好きなものの話

やっぱりどうしようもなく赤い公園が好き。

俺が赤い公園の曲を初めてちゃんと聴いたのは津野さんの訃報を知らせるニュースを見てからやった。忘れもしない晴れた日で在宅勤務中に知って、そのまますぐに赤い公園をyoutubeで検索して、一番上にヒットした「Now on air」を聴きいたらめちゃくちゃ良くて、たまらずに煙草を吸いに外に出た。あれから8ヵ月くらいか…。5月28日(金)に、大好きな赤い公園はラストライブをもって解散した。

彼女たちの楽曲は本当にどのパートもかっこよくて自分にはぶっ刺さった。あんまりこういうのは思わへんけど、まじでなんでもっと早く聴いてなかったんやと後悔するくらいには好きになれた。ただそれまで全部言いただすと収拾がつかなくなるんでそういうのは推し会で言うとする。ともかく俺は津野さんの書く詞に惚れた。それこそ取っ掛かりはキャッチーなメロディーとか楽器隊だったけども、歌詞を考えるのも結構好きなのでそこに気が付くには時間はかからんかったと思う。そんなこんなでめちゃくちゃに赤い公園にハマったのと同時に、こんなに素晴らしい人がいなくなってしまった事が辛かった。

そのくらいから、津野さん個人に対しても興味を持つようになった。ラジオを聞いてみたり、インタビュー記事を見てみたり、色々調べたりした。そうして色々な視点からまた赤い公園を聴いてみると、赤い公園の歌詞はめちゃくちゃ優しいという共通点があるなと思った。とにかく優しい。それはこう誰かに向ける応援歌っていう感じでもなく、津野さんの優しさがそのまま歌詞にあふれ出たような感覚で、俺は日本人に生まれて良かったとまで思えるほどやった。別にそうじゃない楽曲やほかのアーティストをダメだと思っているとかそういう意見ではないという事は念を押しておく。俺にはその赤い公園の、津野さんの優しさがめちゃくちゃ刺さったということが言いたい。

「KOIKI」という曲をリリースしたタイミングでラジオで「最近はどういう生活してるの?」って聞かれた津野さんがこういう事を答えていた。

「色んな人に会って話して、色んな人を好きになって、それがとても楽しいなって思う」

この答え自体もめちゃくちゃ素敵やと思ったし、なによりそれを嬉しそうに話す津野さんの声を聞いてこっちまで幸せになっちゃう感じで、もうやっぱりどうしようもなく彼女のことが好きやなあと思った。そんなタイミングでリリースした「KOIKI」という曲がじゃあどう云った曲なのかというとこれもまたたまらなく優しい曲で俺は本当にたまげた。

"世界が浮足立っても あなたが泣いてたらしょうがない

こんな時笑えるジョークを1つくらいは持ってたいな だって小粋でいたいのだ"

"世界が肩を落としても あなたが笑ってたらいいじゃない

こんな時ふたりでそっと踊れるステップ覚えたいな だって小粋でいたいのだ"

"誰もが自分のことで 本当はいっぱいいっぱいなんだ

寂しさに負けそうになって 明日が怖くて それでも優しさを振り絞っていく"

あの津野さんの言葉を聞いてから「KOIKI」の歌詞を聴くとほんまになんて優しいんやと…。優しさを振り絞っていくっていう歌詞にやられました。

こんなに優しい人がなんで…という思いはやっぱり今も消えへんけども、ああ、解散しちゃうなあという悲しさもあったけども、そういう気持ちも彼女たちのラストライブを見ると払拭されたように俺は感じた。もっと悲しくなるんかなって思ってたけど、ライブをしてる赤い公園はまったくそんなことはなく、みんなめちゃくちゃ楽しそうで、まさに音楽って感じやった。形としての赤い公園は解散した、けども彼女たちの生み出してきた音楽は残るし、何年たっても聴き続けられるし、それってめちゃくちゃ幸せやし、俺は1ファンとしてそれでいいんじゃないかなって思った。

色々と好き勝手言ってしまったけど、悲しい気持ちは彼女たちが一番感じてるはずで、けどそれを表に出さずにあれだけ素晴らしいステージを見せて頂いたなら、俺は悲観的になるのではなく、全力で楽しみたいなと思った次第。うたこすさんの絶対零度のサビのパターンが変わるドラム超好きやし、ベースかじってた人間としては藤本さんの軽快なのにパワフルなベース好きやし、Now on air では大サビの前の所でメロディアスながら歪ませる感じも大好きで、石野さんの高くて透き通るような凛々爛々も最高やし、もうどこをどう切り取っても赤い公園がめちゃくちゃ好き…。これからも聴き続けたいなと思います。

最後にこれだけはどうしてもわがままを言ってしまうけど、どうかこの想いが届くなら関係者の方々…ラストライブを映像化してください…何卒…

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