火花/又吉直樹


本を読むと不思議なもので
自分が今意識していることや
考えていたことが
描かれてるように思う。

ただ単に、自分が意識してるから印象的なだけなのか、巡り合わせでうまく回ってきてるのかわからないけど、
たぶん前者だろう。


それは、ついこの間
彼と呑んでる時に
話したことと通じるものだった。


リスクを冒してから実感、体感するものがあるということ。

登場人物の芸人達はまずリスクをおかし、自分を試している舞台に立っていることが大前提だ。

その中で、
まさに人生で笑いを具現化する先輩と
周りを気にしつつも自分のやり方を見つけ先輩より
メディアにでた主人公。


主人公も先輩も漫才師なんだけど。

結果どちらが良かったのかはわからなかった。
成功的な意味でも、芸人としてという意味でもそれはわからなかった。
そもそも良い悪いとかじゃないのかもしれない。


う〜〜ん、上手くまとめられない。


わたしはリスクを犯したことがない。


だから、異端児の先輩も
異端になれなくて悩む主人公の気持ちも
あまり感情移入できなかったのかも知れない。


印象的だったところは、


漫才師だからこうしなくてはと思って、
そうしていたらそれはずっと漫才師に憧れているだけだと。漫才師は常に漫才師なんだと。

たしかになーって。


クールな奴はクールであって、クールぶってるやつじゃないよな。


結局、自分になれってことか。
自分を知って自分の強みを生かすことが大事ってことなのかな。


最近それを感じさせることが多い、
自分にとってちゃんと考えてみるきっかけなのかも知れない。


自分を客観視するのは難しいよね。
主人公は先輩といることで自分に気づいていった。


最近深く人と関わるってことは、自分に気づくことだと実感している。
だから、おもしろいよね、人と関わるって。
自分に素直に意見を言ってくれる人とか、
すごく大切というか、気づくきっかけをくれたのかなって思える。
言われた時は嫌な気持ちになっても、そう思った時こそ新しい自分に気づけるチャンスでもある気がする。


後半、とても感動的なシーンがあった。
ネタバレになってしまうが、


主人公の最後の漫才だ。

あえて、思ってることと反対のことを言う漫才で、
感謝を伝えていた。


不思議だ。
思ってることの反対を言って伝えると、素直に伝えるより心に響くのは。


昔見た、ドラえもんの映画でもあった。


ドラえもんが未来に帰ってしまってから、
のび太が使った道具。
言ったことと反対のことが起こる。

それを使いドラえもんと再会したのび太が、
ドラえもんなんて大っ嫌いって泣きながら言うシーンがあるんだけど、


もう、泣ける泣ける。


話がそれた。

この本では、
リスクをおかしてみる景色がまったく違うことと、
結果はどうであれ、自分を知り、自分らしく生きることのかっこよさを教えてくれる。

青春を詰め込んだような心がキュッとなる、そんな本でした。



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