いなくなる癖

 私は子どもの頃から中年になった今でもそうなのだが、突然フラっといなくなる癖があった。
 小学生の時になにを思ったか雪道を短パン半そでで歩き続け、警察に保護されたこともあった。
 20代の頃は大宮に行き、公園で野宿をし、乞食みたいな生活をしばらく続けていた。最後は大宮から草加まで歩いて帰った。
 そういう事をすると当然親に怒られる。もうしないと答えるのだが、数ヶ月するとまたやってしまう。そうすると向こうも折れてきて、せめてどこにいるのか連絡しなさいと言われるのだが、それもしない事が多い。連絡をしてもウソの場所を教えたりする。
 どこに行くあてがあるわけではなく、今日もコンビニで酒を買って公園でボンヤリしていた。また怒られること必至である。
 パターンはだいたい決まっていて、家にいて突然どこかに行こうと思い立つ。なにかイヤな事があったからというのはない。逆に平穏な状態の時に思い立つ。思ったらすぐ家をでる。どこどこに行こう、と明確な目標があるわけではない。歩きがほとんど。自転車や車を使ったほうが遠くまで行けるのだが、歩きがほとんどで、遠くに行きたいときは電車を使う。フラフラと歩き続け、金がなくなるか、疲れるかすると家に帰る。
 子どもの頃はたまにしかしなかったが、大人になってから自由度が増えて頻度が増えてきた。いなくなる癖のたちの悪いのは別に違法行為ではない事である。せいぜい親が心配するくらいである。また、お金もほとんどかからない。

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