創作…「きつつきの商売」の場面3

国語の教科書の物語「きつつきの商売」の続きのお話を考えよう、ということで息子が前日に作った雑なプロットをもとに、私がお話を作ってみた。
息子にも自分なりの続きの物語を考えてもらおうと思っているが、さて。

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ぶなの森に、夕ぐれがおとずれます。きつつきのおとやも、そろそろ店じまいです。
 かんばんをしまおうとしたとき、きつつきはたいこがおちているのを見つけました。
「だれかがおとしたのかなあ。」
そう、つぶやきながら、きつつきはたいこをたたいてみました。
 ポーン。
たいこの音が、ぶなの森にこだましました。おとやのメニューにはない音だったので、おもしろくなって、きつつきは続けてたいこを何度もたたいてみました。
 ポンポンポン ポンポンポン。
 すると、さるがきつつきのところにやってきました。
「ここにあったのか。そのたいこはぼくのなんだ。おとしてしまって、さがしていたんだ。」
「そうなんだ。見つかってよかったですね。さあ、どうぞ。」
きつつきは、たいこをさるに手わたしました。さるはにっこりして言いました。
「ありがとう。じつはぼくは音楽家でね。たびをしながらあちこちで音楽をえんそうしているんだ。」
それを聞いたきつつきはいいことを思いつきました。
「せっかくだから、いっしょに合そうしませんか。」
「それはいい考えだ。ぼくはけんばんハーモニカも持っているんだ。ぼくがけんばんハーモニカで音を出すから、きみはたいこをたたいてあわせてくれないか。」
さるはそう言って、けんばんハーモニカを取り出すと、きれいな音を出しはじめました。
 きつつきも、さるのたいこを借りて、その音にあわせて、たいこをたたきました。
 森の中はすっかり暗くなりましたが、おとやからは何やら楽しい二しゅるいの音が聞こえてきます。その音を聞いた森の動物たちがおとやの方にあつまってきました。その中には、野うさぎや野ねずみの家族もきました。
 きつつきとさるの合そうが終わると、たくさんの動物たちが二人にパチパチとはく手をしました。すると、野ねずみの子どもが言いました。
「ねえ、きつつきさん。今の音はいくらなの。」
きつつきは少し考えて言いました。
「自分たちが楽しくて合そうしていただけなので、本当はお金はいりません。でも、もし二人の合そうを気に入っていただけたなら、一リルだけいただけますか。あつまったお金でここにえんそう会のできるステージを作ろうと思います。」
みんなはそれにさんせいして、一リルずつお金を出してくれました。そのおれいに、きつつきとさるはアンコールの合そうをしてくれて、みんなは楽しく聞きました。

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