White Spellの歌詞を考察。5章中編のタイトル公開を踏まえて。


本記事の注意点

・本記事には、メインストーリー第3章までの核心に触れるネタバレと、記憶の修復に関する言及があります。また、『極秘行動観察報告書 第1186号』の、ストーリーの核心には触れないネタバレがあります。

・メインストーリー第4章前半以降及びストーリーイベントについては、後日加筆します。

・記事に挿入した画像は、すべて筆者がヘブバンをプレイしスクリーンショットを撮ったものです。

第3章までと記憶の庭で判明したこと、その考察

セラフ部隊員=ナービィ

セラフ部隊員の正体はナービィであり、戦死した蒼井や蔵はナービィに戻った。

ヘブバン=記憶の世界

 そもそも、記憶の庭でキャラクターの強化ができて、それによってストーリーを進めることができるというのが不思議である。

 各キャラクターの記憶の修復が完了すると、ストーリーのちょっとしたネタバレを見ることができる。例えばワッキーとぶんちゃんの記憶を修復すると、第1章で明かされた、ぶんちゃんの定期的な記憶喪失と終わらないごっこ遊びという二人の歪で切ない関係性について言及している。

 記憶の修復によって未来がわかるというのは、この世界そのものが過去の追憶であるからではないか。

ひぐみんだけは何かに勘付いている…?
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月歌はすでに死んでいる

 第二章Day25, 4:00にて、寝ている月歌が「???」に何度も呼びかけられて起きるシーン。このシーンにはストーリー全体に関わる重大な伏線が張られている。

 「???」は慌てたようにユッキーの声で何度も起こすが、月歌は起きない。最終的に猫が飛びかかり、月歌は威勢よく起きた。この時月歌が喋る番では「月歌」と表示がある一方で、ユッキーの声が呼びかける時には「???」となっている。起きた後のやり取りからも、レックリ戦前夜に野営しているユッキーが起こしたのではないとわかる。

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 また、ユッキーの呼びかけに「(この声は…31Aの…誰だっけな…)」と、非常に曖昧な反応を見せている。これは、『極秘行動観察報告書第1186号』にあった、記憶が薄れながら走馬灯を見ていた蔵と、非常に似た反応である。

第2章Day25で、ユッキーを思い出せないということがあり得るだろうか?
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 飛びかかった猫はホーム画面にいるあの黒猫であると考えられる。ユッキーの声で起こす誰か=黒猫であり、また彼にとって月歌が深い眠りにつくのは非常にまずいことであると伺える。

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 またヘブバンのデフォルトのホーム画面では、月歌は眠っているように瞼を閉じて体を揺らしている。

 メタ的視点に立つと、このシーンはリリース初期に公開されたメインストーリーの終了直前である。前述の通り、だーまえは全体的なストーリーの構想をリリース前に完成させていたと考えられるため、このタイミングで大きな伏線をぶっ込んでくるのはおかしいことではない。

 ここまでの事実と考察を整理すると、ある推論に辿り着く。それは、「ヘブバンの世界は、死にゆく月歌の記憶である」ということだ。

 
この推論に基づいて、次章では「White Spell」の考察をしていく。

タイトル画面の秘密

 タイトル画面のイラストでは、水面に銀髪メガネの女性が写っている。拡大するとぼやけて明確に誰かはわからないのだが、ヘブバンの銀髪メガネキャラはユッキーだけだ。つまり月歌とユッキーは表裏一体の存在なのではないか。それは百合的な意味ではなく、もっと本質の部分でだ。

タイトル画面のイラストを上下反転させて拡大したもの。
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White Spell 歌詞考察

前提

 "White Spell"、直訳すると「白の呪文」は、レッドクリムゾン戦で流れたBGMである。しかし、5章中編のタイトルが「世界の終わりと白の呪文」と発表されたため、改めてこの曲に注目する必要が出てきた。前の章で行った考察を踏まえて、歌詞に込められた意味を探っていく。

考察

(眩しさでもう見えない)

 これまでは、蒼井の薄れゆく意識について言及しているという見方が一般的だった。しかし筆者は、5章中編で月歌が戦死してしまい、同じような感覚に陥ってしまうと考える。

風が強くて胸が騒ぐ
鳥は季節を越えて飛んだ
星を目指しどこまでもゆく
ぼくら旅人
鮮やかな景色が揺らぎ移ろう
海の青さえ別れを告げ

 セラフ部隊とナービィは、人類が勝利して戦いが終わった後、地球からどこかの星に旅を始めると考えられる。行き先はナービィが生まれた星かもしれないし、地球のようにキャンサーに侵攻されている星かもしれない。

 突然だが、ここでユッキーの記憶の修復を見てみよう。

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 誠にごちそうさまな月歌ユキであり、4章前半では、蔵の死とセラフ部隊の正体に直面した2人が(ネタバレ制限のため後日加筆)、これで伏線は回収されたように見える。だが問題は、「その願いが叶わなかった時、一体ユッキーはどうするのか?」である。

その日が来たならぼくは
笑うか泣くかなどっちだ(そんな朝は)
きみの跡を追いかけた
一緒に行けたらよかった
もう見えない

 「きみ」と一緒に行けないと明言されている。「その日」とは、直接的に考えると月歌と別れる日、または地球を旅立つ日である。

そろそろ風が冷たくなる
実りの季節なんてすぐ去る
咲き乱れる頃にもう一度巡り会うため

 「きみ」が死んでしまったと考えると、これは輪廻転生を信じて、もう一度「きみ」を見つけようとしているように捉えられる。輪廻転生といえば、(ネタバレ制限に引っかかるため、後日加筆)。このことから、戦死してしまった月歌にもう一度会えるとユッキーが輪廻転生に縋るのは、十分考えられる仮説だ。

ほんとのこと伝えたら
怒るか泣くかなどっちだ (名を呼んでも)
その隣に居たかった
ひとりにしないで
孤独に返さないで

 この部分こそ、ヘブバンのストーリーを一言で言い表している部分であると信じている。

 
これまで言ってきた通り月歌は戦死してしまい、従ってユッキーの持つ、戦いが終わった後も一緒に居続けたいという願いは叶わない。その時ユッキーはどうするのか。

 輪廻転生してきた月歌に出会うための旅路の途中で、薄れゆく月歌・ナービィの記憶に接続し、無理矢理記憶を再生し、かつての思い出に浸るのではないか。

 
「ほんとのこと」とはすなわちこの業であり、それを月歌に伝えたら、記憶に立ち入られたことを怒られるのか、もう一緒には居られないんだと泣いてしまうのかどうか。前者はユッキーの罪悪感が生み出した虚像であり、ユッキーも本当に怒るとは思っていないんじゃないかと思う。そしてそんな暴挙に出た理由はただ一つ、月歌に先立たれて孤独になりたくないという強い依存である。

 また「その隣にいたかった」、つまり誰かの隣にあり続けたいと望んだがそれが叶わなかった点にも注目だ。この点についてもユッキーの記憶の修復と矛盾がない。

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(名を呼んでも もう見えない)

 「名を呼んでも」という歌詞からは、レックリ戦前夜での「???」の呼びかけが連想される。

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 第2章Day25では、必死な呼びかけで月歌を起こすことに成功したが、次に月歌が深い眠りにつきそうになった時はどうなるだろうか?

 必死に名を呼んでも月歌が起きなかった時、筆者の仮説が正しければ、ユッキーはこれ以上の記憶の再生ができなくなる。それこそが「名を呼んでも もう見えない」なのではないか。

蛇足:フィクションとリアリティ

 月歌の記憶に接続するなんて可能なのかとツッコミが入るかもしれない。しかしフィクションにおいて、可能かどうかというのはどうでもいいのだ。重要なのはリアルであることではなく、リアリティがあること。つまり、本当にできるかもしれないという説得ができれば良いのだ。

 この点において、ユッキーは(ネタバレ制限に引っかかるため、後日加筆)ため、それを応用して記憶の海に潜るのも不可能ではないかもしれない。また、星の◯ービィのように月歌を飲み込んでコピーすることで、記憶の再生すらできるかもしれない。

月歌は5章中編パート2で死んでしまうのではないか

 第3章までに判明したこと、「White Spell」の歌詞から、筆者は月歌は最終的に戦死してしまい、今のヘブバンの記憶はユッキーが再生している月歌の記憶であると考察した。ではいつ月歌は亡くなってしまうのか。それは5章中編パート2であると筆者は予想する。

パート1では、カレンちゃんが消滅する

 5章中編は2パートに分けられてリリースされることが発表された。これはつまり、5章中編では大きく2つの出来事が待ち構えているということを示している。

 1つ目はかれりんによるカレンちゃんへの別れだろう。朝倉可憐の記憶の修復では、いつかかれりんがカレンちゃんと別れる日が来ると予言している。

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 Youtubeに公開された予告からも、5章中編パート1ではかれりんとカレンちゃんにスポットライトが当たることは間違いない。そしてその結末は二つ目の人格:カレンちゃんの消滅であると考えられる。

 そもそもカレンちゃんは(ネタバレ制限のため後日加筆)によって生まれた人格である。かれりんが己の過去と向き合い、カレンちゃんとも向き合って、それをかれりんの過去でもあると受け入れることで、カレンちゃんは自然に消滅するのではないだろうか。

パート2では、月歌が戦死してしまう

 次にパート2で起こる大きな出来事というのが、月歌の戦死であると予想する。ここで重要なのは、「最終的に月歌が戦死するとしても、なぜこのタイミングだと言えるのか?」であろう。

 1つ目の根拠は、5章中編の題名、『世界の終わりと白の呪文』である。これまでの考察から、世界の終わり=月歌が死んで記憶の世界が終わりを迎えてしまうこと、白の呪文=「White Spell」の歌詞から考察できる何か、ということが導き出される。

 そして2つ目の根拠は、「White Spell」を歌っている季節である。

そろそろ風が冷たくなる
実りの季節なんてすぐ去る
咲き乱れる頃にもう一度巡り会うため

この部分から、歌っている季節は秋であると考えられる。つまり、「White Spell」の歌詞から考察できる何か大きな出来事は、つまり月歌の戦死は、秋に起きてしまうのではないだろうか。

5章前編では季節は秋に差し掛かったところである。5章中編ではまさに実りの季節になるに違いない。

5章Day1, 06:30の会話
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まだ青い木と、紅葉した木が並んでいる
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