魔法使いの約束感想まとめ4~ひまわりのエチュード~

哀愁ひまわりのエチュード台詞ザ・ベストテン!おしくもベストテン入りしませんでしたが、ファの「この前は言い過ぎた」フィの「いいのに。俺はいつも言い過ぎてる」何回思い出しても好き。以下無駄なベストテン

2021/1/4


第10位ネロ「寝ずの番は危険が及ぶからするもんだ。ヒースクリフが危険に囲まれていることを、おまえはいつまで喜べるんだ?」

シノとヒースの主従関係を幼いと言ったネロ。あまりにまっすぐヒースの従者であることを誇りに思ってるシノに対して思わず介入するように食い気味で話したのがこれ。基本見守るスタンスで、深入りはしなさそうなネロの真剣に語るのは400年生きてわかった厳しい現実。ただ、これは単なる心配というより独白、ほとんど自分語りだ。ネロは危険なところに首を突っ込んでいったり常に危険に晒されるボスに対してもう辞めてくれと言った。大切なものが大切になっていくほど失う恐怖が増していく。奪い奪われが日常茶飯事の北の国で生まれたのに、命や生きてることを優先できる稀有な魔法使いなんだろうなと思った。多少痛みがあっても人間より耐久性があるので命や痛みに鈍感な人が多い中で、痛みを受け止められる優しさと、それでも受け止めきれないものは上手に手離せてしまう冷たさがネロという居心地の良い人間の不思議なところ。





第9位ファウスト「……僕のことは忘れて、きみはきみの人生を大切にしてくれ。きみにはどうか、幸せになって欲しい。」

呪い屋とは??と常々思いますが、これもある種の呪いの言葉かもしれないなと思う。自分の幸せを願う人間に、自分のことはいいから君は幸せになってと言うことの厳しさがわからないところが、ほんとに心底いい人なんだろうなと思う。逆にフィガロは自覚あってそういう呪いを吐ける人ですが。たくさんの人の分まで恨みを、罪を背負って、長い年月があってもそれを手離そうとしない強さが、生きづらいとしてもファウストの心の強さなんだろうなって思う。でも、レノはあなたが幸せに生きることが自分の幸せなんですよ、ファウスト様!!いつか人里離れた穏やかな場所で祝福屋を開きましょうね(?)


第8位ネロ「あんたも命がけで無茶する気質か。まったく、俺はくじ運が悪いよ。」

昔の男の話をするな!早く名前を出してください。誰なんですかあんたもの「も」に含まれる人物は!?!そういうヤレヤレ感出すところ、流されやすいところ、弱ってる時に気づいて料理出してくれるところ、なんだかんだ一番みんなのことよくみてるところ、心配してくれるところ、心配してるのに心配してる素振りを出すのが苦手なところ、ネロのこと好きにならないの無理です。直接話せなくても料理を通してコミュニケーションが取れるの最強。どんな魔法使いも美味しいもの食べたい欲があるのでネロのこと嫌いになるの難しくないですか?好きにならなくても、絶対嫌いになれない。そういう距離感を作るプロ。くじ運は悪くても大事なところでは運命を引ける男だよ!!


第7位ファウスト「あなたと一緒に生きるのは、僕じゃないし、僕と一緒に生きるのはあなたじゃないんだよ」

フィガロも傷ついたかもしれないけど、これを言ってるファウストも傷ついてるからね……私も傷ついてますけど。(BGM:pretender)言いたかったことたぶんお互い素直に言い切れてないんだろうけど、これを傷つける目的で言ってるわけじゃないんだろうファウストの真っ直ぐさ。別れ話をする時に、される方が泣きたいのに切り出してる方が泣く感じだった。一緒に生きようって言ってくれて嬉しかったよって言うんだからこれが戦場じゃなくて心底良かったと思いました。


 
第6位フィガロ「頼ってよ。もうきみの期待は裏切らない。約束したっていいよ。」

順位付けにもう意味などないです。お飾り程度。
まほやくでいう「約束」には、破った時に魔力を失うという大きなリスクがあることを私は知っている。簡単に約束なんて言わなさそうな男が冗談めいた形で約束してもいいなんて言う。しかも、ファウストの期待をもう裏切ることはないという漠然とした約束を。目の前で死ぬことを期待されたら死なねば魔力を失うってことですよ。でも、フィガロのズルいところはファウストがそんな約束を絶対に良しとしないとわかってて言っているところ。でも、結構本気で言ってるのに伝わってないところはちょっと可哀想な気は……完全なる自業自得ですね。可愛い愛弟子ぐらいに思ってて、常々ちょっと揶揄うスタンスなのかなと思ってたら、思った以上に本気の感情を見せてくるんですが、これはどういうことなんでしょうか。でも、相手は裏切った相手すら完全に憎めないある意味鈍感……包容力の持ち主なのでストレートしか喰らいませんよ。その割に無自覚で豪速球のストレートを投げれるのもまたファウストの人たらしなところ。

第5位シノ「オレは百回死にかけてもヒースの傍にいる。ヒースにも泣き言は言わせない。血まみれのオレの姿にも見慣れてもらう。オレたちの将来と自由のために」

ネロの部屋でのやりとりを経てのアンサーなんですけど、ネロが出せなかった答えを出したのかと思えば複雑で、どちらかというとマインドはブラッドリーに近い。たぶんネロの気持ちがわかるのは主人であるヒースの方かもしれないっていう捻れっぷり。ただ、ネロが伝えたのが同じ従者、部下としての立場だったシノだったんだよね。ネロは何回も死にかけるボスに耐えきれなかったことを思えば、どんな気持ちで聞いてたんだろうな。まだ幼い夢物語だと馬鹿にしてしまえば良かったのに、それができないぐらいの真っ直ぐな強さがシノにはあって、こいつになら出来るのかもなって思ったのかもしれない。ヒースが止めろと言っても、ヒースを命がけで守ることをやめないシノに対して、ヒースも覚悟ができるのかどうか。でも、ヒースの将来のためにではなく、シノとヒースの「オレたちの」将来のためにって言ってるところに二人の希望はあるのではないでしょうか。シノの真っ直ぐさ、東年長の二人には眩しくて幼くて心配だろうな…。


第4位フィガロ「いつだって本気だよ。だけど、願いは叶わないから、ふざけていたことにしてるんだ。」
第3位フィガロ「一言で言うなら、未練だよ。呪いにもならない、笑えるだろ?」

2000年生きてるような男のこと本当はわかるわけないんだけど、どうしてわかるような気がしてしまうのだろう。本気って怖い、叶うはずないって思いながら願ってしまうことをやめられず冗談にして口にする。好きだって言葉も冗談で言えば傷つかない。一緒に生ようって言葉も冗談にしてしまえば叶わなくても冗談じゃんって笑って誤魔化せる。そうしていくつもの愛をひらひらっと手離してしまったんだろうと思ったら、自業自得だよと笑えない。傷ついた宝石の傷に反射する光の眩しさにずっと憧れてるんだろうなって思った。傷ついた人間からすれば傷一つなさそうに見えるフィガロの心が強いんだなと思うので、ファウストはフィガロのことを理解できないと思うんだけど、理解できないことは一緒にいられない理由ではないから……頑張れ。傷つかない心をフィガロは紛い物だと思ってんじゃないかな、どうだろう。それを本物の心で、フィガロも傷ついてるじゃないですかって気づいて言ってくれるの誰なんだろう。

いやもう、未練だとか言うなら手放すな!手離したのなら未練だとか今さら言うな!それすらも冗談めかして言うな!!!!!!お酒をつぐところのやり取りから、二人のやりとりの濃度が高すぎて無理です。お手上げ。今さら手探りでする、本音を少し交えての会話。何百年言えなかった、言って欲しかった、想い、わだかまり、未練…………。お互い一生わからないままなことたくさんあると思うけど諦めてまた一緒に世界を見守ってほしい。二人で、ではなくたくさんの愛すべき人たちに囲まれて。



同率第1位
ネロ「二十回目以上からは、そんなに死にてえなら、俺が殺してやるって思うようになる。」

シノ「三十回目からは」
ネロ「一緒にはいられないと気づくんだ。」

台詞の応酬が上手くて痺れて立ち尽くした。誰かに殺されるぐらいなら、知らないところで野垂れ死ぬぐらいなら、自分の目の前で死なれるならいっそ自分の手で殺してしまおうか。ネロの中からそんなドロっとした感情が出てくると思わなくて、ドスで背後から刺されたぐらいの衝撃があった。
ブラッドリーはせっかくある魔力や命を使って何かを成し遂げることに生きる意味を感じていて、スリルさえも楽しむ、無意味に生きる命に意味などないと思うタイプ。ネロは人間の中でも浮いていて、魔法使いの中でも力が強い方ではなくて、どっちにも居場所が見つけられなかった中でできた居場所を大事にしたい。居場所がなくなるのは辛いだろって言えるタイプなので根本的に生き方が合わない。攻撃こそ最大の防御のブラッドリーと、攻撃しないことが最大の防御、面倒ごとは避けるなら避けるネロ。ネロが盗賊団の仲間も含めた居場所をすごく大事にしてたし、その思い出を大事にもってたことを匂わされるたびに、「一緒にいられない」と気づいた重みに潰されそうになる。

これを受けてシノの百回死にかけても傍にいるというアンサーに繋がるのお話のうまさがすごすぎる。


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