もう聞きたくないと耳を塞いだ
「僕」を取り囲む名もなき歌の大合唱
その歌を歌っている誰もが皆 薄ら笑顔を浮かべ 淀んだ虚無へと向かって進んでいく
何度も何度も周囲から聞かされ続けた歌は 「僕」の頭の中でも鳴り響いてしまう
耳を塞ぐ動作をしてみたが 当然鳴り止むことはなく 「僕」の意識もまた揺らいでいく…
「皆がささやかな幸せを感じながら死に向かうなら、それでいいんじゃないか…?間違っているのは僕の方…?」
『遠くで 僕を呼ぶ 懐かしい声』
「僕」の記憶なのか 前世の記憶なのか よく知っている声が聞こえる
候補(1)名もなき歌とは違う、真なる歌=名を与えられたAURORAの希望の歌、その声
候補(2)その歌を聴き 思い出し歌う王子の歌声
候補(3)更にその王子の記憶を一部受け継いだ「僕」自身が前世において 耐え切れず絞り出していた声の反響
(1)~(3)はどれも似た声をしていて、「僕」にどれが聞こえているのかは分からない
「僕」は、その誰かのEchoesから 淀んだ闇を抜けて 再び輪廻の環へ歩き出す希望を 受け取った。 → 転生門の映像へ。
結局名もなき歌って何なの?
・無責任な肯定
・根拠のない差別や偏見
・努力や思考を放棄するよう迫る 一見分かりやすい似非理論
現実の様々な苦悩からの安易な逃避のためのツールと言えるだろうか。思考を放棄させ、仮初めの安心を与え、人々を淀んだ闇に導くものの総称が「名もなき歌」
アンケートでは敢えて選択肢に挙げなかった答え。少なくともこれを歌うのはAURORAでもなく「僕」でもない
人の弱った心 少しでも楽に過ごしたい 何もしたくない という心の中からこの歌は生まれる
「悪魔の囁き」とも呼べる
…で、誰が歌っているの?
敢えてアンケートに無理やり回答を付けるなら、
怠惰の権化Belphegor(ベルフェゴール; 悪魔の一種)が歌う歌
民も、王も。
人々が思考や思想の監獄に囚われるとき、この歌が心の中に響きわたる
動画の最後のメッセージ『The song will continue into the future』の意図は?
直訳すると「その歌は未来へと続く」
「その歌」が意味するものは 名もなき闇の歌であり 対極にあるAURORAの光の歌でもある
精霊(≒人)は不完全な存在。易きに流され 名もなき歌に染まりやすい
しかしAURORAの歌を聴き 再び希望を抱くという性質も有している
どちらか一方だけに完全に染まりきることはなく(=不完全な存在)、二つの間を揺れ動きながら来世へ来世へと輪廻転生を繰り返していく…「その歌」を歌いながら。
…というそんなストーリーでした。
解説は以上です、最後まで読んで頂きありがとうございました!おつぴあの!
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