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家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本/千日太郎氏

家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本/千日太郎氏

◾️磯野の本の要約
会計の専門家から見た住宅購入の目線を書いた本書は、住宅業界内にいる目線とはだいぶ異なるもので、多々気づきがありました。

少し偏見に思えることもありますが、でも顧客側もそのような思っている方もいるのだということです。

よって本書からは、住宅業界目線と顧客目線とは違う、第三者目線という意味でどちら側が読んでも一つの価値観を得られると思いました。

◾️はじめに

本書は、今まで誰も書かなかった数字の向こうにある本質をつまびらかにしています。
それは私が長年に渡って会計の専門家として数字にこだわり、その魔力と格闘してきたからこそ書けることだと思います

今まで多くの専門家が見て見ぬふりをしてきた、不動産会社や銀行があえて語らない、本当の家の買い方、住宅ローンの選び方を、あますところなく紹介していきます

◾️第1章「家を買う」ときに後悔しないための心構え

不動産会社の営業マンは私たちの見方ではありません
ですが、かといって敵でもありません
「取引相手」なのです
(不動産)営業マンは家を売るまでが仕事なのです

私たちと利害が一致するのは、私たちが買いたい家と、彼らが売りたい家が一致した時だけです

少しでも気持ちの中に「マズイな」「おかしいな」と引っ掛かりを感じたら、立ち止まり、二人三脚の紐を外す勇気を持ってください

「家は人生最大の買い物」とよく言われますが、「買い物」という比喩表現には、落とし穴があります
家を買い物と考えていい人は、一握りの億万長者だけです
私たちが犬小屋や物置を買うのと同じ感覚で不動産を購入できる人です
しかし多くの人たちは違います

では買い物でなければ何なのか?
それは「人生のプロジェクト」です
マイホームは生活の基盤となり、家族の人生の入れ物ですが、住宅ローンの支払いを継続できて、はじめて維持することができるのです
その点では持家も、賃貸も何ら変わりません

不動産に「掘り出し物」などありません。すべて価格に反映されているのです
私たちが持つべきなのは、住宅の購入は「人生のプロジェクト」という視点です
営業マンのいう「良物件」は、彼らにとっていいのか自分にとっていいのか、フィルターをかけて聞く必要があるのです

◯賃貸か?持ち家か?は永遠のテーマなのではない

・賃貸のメリット:所有に伴う責任から自由でいられる
・賃貸のデメリット:自分で所有するより高い支出を負担する

・持ち家のメリット:賃貸物件に住むより、安い支出の負担ですむ
・持ち家のデメリット:住宅ローンの債務と不動産の所有に伴う責任を負う

住宅ローンで家を購入するということは?
「35年ならば420回、銀行に決まったお金を払うこと」ノーミスでできるか

賃貸に住むならば現役のみならず、老後も賃貸物件に住み続けるための資金計画が必要

◾️第2章 自分はいくらの家が買えるのかを知る

いまは変動金利が安いので、賃貸物価の家賃相場より安い金額で購入できるかのような錯覚を受けます
しかし変動金利が安いのは銀行の都合で上げることができるからです

◯住宅ローンの返済以外に必要なお金
1.売買契約を結ぶ
2.住宅ローンを組む
3.その後、家を維持する

◯無理なく完済できる住宅ローンの4つのルール
1.毎月の返済は「手取り月収の4割以下で、ボーナス払いなし
住宅ローンの支払いは月毎なので、月収、それも手取りの月収をベースに判断する

2.返済額が一定になる「元利均等返済
元本と利息込みで毎月の返済額を均等にする返済方法

3.シミュレーションの金利は「固定金利
変動金利の方が低金利ですが、金利が上昇するというリスクがあります
固定金利なら金利の上昇リスクに対して備える必要はありません

4.定年時のローン残高は「1000万円以下
60歳または65歳定年時に残高がいくらになるか?という視点がとても重要です

◯なぜボーナス払いがダメなのか?
住宅ローンは若い時から返済を開始することで早期に完済ふることごできるため、早くから組む方が有利です
しかし若い時はまだ頭金を十分に貯めることができていない場合もあります

今の年収をベースにシミュレーションしたら、返済期間を長く取れても自分の欲しい家は買えない…そこで考えるのがボーナス払いですがお勧めしません
35年で夏と冬の2回の合計70回の支払いを420回に加えることになります
つまり難易度が跳ね上がります

◯住宅ローン返済のシミュレーション
手取り月収の4割
年収 400万円
手取月収 22.5万円
手取月収の4割 9万円
ここから「毎月の返済でいくら超えているのか?」という物差しで考える

◾️第3章 価値の下がらない物件の選び方と営業マンとの交渉術

不動産は実際に現地調査することで、ネット情報ではつかめない様々なことが分かる

不動産に掘り出し物などありません
様々な要素が相まって価格は決められます

自分の価値観から譲れない条件に合う物件、しかも予算内の家となると、それほど数はありません
つまり、しっかりと方向性を定めて、目的の家を見つけることは可能なのです

◯自分だけのデータベースを作る2つのポイント
・多くの情報を整理し、物件ごとに一覧できるようにしておく
・自分の価値観を整理し、その優先順位を明確にしておく

◯営業マンとの付き合い方
彼らは味方ではありませんが、敵でもありません
お互いが一定のルールを守りつつ、それぞれ自分の利益を追求する

▽要注意な営業マン
・「掘り出し物だから早く決めないと売れちゃいますよ」といって契約を急かす
・「私にお任せください、大船に乗った気持ちで」といって満足な説明をしない
など

◯中古住宅を購入するときの注意点
建物の資産価値の推移
・新築から5年以降で急激に下がる
・その後緩やかに下がっていき、最後は取り壊し費用の分だけマイナスとなる
気を配るポイントは「検査済証」があるか

◯注文住宅を建てるときの業者選びの心構え

断熱材、床材、床暖、窓ガラス…これらの価格相場や性能を全部把握して決めることは、素人にはまず不可能です
つまり、信頼できるパートナーを選べるかがキーになってきます

まず気になるのが価格相場でしょう
坪単価なんて意味がない」のです
注文住宅を建てるまでに業者に求めるのは、
・その無数の取捨選択で適切なアドバイスを受けられること
・プロならではのアイデアを出してもらうこと
安い材料、手抜き工事で安く上げることではありません

相場を一つの目安として活用することを否定しているのではありません
しかし、家を構成するするすべてを把握したうえでコストパフォーマンスを判断するといったことを素人にできるわけがないのです

坪単価の安さばかりを強調する業者は、まだそういうことを分かっていない初心者を取り込もうとしている可能性もあるということです

お客様の要望に耳を傾け、それを形にしていくのがプロの仕事です
新しい価値観、あるべき方向性、普遍的な価値、予算などをすべてひっくるめて適切なアドバイスをし、最適なプランを提示してもらえることが、本当のバリューではないでしょうか

◯できる営業マンを見分けるポイント
1.質問に対する回答の的確さ
2.即答できなかった場合のレスポンスの早さ

◾️第4章 金利動向に左右されない住宅ローンの組み方

◯住宅ローンを扱う金融機関
1.民間融資
2.フラット35
3.公的融資

◯住宅ローンの金利タイプ
1.変動金利
2.固定金利

◯すべての銀行が横並びで基準金利を上げやすいタイミングとは

住宅金融支援機構の調査によると2015年の住宅ローンの完済債権の平均経過期間(借換え含む)は14.4年

2008年のリーマンショック以前の高い金利で住宅ローンを借りた人が、平均して14.4年で完済する、または借り換えているとする

つまり、2008+14.4=2023年になると高い金利で借りている人はほぼいなくなり、2016年以降の超低金利で借りている人が大半を占める状態になる

さらに団塊世代ジュニア世代が50代になるのが2021〜24年です
2023年には避けようのない高齢化社会がやってきます

すべての銀行が横並びで基準金利を上げやすいタイミングになります
横並びで一斉に金利を上げれば、他行に借り換えられない

◯住宅ローン控除のキャッシュバック

住宅ローン控除は、住宅ローンの利息を国が肩代わりしてくれる減税制度です

・家を購入した年の年末から数えて10回(または13回)
・年末の住宅ローン残高の1%(13回の場合は、建物価格の2%の3等分のいずれか低い方)

当初の10年間は元本がなかなか減らない苦しい時期ですが、住宅ローン控除は元本の減りが遅い方が有利に働くわけです

▽変動金利の2つの4
・毎月の元利均等返済額の1/4以上を貯金する
→銀行が一度に上げる1.25倍に対応できる

・その貯金と元利均等返済額を手取り月収の4割割以下にする
→サラリーマンの平均的な月収を想定し、無理のない返済額の目安

◯ペアローンと収入合算のメリットとデメリット

ペアローンとは、夫婦がそれぞれ住宅ローンの申し込みをする方法
契約するのも2本となる
住宅ローン控除も夫婦それぞれから控除を受けられますが、夫婦の債務の比率は途中から変えられないので、産休なとで週にが減った場合は控除も減ります

収入合算とは住宅ローンを申し込む方に、もう一人の収入を合算してローン組む方法
契約するローンは1本となる
住宅ローン控除は組む人の一人分のみ

以下余白

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