赤を好きになった話

新しいモノに触れた時のわくわく感、素晴らしいと感じた今の気持ちを、いつか忘れてしまう前にちゃんと言葉に残しておこうと思った。そういう感動だけじゃなくて、申し訳なさというか情けなさというか憤りというか、もうとにかく心がぐちゃぐちゃになったことも。

赤い公園というバンドのギタリスト、津野米咲さんが10月18日に逝去されたというニュースを翌日19日に目にした。月曜日、在宅勤務なのを利用してTwitterを見ていた時のことで、どこかで見たな、この名前というのが正直なところだった。間髪入れずに思い出すことが出来た。珍しい組み合わせのお名前で印象に残っていたのは、ちょうど2日前に撮りためた関ジャムを見ていた、たまたまその回に出演されていたからだった。

もともと赤い公園というバンド自体は知っていた。今から8年前くらいか、OKAMOTO'Sにドはまりしていたまだ大学生のころ、よく赤い公園という名前を目にしていた。みんな1つ上だったり同い年だったりで、同世代のバンドは珍しかったように思った。バンド同士で仲も良かったみたい。2014年にRADIO CRAZYというフェスで初めて赤い公園を見た。と言っても記憶には残っていなかった。それくらいの認識しか持っていなかった。

初めて聴いたのはNOW ON AIR という曲で、キャッチーなメロディーと歌詞にすっかり虜になってしまった。楽器隊もとても上手で、聴きやすいのに面白いことやってるな…?と何度も聴くうちに他の曲も聴きたくなった。一番新しいアルバムをすぐに買って1曲目から順番に聴いた。津野さんが出演されていた関ジャムは、昨今サブスクで曲単位でかいつまんで、サクっと曲を聴ける世の中だけど、アルバム1作品として聴きたい名盤というのをコンセプトに紹介してくれる回だった。1つの作品としてアルバム THE PARKを最後まで聴いたあとには、涙が止まらんかった。

楽曲は津野さんが作詞作曲を担当されているそうだった。とにかく本当に変幻自在というか魅せ方が素敵で、なぜこんなに才能に溢れた方が亡くなってしまったのかという事で頭がパンクした。聴けば聴くほど本当にどれもかっこよくて、そのたびにやりきれない思いになった。あまりにも辛くて悲しすぎた。自分の中の感情の受け皿が完全に機能停止してひたすら泣いた。悲しすぎた。なぜこういう事になってからしか興味を持てなかったのかという情けなさもあった。

今朝は起きたが、仕事は休んだ。夜はデートの約束もあったが、延期してもらった。本当にみんなには申し訳なかったけど、とても日常を送れる気がしなかった。シャワーを浴びて着替えをし、立川に向かった。赤い公園という小さな公園があるらしく、そこには彼女らが寄贈した赤いベンチが1つあるそうだった。到着してみると外国人のおじさんが1人座っていた。大丈夫?って聞かれるくらいには憔悴していたらしい。すみませんと言って片側を分けてもらった。深く腰を下ろして、NOW ON AIRを1回だけ聴いた。   そんな1日だった。

NOW ON AIRの中で、居なくならないでね…という歌詞を書いた津野さんが居なくなってしまって、昨日今日でちゃんと聴き始めたような俺がどうこう言うのも滑稽だとは思う。けれども赤い公園の曲は本当に素晴らしいと思った。間違いなく、大好きなバンドになった。たまたまあのタイミングで、音楽について話していた津野さんを見れて本当に良かった。赤い公園を好きになれて良かった。おれの耳にも届きました。

異論のないグッドチョイスな、いなたいビートをいつもありがと。

この先もずっと、応援します!

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