見出し画像

JRAプラス10が適用されず100円元返しになる場合


*この素敵なイラストを作ってくださったのはkateさんです。


今日はまたまたまお勉強の時間です。

前回は
「同着の時の複勝やワイドのオッズの計算の仕方」
を紹介いたしました。

今回は

「JRAプラス10が適用されず100円元返しになる場合」
を説明してみます。

まず、JRAプラス10のルールを、JRAホームページから抜粋してみます。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

「JRAプラス10」とは、「すべてのレース」・「すべての投票法」で「通常の払戻金が『100円元返し』になる場合に、10円を上乗せして110円で払戻す」ことを言います。

*特定の馬番号・組番号に特に著しく人気が集中した場合には、競馬法の規定により「100円元返し」となる場合があります。
*投票法ごとの「払戻金総額」と、「上乗せすべき金額の総額」の合計が「売得金の総額」を超える場合には、競馬法附則第5条第3項の規定により、「100円元返し」となります。

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

すべての投票法と書いていますが複勝がほとんどです。他に可能性があるとしたら単勝とワイドでしょうか。

2008年以降JRAプラス10の採用回数は、2021年3月現在で7132回
100円元返しの出現回数は592回。

つまり100円元返しは2007年以前の約1/12に減少しました。
かつては100円だった払戻の多くが、110円の払戻になるという大変ありがたいルールです。

ただ、特に著しく集中した場合って、どのくらいなのでしょうか?

それを説明してみます。

単勝の100円元返し場合は、説明が簡単なのでまずさせてもらいます。

「その馬への単勝売上額の91%を超えた場合」

次のようなレース(5頭立て)があったとします。
数字は順に「単勝オッズ」「単勝票数」

A アーモンドアイ    1.0倍 11000
B ダンスパートナー    24.0倍    400
C ウメノファイバー    32.0倍    300
D   イクノディクタス    48.0倍    200
E マインドフルネス    96.0倍    100
------------------------------
       総売り上げ票数 12000
 

Aアーモンドアイの票数は全体の91.6%(11000/12000)で、著しく集中しているとみなされ、100円元返しとなります。

もしもここで1.1倍にしてしまうと、払戻は11000×1.1=12100となり、総売上を100票分越えてしまい、JRAの赤字となってしまいます。
JRAの収支がマイナスになる場合はプラス10不採用となります。


複勝の場合はややこしいです。どのくらい(何%以上)という表現が難しいです。

それは、オッズに幅があるからです。


別のレースを例に説明してみます。

数字は順に「複勝オッズ」「複勝票数」

A ナリタブライアン  1.0-1.1  100000
B エアチャリオット     1.1-3.9   10000
C ナムラコクオー      1.2-4.8     8000
D イイデライナー      1.6-7.3     5000
E アイネスサウザー    2.3-14.8    3000
F メルシーステージ    3.2-17.6    2000
G サムソンビッグ     4.0-23.2    1500
H アタックナイアガラ 11.2-68.0        500
-----------------------------
       総売り上げ票数  130000

Aナリタブライアンの1.0-1.1の最小値1.0は
人気のAナリタブライアンが3着以内に入るとして
3着以内の他の2頭が人気どころ(BやC)なら複勝100円元返しになることを示しています。

1~3着がA、B、Cの3頭だったとして考えてみます。


もしAナリタブライアンにJRAプラス10をつけてしまったら。払戻は
A 1.1×100000=110000
B 1.1×10000= 11000
C 1.2×8000=  9600

総払戻は130600となり、総売上を600票分越えて赤字になってしまいます。
 

このようにJRA側に赤字が出る場合のみプラス10を採用せず、100円元返しにするわけなんです。


ちなみに実際のレースでは、2020年の神戸新聞杯のコントレイルの複勝のオッズが1.0-1.1でした。

しかしこの時は、3着に人気薄のロバートソンキーが入ったので、複勝オッズは最高値の1.1倍になりました。

もしも3着が(複勝オッズ2番人気の)ディープボンドだったら、コントレイルの複勝は1.0倍でした。



勉強になりましたでしょうか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?